算数科数学的な考え方を育む

算数科の目標
自分の考えを表現し、友だちの考えを理解しようとする子どもの育成
最後まであきらめずに粘り強く考える子どもの育成

初等科の算数の授業

初等科の算数の授業
「わかる授業」

子どもが新しい知識を獲得するためには、子ども自身が課題を意識し、解決したいと感じることが大切です。授業では、既習の知識を用いながら様々な角度から課題に取り組み、論理的に仕組みを明らかにすることで、算数の世界を広げていきます。お互い意見を出し合いながら、子どもたちは、自分では考えつかなかった見方、考え方に気づきます。自分の考えを認めてもらうこと、友だちの考えを理解することは、子どもにとっての喜びです。このような学習のしかたが学習院初等科算数の「わかる授業」です。

「基礎的・基本的な内容の理解と充実」 「数学的な考え方・問題解決力の育成」

高い山ほど、その裾野は広く広がっています。算数も、学習した内容を用いて積み上げていく教科ですので、土台となる基礎的・基本的な内容を、じっくり、しっかりと身につけさせていきたいと考えています。また、学習院初等科では、仕組みやきまりを見つけて問題を解く数学的な考え方や、問題解決力も算数の大切な基礎・基本であると考えます。自ら考えたり、話し合ったりする中で身に付けたこれらの資質・能力をもとにして、子どもたちは次の新しい課題を見つけ、粘り強く取り組んでいくことができるようになります。そのような子どもを育てるために、教員は、子どもたちに何を考えさせ、何を教え、何を習熟させるのかを常に意識しながら授業を組み立てています。

 

1年生

■「たしざん・ひきざん」の授業です。 公園で遊んでいる子どもたちの絵を見て問題を作り、解いていきます。子どもたちは、どのような問題を作ろうかと一生懸命考えます。足し算の問題を作った児童は、次は引き算、と楽しそうに問題を作っていきます。そして、友だちが作った問題について、どのように解いたらよいかを考えます。
「バドミントンをしている人が4人います。ドッジボールをしている人が8人います。ちがいは何人ですか。」
「ちがいは」という言葉で、引き算だということはわかりましたが、「4-8」「8-4」と2つの式が発表されました。
1年生 「たしざん・ひきざん」の授業(1)
「初めに出た数を先にもってくるから。」
「引き算は数字の出てくる順番は関係ない。」
「でも、引けないと式にならない。」
など、いろいろな意見が出てきて、
「ちがいは、大きいほうから小さいほうを引く。」
「8-4が正しい。」
という結論になりました。
これでできたかと思えば、答え方でも意見が分かれました。
「ドッジボールをしている人の方が4人多い」と答えるか、「4人」と答えるか。
1年生 「たしざん・ひきざん」の授業(2)
「丁寧に答えたほうがいい。」
「長く答えるときは、『どちらがどれだけ多いでしょう』という問題のときだけだ。」
「教科書の前のところで、『ちがいは』の問題は『4人』というように簡単に答えていた。」
など、具体的に例を出しながら意見を発表する子どももいました。
友だちの考えを聞き、自分の意見を述べるという学びあいの活動を通して、理解を深めていきます。

2年生

2年生 「三角形と四角形」の授業(1) 2年生 「三角形と四角形」の授業(2)
「三角形と四角形」の授業です。
「3本の直線で囲まれた形を三角形という」という学習をした後、図のような9つのドットの書いてあるプリントを配り、
「この中の点と点を結び、3本の直線で囲まれた形を作ってみましょう。」
と問いかけました。点がたくさんあるので、結び方によっていろいろな三角形ができるはずです。子どもたちは、目を輝かせて、いくつもかいていきます。
しばらくして、子どもたちが考えたものの中から1つを発表します。皆、自分の順番がまわってくるのをどきどきしながら待っています。
2年生 「三角形と四角形」の授業(3)
6つくらい黒板に三角形が登場したところで、子どもたちの中にこんな声が聞こえてきました。
「あれとあれは、同じ形じゃない?」
「場所が違うだけ。すーっとずらせば同じ形。」
「僕のは、くるっと回すとあれと同じになるような気がする。」
「裏返すとこれと同じ。」
「ぱたんと倒せばいいんじゃない……?」
全部出そろったところで、また新しいことに気づきました。
2年生 「三角形と四角形」の授業(4)
「これとこれは、まん中でぱたんと折ると重なる三角形。だから同じ仲間です。」
二等辺三角形に気づいています。
「この三角形を2つ合わせるとこちらの三角形になります。だから親子みたい。」
「これのこの部分をぐーっとひっぱるとこちらの形になります。だからこれは兄弟みたい。」
「これは、この三角形の4つ分じゃない?」
「この三角形とこの三角形は、形は同じだけど大きさが違う……。」
こうしてまた新しい観点を見つけ、発表しあい、だったらこれとこれも……と言いながら、皆で仲間分けをしていきました。
辺の長さや角の大きさという観点だけでなく、裏返しの合同や対称性、相似など、低学年児童でも各自がそれぞれの観点から自分なりに考えています。説明し、互いに認めあう中で、数学的な考え方が育っていくのです。

3年生

3年生の「三角形」の授業です。黒板に貼ってある星形(図)と、同じものを作るのに、色紙からどんな形を切り取ればよいか考えます。「黄色い三角形の辺の長さを測れば分かる。」という意見が出ました。そこである子どもが定規を持って出てきて測ると、一辺が4㎝の正三角形であることが分かりました。
すると、1辺が4㎝の正三角形はどうすればかくことができるのか、という問題が子どもたちから出てきました。「下の直線はすぐかける。」「上の頂点の場所が分からないよ。」という話し合いから、まずは下の4㎝を引いてみました。少し考えてから、両側の辺が4㎝になるように、定規を使って、下の辺の両側からそれぞれ4㎝のところに上の頂点をとろうとします。しかし、ずれたり、辺がくっつかなかったり、上手くとることができず、困ってしまいました。
「下の辺の両側を中心にして、4㎝に開いたコンパスで線をかいて、左右から重なった部分を頂点にするとかけるよ。」と声をあげた子がいました。困っていた子どもたちは驚いて、自分たちでも試します。「本当だ、ぴったり4㎝になる。」「なぜ?」ここで新たな疑問が生まれました。
 
そこからまた話し合いをし、「ぴったり」かける理由は、コンパスで引く線の上の点は、どこでも中心から同じ長さになっている性質にあることに気付き、納得しました。さらに二等辺三角形や、辺の長さがすべて違う三角形はかけるのか、という新たな関心と疑問も生まれました。
積極的な算数的活動を通し、クラス全体で問題解決をすることで、新たな学びへの関心と、数学的な力が育っていくのです。

4年生

4年生 「面積」の授業(1)
「面積」の授業です。
「道が通っている畑があります。畑の部分だけの面積を求めるにはどのようにしたらよいでしょう。」
という問題を考えています。道を寄せて考えたり、土地の面積から道の面積を引いたりといったいろいろなアイデアが出てきました。自分が考えた方法を熱心にとなりの友だちに伝えています。ただ式を見せるだけではなく、その式の意味についても説明をしています。
その後、面積の求め方をクラス全体で発表しあいました。
「全体の長方形の面積は7×11で求められます。
4年生 「面積」の授業(2)
そこから道の面積を引きます。道の面積は11+7で求められます。」
とある子どもが説明したところ、
「なぜ、11+7は道の面積になるの?」
という質問が出ました。そこで同じ解き方をした子どもが、
「7は縦7m、横1mの長方形の道の面積で、11は縦1m、横11mの長方形の道の面積だからです。」
と補足の説明を加えました。すると、別の子どもが、
「2つの道には重なりがあるから、畑の面積を求めるには、長方形の面積から道の面積を引いた後で、2回引かれている重なりの部分の面積を足さなくてはいけない。」
という意見を出しました。
ひとつの問題を解くにも、意見を交わしたり、協力して説明したりするなど、活発な学びあいが行われています。

5年生

5年生 「帯グラフ」の授業(1)
5年生の「帯グラフ」の授業です。前の月に保健室に来た児童の数を学年別と症状別にまとめた表から、学年ごとにそれぞれの症状の割合を調べます。
棒グラフでは、人数を読み取ることはできますが、それぞれの割合はすぐにはわかりません。そこで、全体を100%にそろえた帯グラフを作り、割合を考えていきます。
それぞれの割合を求めるために、
「割合 = くらべられる量 ÷ もとにする量」
の式に当てはめて計算をします。そこで出た割合を百分率に直し、帯グラフにかき入れていきます。
5年生 「帯グラフ」の授業(2)
基本的なグラフのかき方は、すでに4年生までの棒グラフ、折れ線グラフを通して学習しています。しかし、5年生のこの単元でも、目盛りのよみ方や線の引き方、項目の書き方などといった基礎的・基本的な事項をもう一度確認していきます。また、棒グラフや折れ線グラフ、帯グラフ・円グラフのそれぞれの特徴を考え、どのようなときにどのグラフを使うと便利かということも判断できるようにします。
このように基礎的・基本的な学習を徹底していくことが、有意義な学びあいや、数学的な考え方を伸ばすことにつながるのです。

6年生

6年生の「図形の対称」の授業です。2枚の合同な台形を張り合わせて作った6種類の図形(右図)を,2つのグループに仲間分けします。
子どもたちは,角の大きさや2つの四角形のつながり方など,今までの学習経験を活かしてさまざまな仲間分けを試みます。
「180°よりも大きい角がある図形とすべての角が180°より小さい図形」
「内角に直角がある図形と,ない図形」
「二つに折るとぴったり重なる図形と,重ならない図形」
「二つに折るとぴったり重なる形と,中心を押さえて回すと元の形とぴったり重なる図形」
「つなぎ目に鏡を置くと元の図形が映る図形と,映らない図形」
 「はしが直角になっている辺同士でつながっている図形と,そうでない図形」
  
 
子どもたちは それぞれの分け方が正しいことを全員で確認した後,6種類の図形の「2枚の合同な台形からできている」という特徴とつながりの深い分類はどれかと尋ねました。ここで子どもたちは図形の対称性に着目することになりました。
「二つに折るとぴったり重なる図形の折り目は,合同な台形のつなぎ目になっているよ。」
「あっ,合同な台形のつなぎ目の真ん中を押さえて回すと重なるんだ。」
「二つの台形が合同だから,折ったり回したりすると重なるんだね。」
教師から図形の見方の観点を与えるのでなく,子どもたち自身が見方・考え方を深めていく中で,「対称性」に気づいていきました。
「対称性」は図形の特徴の一つである,という感覚が養われ,子どもたちは図形のつなぎ目が対称の軸になる,つなぎ目の中心が対称の中心になるということも発見した。
このような学習を通して子どもたちは自ら課題に積極的に関わり,数学の世界を広げていきます。