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経済学科 宮川 努 教授

1978年に東京大学経済学部を卒業し、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)へ入行。
99年から学習院大学経済学部経済学科教授を務める。
2006年に経済学博士号を修得した。
専門はマクロ経済学(生産性分析)、国際マクロ経済学、日本経済論。

【この道に進んだきっかけ】
大学時代、私が学んだ経済学は学問分野自体の規模が小さかったため、細かい分野に囚われず自由闊達な議論をする雰囲気があった。また、経済学を学んで応用することで日本の経済社会に対する自分自身の不安を少なくしようと考えたため。
経済学の観点から分析する 東日本大震災の教訓 経済学科の宮川努教授は、東日本大震災による経済的影響を分析する研究プロジェクトに参加している。将来の巨大災害に備えるためにも重要な研究だ。
2011年3月11日2時46分。東日本大震災が発生したとき、経済学部経済学科の宮川努教授は、ある外部の会議に出席していた。当然のことながら会議は中止となり、宮川教授は学習院大学に取って返した。「大学は比較的冷静でした。帰宅できなかった学生を含め約800名が構内で一夜を明かしたのですが、食料や毛布などの備蓄もあり、情報もある程度入手できたので、整然としていました」と宮川教授は述懐する。

誕生日に大震災に遭遇。4月にプロジェクトを開始

実は3月11日は宮川教授の誕生日だった。「私が生まれた日に大震災が発生した。それは私に、日本が直面する問題に真剣に取り組め、という啓示だったような気がするのです」。宮川教授は翌4月からすぐに、大震災の経済的な影響を調査するプロジェクトに参加することになる。

そのプロジェクトとは、独立行政法人・経済産業研究所が実施した「地域別生産データベースの構築と東日本大震災後の経済構造変化」だ。

「東日本大震災の経済的影響を分析し、復興過程でどのような経済構造変化が生じるのかを予測するものです」と宮川教授はプロジェクトの内容を説明する。

東日本大震災による被害の総額を、日本政府は約16兆円と発表している。ただし、この数字は、地震や津波などで被災地が受けた、インフラ機能、家屋の流出などの直接被害のみを試算したものだ。

しかし、大震災は被災地以外の経済、産業にも甚大な影響を与えた。被災地の多くの工場が稼働を停止し、道路が分断されたため、多くの生活用品が店舗に届かなかった。また、東日本にある自動車部品や精密機械部品などの工場が被害を受けたため、国内ばかりでなく海外の自動車・精密機器メーカーが長期にわたって操業停止を余儀なくされた。



宮川教授が撮影した東日本大震災の被災地の様子

商品は複雑な経路を通って消費者に届けられる。例えば加工食品の場合は、図1のように農家などの生産者が収穫した作物を加工メーカーに運び、それを使ってメーカーが食品を生産。その食品を卸売事業者が小売店に供給し、ようやく消費者が購入できる。

自動車の場合は経路が少し異なる。各自動車部品メーカーは、鉄鋼メーカーなどが納入した素材を加工して部品を製造する。自動車部品メーカーは、部品メーカーが納入した数万種類に及ぶ部品を組み立てて自動車を製造。完成した自動車は販売店経由で消費者に届けられる。

こうした経路をサプライチェーンと呼ぶ。生産者や小売店が震災で被害を受けなくても、サプライチェーンのどこかが分断されると、商品は消費者に届かない。大震災によるサプライチェーン分断の被害額も併せて分析することが、宮川教授らの研究プロジェクトの大きな特徴だ。

被災地を訪問して被害の状況を直接確かめる

宮川教授は研究のスタートに合わせ、2011年6月に被災地を訪れた。被災地の状況を直接確かめるためだ。「1995年に発生した阪神・淡路大震災の時も、直後に被災地を訪れましたが、その時よりも被害は広範囲にわたっており、経済的な影響も膨大になると思いました」。

プロジェクトで最初に取り組んだのは、データの収集だった。経済産業省の生産動態統計、地域間産業連関表を中心に、エネルギー関連では、電力事業連合会や日本エネルギー経済研究所のデータなどを集め、これら膨大なデータの分析手法を検討する。そしてようやく、2012年3月に分析結果を発表した。

分析結果の一部を紹介しよう。宮川教授らの試算によれば、東日本大震災の直接被害額は6兆5000億円。しかし、震災直後の状況が1年間続き、しかも東北地方の生産を関東地方で肩代わりすることができないという最悪の状況を想定すると、サプライチェーンが分断された影響で、経済被害の総額は142兆1000億円まで膨らむ恐れがある。一方、関東地方で生産を肩代わりできれば、その額は30兆5000億円まで軽減できる。すなわち、供給源を二つの地域に分散させれば、経済被害を大幅に軽減できることが確かめられたわけだ。

「例えば、東京で直下型地震が発生したときに懸念されるのが、京浜、京葉地域に集積している工場地域の被害です。これらの工場は、中小企業であってもそれぞれが高い技術を持ち、製造業の中で重要な役割を担っています。今後は、こうした企業の生産代替地の確保や地域間の連携が必要なことがはっきりしました」と宮川教授は提言している。

日米の研究者が共同で震災の影響を分析

国際プロジェクトに発展。国内生産減少の影響も分析

2012年度からは国際プロジェクトに発展させて、新たな視点で研究に取り組んでいる。日本経済の専門家である米国・南カリフォルニア大学のロバート・ディークル教授が参加し、国内生産の減少により、日本の経済収支、貿易収支が長期的にどの程度減少するのかという新たな観点から分析する。原子力発電所の停止が続く中で、火力発電の原料となる石油や天然ガスの輸入が増大しており、その影響も併せて分析する。

国際的なプロジェクトを円滑に進行させるため、学習院大学学長付国際研究交流オフィスの川上淳之准教授が事務局担当としてプロジェクト進行を担当する。
「実は私は、学習院大学の大学院で宮川先生にお世話になった門下生です。だから今回は恩返しをしたい。


発展させて研究に取り組んでいる。12年7月には日米の研究メンバー(左下参照)が集まり、キックオフミーティングを開催した


学習院大学学長付国際研究交流オフィスの川上淳之准教授が事務局として国際共同研究プロジェクトの進行を担当する。川上准教授は学習院大学大学院時代、宮川教授のゼミの門下生だった

現在は国際研究交流を推進する立場ですが、私自身は経済の研究者でもあるので、的確なサポートができると思います」と川上准教授は言う。

研究結果は、2013年以降に学習院大学と南カリフォルニア大学でワークショップを開催してまとめる予定だ(下のスケジュール参照)。「資材調達や部品調達のやりとりも、最近では2国間だけの関係では分析できないことも少なくありません。一つひとつのデータをを分析し、仮説を立て、検証を進めていきたい」。

宮川教授は意気込みをこう語る。宮川教授は「大げさに言えば、経済学は民主主義を維持するための必修科目の一つ」と断言する。

「民主主義は、人々が国や地域が実施する経済運営を理解したうえで、その運営者に対し選挙という自らの判断を下すことが前提になっています。その意味ではできるだけ多くの人に経済学を学んでほしい」

宮川教授が取り組む大震災の経済的影響の研究も、いくつかの分析結果を提示することで、国民が震災後の日本のあり方を選択するための判断材料の一つになるはずだ。

2013年3月 第1回ワークショップを学習院大学で開催
2014年1月または2月 東京にて公開会議を開催
2014年5月または6月 最終ワークショップを南カリフォルニア
大学で開催

国際プロジェクトには日本経済の専門家である米国・南カリフォルニア大学のロバート・ディークル教授が参加し、日本の経済収支、貿易収支への影響などを分析する


2011年度の研究成果をまとめたレポート「東日本大震災の経済的影響-過去の災害との比較、サプライチェーンの寸断効果、電力供給制約の影響-」。2012年3月に発表した。過去に世界を襲った大災害と比較し、東日本大震災による経済的影響の特徴を浮き彫りにすることを試みている

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