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「熱力学 ― 現代的な視点から」への補足

更新日 2015 年 8 月 26 日

【重要】Carnot の定理の証明(5-4 節)の改良について

(2015/8/26)
東工大の田中琢真さんのご指摘で、5-4 節でのCarnotの定理(結果 5.2, 75 ページ)の証明が圧倒的に改良されることがわかった。難解な付録 A もまったく不要になった。

これに関して、二つの文書を公開する。

「スケートが滑る理由」について

(2010/3/1)
p 146 の脚注 31 で、「スケートが滑るのは、スケート靴に押された氷の圧力があがり融点が下がるためだ」という「通説」に疑問を表明した。 このテーマについて、Physics Today の 2005 年 12 月号 p. 50 に "Why is Ice Slippery?" by Robert Roseberg という記事が載っている(完全な pdf ファイルが公開されていた)。 この記事での結論は、やはり上の単純な説明には問題があり、「スケートが滑る理由」は摩擦や表面状態などと関わるデリケートな話だということだ。

以下、少しだけこの記事の中身を要約する。

結局は、「ややこしい」ということに尽きるわけだが、「スケートが滑る」というような複雑な現実の現象を考えるときは、さまざまな要素が絡まってきて話がややこしくなるのは、ほぼ当たり前のように思う。 それについて、なんとなくかっこいい説明が出てくると、ろくに実験的な検証がなくても、みなが信じて俗説が一人歩きしてしまうというのはちょっと情けない話である。

浸透圧の実例について

p.176 図 9.3 の説明 (3/22/2000, revised 5/16/2000)

ここで、浸透圧の一般的な説明のあとに、

長時間入浴していると指の先の皮膚がしわしわになることがあるが、 これはわれわれの皮膚が塩分を透過させない半透膜として機能するからである。
という記述がある。 お恥ずかしいことだが、 この「一口科学知識」的な記述は、私がどこかで耳にしたことを、 きちんとした裏付けをとらずに、そのまま書いてしまったものである。 スケートとクラペイロンの関係を「俗説」として厳しく扱っているにもかかわらず、 自分自身、こういう俗説かもしれないものを気楽に書いてしまったというのは、 まったく不覚であった。

ふと気になり始めて、 調べたり、人に聞いたりした。 その結果、今のところ、

この説明は、おそらく正しいが、 いろいろとデリケートなところはある
との結論に達した。

以下、わたしの理解したことを簡単に書きます。 より詳しい事情をご存じの方がいらっしゃたら、教えて下さい。


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田崎晴明
学習院大学理学部物理学教室
田崎晴明ホームページ

hal.tasaki@gakushuin.ac.jp