理科科学的な見方や考え方を養う

学習院初等科の理科教育では、自然に親しむ活動を重視しています。
実験や観察といった科学ならではの方法にも十分親しませるように配慮しています。
見通しを持って実験や観察を行うことを通して、問題解決の能力を高めるとともに、自然の事物・現象についての理解を図り、科学的な見方や考え方を養うことを目標にしています。
自然を愛する心情を育てることにも力を注いでいます。

内容構成

空気中に存在する分子の大きさ1億倍の模型 空気中に存在する分子の大きさ1億倍の模型
学習指導要領に示された内容に準拠し、物質・エネルギー、生命・地球の二つの領域で構成しています。
ただし、科学的な見方や考え方を育て、自然認識の深まりを促す観点から、児童の思考・認識・発達段階などを考慮し、独自の工夫を凝らしています。
自然の事物現象を原子・分子レベルからとらえさせたり、質量保存の法則のような自然認識の上での根本的な概念を小学生なりに理解させたりするために、一部、学習指導要領には示されていない内容を取り入れたり、そのための単元を特設したりしています。
その一例が、第3学年で行っている「もしも原子が見えたなら」の単元です。空気中に存在する分子の大きさ1億倍の模型工作を通して、原子・分子レベルから物質の世界を理解するためのイメージが持てるように配慮しています。
質量保存の法則については、単元「ものとその重さ」などで対応しています。
論理的にも無理なく考え方を発展させたり深めたりしていけるように、学年配当を見直し、一部、内容の再構成を行っています。
具体的な単元構成や内容については、次の「学年別カリキュラム」をご覧ください。

学年別カリキュラム

第3学年
単元 主な内容
校外学習「荒川中流域」 ・流れる水のはたらき ・岩石の種類 ・石灰岩と鍾乳洞
昆虫の成長と体のつくり ・身近な昆虫などの生き物の体のつくり ・力イコの成長
植物の成長と体のつくり ・身近な植物の体のつくり
日なたと日かげ ・日光は暖かい ・太陽の位置と影の向き ・温度計
光と鏡・虫めがね ・鏡は光を反射する ・虫めがねと焦点
磁石 ・磁石の極とその性質 ・磁石の正体 ・地球磁石
電池と回路 ・電気の通り道(回路) ・乾電池のつなぎ方(直列、並列)
風やゴムのはたらき ・風の強さとものの動き ・ゴムがものを動かす力
もしも原子が見えたなら ・原子論の入門 ・分子模型作り

※「ものとその重さ」については、4年生で学習する。

第4学年
単元 主な内容
花と実 ・花のつくり ・雄しべ、雌しべの役割 ・花粉と受粉
校外学習「館山」 ・海の生き物 ・貝の標本作り ・図鑑の使い方
・学名の意味
空気と水 ・水は真空を嫌う ・空気鉄砲、水鉄砲
ものとその重さ ・物の形と重さ ・重さを量る道具(天秤の使い方)
・質量保存の法則
金属・空気・水と温度 ・金属、空気、水の熱膨張 ・伝導と対流
電気の性質 ・電気を通すつなぎ方 ・電気を通すもの、通さないもの
・電流計 ・光電池
温度と水の変化 ・水の三態変化 ・水の沸点、凝固点 ・自然界での水の循環

※「月や星の観察」については、5年「地球と宇宙」、6年「太陽・月・地球」で学習する。

※「天気の様子」については、5年生で学習する。

※「人の体のつくりと運動」については、6年生で学習する。

第5学年
単元 主な内容
種と発芽 ・発芽の条件 ・種の養分
【栽培活動】エダマメ ・発芽、成長 ・収穫
メダカの生活と誕生・成長 ・メダカの発生 ・メダカの食べ物(プランクトン)
校外学習「八幡平」 ・火山と温泉 ・地熱とマグマ ・マグマと岩石・星の観察
天気と気温 ・天気と気温の関係 ・雲の動き方と天気の関係
・梅雨のころの天気 ・台風のころの天気
・天気の予報の仕方
地球と宇宙 ・地球の形と大きさ ・月の大きさと地球からの距離
・太陽の大きさと地球からの距離 ・太陽系と惑星
・惑星の大きさと距離(30億分の1の太陽系)
・恒星と地球からの距離 ・1日の星座の動き
電流と磁石 ・電磁石と永久磁石の比較 ・電気と磁気の関係
・電磁石の性質
・モーター作り
溶解 ・科学でいう「溶ける」の意味
・溶かす物の種類と溶かせる量
・水温と溶かせる量 ・水以外の液体での溶解
振り子と振動 ・振り子の等時性 ・振動と周期 ・物の振動

※「流れる水の変化と土地の変化」については、3年校外学習「荒川中流域」で学習する。

※「植物の結実」については、4年生で学習する。

第6学年
単元 主な内容
太陽・月・地球 ・月の満ち欠け ・月の公転と太陽の方角 ・惑星の満ち欠け
【栽培活動】サツマイモ ・挿し芽 ・茎の成長 ・植物の養分と水の通り道 ・収穫
水溶液の性質 ・酸性、中性、アルカリ性 ・気体が溶けている水溶液
・金属と水溶液 ・中和
校外学習「沼津海浜教育」 ・水中の小さな生き物、プランクトン
【栽培活動】ダイコン ・発芽、成長 ・収穫
地層と岩石 ・地層のでき方 ・地球の歴史と地層
自然と環境 ・動物の食べ物と排泄物 ・植物の食べ物と排泄物
・光合成 ・工場、家庭、自動車の食べ物と排泄物
・微生物の食べ物と排泄物
・物質の循環 ・地球の容量
燃焼 ・燃焼と酸素 ・金属の燃焼 ・燃焼の意味(燃素説の打破)
・木や炭の燃焼(二酸化炭素) ・水素の燃焼(水)
電気の利用 ・発電 ・蓄電
・電気の変換 ・電気による発熱
てことトルク(モーメント) ・ちからとトルク(モーメント)のちがい
・てこがつり合う条件
・重心
人や動物の体のつくりとはたらき ・呼吸(酸素・二酸化炭素) ・消化(口・胃・腸)と排出
・循環(血液・心臓・脈拍)
・骨と筋肉

※「地層と岩石」の内容の一部は、3年校外学習「荒川中流域」5年校外学習「八幡平」でも学習する。

授業

実験・観察を重視しています

実験・観察は、自然の事物や現象に、直接、接したり働きかけたりすることで、自然についての理解や認識を深める、理科ならではの活動です。
それだけに、素材を吟味するとともに、指導法にも工夫を凝らすように努めています。
また、単に理科室内での活動にとどめることなく、素材や場を、校庭や屋外庭園としての近光園、さらには学校の外にも広く求めるようにしています。
校外学習の場面では、その土地の自然環境を生かした野外ならではの活動を行っています。
校外学習についてはこちら

  • 3年 カイコガの幼虫の観察 3年 カイコガの幼虫の観察
  • 4年 内藤かぼちゃの植えつけ 4年 内藤かぼちゃの植えつけ
  • 6年 電磁石の観察 5年 電磁石の観察
  • 6年 燃焼の実験 6年 燃焼の実験
議論・討論を通して論理的な思考を育てるように努めています

目の前に提起された問題について、自ら予想を立て、その理由について発表し合います。そして、討論を重ねる中、論点が整理されたところで実験をすることで、結果についての理解が一段と深まります。

ノート指導にも力を入れています

ノートを書くことについては、基本的に、児童の自由意思にまかせていますが、提出されたノートにはていねいに目を通し、コメン卜を書き込むように努めています。児童とのコミュニケーションの方法の一つとしても機能しています。
書くことを通して、児童は、自分自身のぺースで論理的な思考や自然についての認識を深め、それがさらに次への興味関心や意欲の向上につながっていくようです。
よい調べやまとめについては、例示することで、他の児童の参考にすると共に、広く自然全般に興味関心の目を向けさせるように配慮しています。

  • カラーなどにも工夫が凝らされた例 カラーなどにも工夫が凝らされた例
  • キャラクターを登場させるなどの方法で論理の展開がしやすいように工夫された例 キャラクターを登場させるなどの方法で論理の展開がしやすいように工夫された例

近光園での栽培活動

すくすくと育ったダイコン すくすくと育ったダイコン
庭園としての近光園には、わずかな面積ではありますが、草花栽培用の花壇に加えて、農作物栽培用の畑があります。
この畑を利用して、理科の授業時間や朝の「わかばの時間」を使って、農作物を中心にした栽培活動を行っています。
植物を科学的に観察し理解するだけでなく、ふだんは都会の生活に明け暮れている児童に、食材としての農作物がどのようにして得られるのかということの一端をとらえさせるようにしています。
収穫した作物は、家庭科の調理実習や給食の食材として利用します。それをきっかけに、野菜嫌いの児童の見方や考え方が変わることもあるようです。
また、自宅にも持ち帰らせ、家族中で味わうようにしています。調理実習で習得した技術を発揮して自分で調理し、家族にもその腕前が認められることで、調理についての自信を深めることができます。そして、自らの手で栽培し収穫することの意味を理解し、それをいただく喜びを味わうよい機会ともなっています。

エダマメ(第5学年)

  • エダマメの芽生え エダマメの芽生え
    4月に育苗箱に種まきを行い、温室の中で苗として育てます。野鳥の食害を防ぐための工夫です。
    本葉が数葉開いたところで、畑に移植します。
  • 育ったエダマメの実 育ったエダマメの実
    夏休み前の7月中旬に収穫します。

サツマイモ(第6学年)

  • 苗の植え付けをすませた直後のサツマイモ畑 苗の植え付けをすませた直後のサツマイモ畑
    5月中旬、サツマイモの苗を植え付けます。
  • 茎葉の生い茂ったサツマイモ 茎葉の生い茂ったサツマイモ
    7月の終わりころには、畑一面が茎葉でおおわれるようになりますが、それまでは折に触れての草取りが欠かせません。10月初旬に収穫します。

ダイコン(第6学年)

  • 3回目の間引き前のダイコンの苗 3回目の間引き前のダイコンの苗
    夏休みが明けた直後の9月初旬に種まきを行います。そして、芽生えの後、3回に分けて間引きを行います。
    3回目の間引きでいちばんよいものを残し、1本立ちにします。
  • 大きく育ったダイコンを収穫。 大きく育ったダイコンを収穫。
    栽培のしやすさから主に青首ダイコンを栽培しています。
    冬休み前の12月初旬から中旬にかけて収穫します。

近光園では、この他、必要に応じて、ヘチマ、カボチャ、エンドウマメ、ジャガイモなどの教材生物も栽培しています。

校庭の樹木や近光園の野草観察

校庭の樹木や近光園の野草観察
身近な植物の観察を通して、四季折々の植物の様子をとらえさせるようにしています。
例えば、一般には雑草としか呼ばれない野草にも様々な種類があること、植物として生き抜くための確かなしくみや形を持ち合わせていることなどに気付かせるようにしています。 そして、野草としてのたくましさだけでなく、その愛らしさにも着目させることで、身近な植物としての親しみを持たせるとともに、野草を通しても季節を知ることができることに気付かせるようにしています。

校外教育

校外教育では、自然の中に出向いていくからこそ体験できる理科としての内容を織り込んでいます。
海山川といったその環境ならではの活動を通して、自然の姿を自らの感覚でとらえさせるようにしています。
また、現地での学習だけでなく、採集活動を通して持ち帰った物については、標本作りに取り組むなど、じっくりと時間をかけて自然の姿をとらえさせるようにも配慮しています。
なお、観察や採集活動については、当然のことですが、現地の自然破壊につながらないように配慮しています。

第3学年:埼玉県の荒川中流域
長瀞岩畳脇を流れる荒川 長瀞岩畳にあるポットホールの観察
流れる川や川原の石や砂の様子の観察を通して、流水の作用の規模の大きさやそのはたらきをとらえさせています。
荒川は、その上流に石灰岩地帯があるため、石灰岩が川原によく見られます。石灰岩特有の酸に溶ける性質に気付かせるとともに、鍾乳洞などの地形や酸性雨の学習などにも発展させています。
この他、岩石や鉱物についての興味関心を持たせるようにも配慮しています。

第4学年:千葉県館山

磯遊び

磯遊びを通して、海辺の生物の観察を行っています。ちょっとした潮だまりや岩肌にも、実に様々な生き物が棲んでいることに驚かされます。
そして、直接、自分の手で触れたり、自分の目で確かめたりすることを通して、海という環境に適応し、確かに生き抜いている生き物たちの様子に気付かせるようにしています。
  • 磯遊び(1)
  • 磯遊び(2)

貝の標本作り

貝の標本作り
海辺で拾った貝殻を学校に持ち帰り、標本作りを行っています。自分が拾った貝殻について、何の種であるか図鑑で調べ、ラベルを作成し、整理します。
この活動を通して、採集と標本作りという自然を研究する方法の一端を体験させると共に、種名(和名・学名)の意味を知らせるようにしています。
できあがった標本は、初等科祭に展示し、大勢の人に見てもらっています。

春の星の観察

宿泊を伴う校外学習では、就寝前の夜の時間に、その季節折々の星や星座の観察を行っています。
北天の北極星、北極星を見つける目印にもなる北斗七星、北斗七星から南天のおとめ座スピカに至る長大な「春の大曲線」、春を代表する獅子座などを観察します。
肉眼でも観察できる金星、火星、木星、土星なども対象になることがあります。

第5学年:岩手県八幡平、長野県湯の丸高原

森林や高山など、山の自然の観察

平地とは異なった森林や高山の様子を、ハイキングをしながら観察しています。

火山活動の観察

岩手山・八幡平周辺で、様々な火山活動の跡を観察しています。

春から初夏にかけての星の観察

宿泊の夜の時間を使って星の観察を行っています。都会の空とは異なった本当に暗い空と、数え切れないほどたくさんの星の美しさとに感動させられます。

  • 残雪の残る八幡平を散策し、岩手山を望みます 残雪の残る八幡平を散策し、岩手山を望みます
  • 御生掛温泉の遊歩道を歩き、火山活動を体感します 御生掛温泉の遊歩道を歩き、火山活動を体感します
第6学年:静岡県沼津

海産プランクトンの観察

ふだん観察をする機会が少ない海のプランクトンを、時間をかけてじっくりと顕微鏡で観察します。
さまざまな形のものが多数見られますが、生物の多様性を知るとともに、これらのミクロの生き物たちが、海に暮らすたくさんの生命を支えているという事実に改めて驚かされます。

  • 海産プランクトンの観察(1)
  • 海産プランクトンの観察(2)

その他の活動

自由研究も自然への興味関心を高めるのに一役買っています

初等科祭での自由研究の展示

初等科祭での自由研究の展示

授業とは直接的には結び付きませんが、毎年、多くの児童が、夏休みを利用して、理科の自由研究に取り組んでいます。秋の初等科祭に全作品を一斉に展示するとともに、提出された研究レポートや作品の紹介文がすべて掲載された印刷物を配付しています。
自分自身が研究を成し遂げたその達成感や充実感を改めて味わうとともに、他の友達のいろいろな研究やその成果を目の当たりにすることで、新たな興味関心を持つよい機会になっています。

学習院大学理学部の研究室体験など、一貫教育校ならではの良さを活かしています

学習院大学理学部の物理学科・化学科・生命科学科が総力を挙げて、毎年、夏休みの午後に、初等科5年生の児童のために実験教室を開催しています。
大学の教授陣に加えて、大学院生が多数参加してチームを結成し、様々な物理実験や化学実験を体験させてくれます。
ふだんの初等科の理科授業では体験することのできない、大学理学部ならではの機材や薬品を使っての実験に、児童は大変に興味関心を示します。そして、実験の楽しさや奥深さを知ることで、理科についての意欲がいっそう高まるようです。
夏休みでもあり自由参加としていますが、毎年、多数の児童が参加しています。

  • さまざまな薬品を調合して、花火を作ります さまざまな薬品を調合して、花火を作ります。
  • 遺伝子組み換えをしたショウジョウバエをブラックライトで観察 遺伝子組み換えをしたショウジョウバエをブラックライトで観察。