平成22年度卒業生と御父母保証人および在学生の皆さんへ
学習院大学長 福井憲彦
3月11日午後に発生した未曾有の大地震と巨大津波による被害に遭われた皆さんに、心よりのお見舞いを申し上げなければなりません。また、不幸にも命を落とされた方々のご冥福を、衷心よりお祈り申し上げます。
本学では、11日に帰宅困難になった学生約700名が、外部からの一時避難の方々とともに翌朝までキャンパス内で過ごしましたが、幸いにして怪我人はなく、問題となる施設被害もありませんでした。被災地に実家のある学生と個別の連絡をして安否確認を進めたところ、なかなか連絡のつかない学生がいて心配しましたが幸いにして、16日午後、全員の確認がとれました。
大学における卒業式は、幼いころからの学校教育にはっきりと一区切りをつける大切な儀礼ですが、こうした今回の大地震の状況に鑑み、また、それにともなう節電への社会的要請も考え、式典としての卒業式は中止すべきである、という判断に至りました。楽しみにされていたであろう卒業生とその関係者の皆様には、まことに残念ながらの判断であるということを、ご理解いただければ幸いです。
しかし、演習等でお世話になった先生方との懇談、あるいは同期の仲間同士での対話の機会を全面的に制限することは、本学として望むところではありません。卒業の皆さんには、卒業証書のみでなく卒業証明書をはじめとした、書類の引き取りも必要でしょう。したがって式典は中止いたしますが、各学部学科の先生方の協力のもとに、学科単位での証書の授与を20日に、指定の教室等において行うことと致します。卒業生の皆さんは、それぞれ指定の時間と教室等を確認のうえ、証書と必要な書類を受け取ってください。
卒業生の皆さんは、在学中に蓄積した力をさらに最大限に伸ばして、それぞれの道で活躍なさりますように。今回のような不測の事態に戸惑うことのないよう、また人々との連帯の意識をしっかり持って、先頭を切って困難を乗り越えていくような、充実した人生を送られるよう祈念しています。最後になりますが、学長として、卒業おめでとうと申し上げます。
また、例年のように卒業生を送り出したいと考えていた在学生の諸君、今回は大震災に伴う止むをえざる対応として式典を中止しました。在学生には20日の登校を遠慮してもらいますが、先輩への感謝の念を忘れずに、今後の学生生活に集中してください。
平成23年3月16日