教員紹介

  • 経済学部とは
  • キャンパスライフ
  • 経済学部の教育
  • 教員紹介
    • 経済学科:教員一覧
    • 経営学科:教員一覧
    • インタビュー:多彩な教授たち
    • 経済学科
    • 東日本大震災の教訓 宮川 努 教授
    • 現実に即したミクロ経済学 清水 大昌 教授
    • 特定の国家間の貿易自由化による影響 椋 寛 教授
    • ワーク・ライフ・バランス 脇坂 明 教授
    • 実際の政策につながる市場研究を 清水 順子 教授
    • 経営学科
    • 深層心理に基づいたマーケティング 上田 隆穂 教授
    • コンピュータでわかる数学 白田 由香利 教授
    • 特許という経営戦略の武器 和田 哲夫 教授
    • ゲーム理論で行動の原理を探求する ディミトリ・リティシェフ 教授
    • 企業との密接な連携をもとに、人のキャリアを考える 竹内 倫和 教授
  • 就職・キャリアデザイン
  • 留学・国際交流
  • 多彩な制度・設備
  • 在学生の方
  • その他

経済学科 椋 寛 教授

1997年に横浜国立大学経済学部を卒業、東京大学大学院経済学研究科修士課程・博士課程を経て、2003年に学習院大学経済学部に赴任。2006年に東京大学より博士(経済学)を取得し、2008年から2010年までカナダのブリティッシュ・コロンビア大学にて客員准教授を務める。2011年より学習院大学経済学部教授。
研究分野は国際貿易論、特に特恵貿易協定や直接投資政策などの通商政策に関する分析。

【この道に進んだきっかけ】
経済活動における政府や公共機関の役割を考察する公共経済学を学ぼうと思い、公共経済学を教えていた先生のゼミに入ったのですが、その先生の専門が実は国際経済学・国際貿易でした。しかし学び始めたら、複数の国の政府や公共機関が絡む経済学であり、より研究したいことに合致していたのです。
急速に増加しつつある 特定の国家間の貿易自由化による影響 椋教授は国際経済学、とくに国家間のモノやサービスの移動を取り扱う国際貿易論を研究している。
昨今その動向が日本中の注目を集めているTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は「特恵貿易協定」と呼ばれる貿易に関する協定のひとつだ。特定の国家間で貿易障壁の撤廃、サービス分野や投資自由化を行うこの特恵貿易協定について、椋教授は研究を進めている。

変化しつつある貿易自由化のプロセス

158の国と地域が加入するWTO(世界貿易機関)。かつては、このWTOとその前身であるGATT(関税と貿易に関する一般協定)における交渉で貿易自由化に取り組むことが主流であった。しかし、近年は特定の国家間、グループ間で自由化を行う流れが盛んになっている。椋教授が行っているのは、この新たな貿易自由化の影響の研究だ。

「特定の国家間による自由化のメリットは、ひとつにはよりフレキシブルであるということ。WTO加盟158か国で話し合って合意に至ることができればそれが最良ですが、現実には各国の状況が異なりますから難しい。日本が最初にFTA(自由貿易協定)を結んだ相手はシンガポールですが、この場合は日本とシンガポールだけで交渉が妥結すればいい。すると、自由化のスピードが速いのです」

椋教授の研究手法は数式を用いたモデルを構築することによる理論的な分析を基本としている。つまり、特定のFTAや貿易協定のみに観察される特殊な影響を見るのではなく、より一般的に成り立つ影響を見るべく、モデル化を進めているのだ。

「貿易自由化には、大きく分けて三つのプロセスがあります。例えばA国・B国・C国の三カ国で貿易自由化を行うプロセスを考えてみましょう。一つがWTO交渉による、全ての国で一括して貿易自由化を進めるもの。残りの二つが特恵貿易協定を通じた自由化プロセスです。二つめは、三カ国のうちまずA国とB国とが特恵貿易協定を締結して自由化を行い、さらにその協定にC国が入るという形で多角的な自由貿易化を進めていくもの。そして三つめが、まずA国とB国間で特恵貿易協定を締結し自由化を進め、A国がC国との別の特恵貿易協定を締結して自由化を進め、さらにB国とC国が別の協定を締結するという形で、複数の特恵貿易協定による「ネットワークの拡大」を通じて次第に自由化の範囲を広げていくもの。いずれも一長一短があり、『このプロセスがよい』と言い切れないのが難しいところです」


貿易自由化に関する三つのプロセスを図解したもの。
どのプロセスにもメリット・デメリットがあり、一概にどれがよいとは言えない。

pict_mukunoki_05

モノだけでなくサービスの自由化が必要

もうひとつ、椋教授の代表的な研究にサービス貿易の自由化に関するものがある。大学などの教育機関が講義を通じて提供する教育サービス、金融機関の利用、ホテルの宿泊、外食、流通、修理やメインテナンスなど、日々の生活にはありとあらゆるサービスが関わっている。

「実はサービスの多くが国境を越えて提供されています。たとえば日本の外食産業が東南アジア諸国に進出し、現地で食事を提供することはサービスの輸出であり、逆に日本にやってくる外国の方たちから外国語を学ぶことはサービスの輸入として扱われます。国境を越えたサービスの取引は実態経済においてもとても重要な位置付けで、サービスの貿易は世界の貿易の中でもかなりの部分を占めています」

ただ、サービスには形がないため、実態が見えにくい。そのせいでなかなか研究が進んでいなかった。そこで、椋教授は単なるモノの貿易ではなく、サービスの貿易についても、自由化の影響を一つひとつ見ていくという研究を進めているのだ。

「実はサービスの貿易自由化と、モノの貿易自由化は密接に絡んでいるというのが、私の研究成果の一つです。単にモノの貿易自由化をするだけでは貿易のメリットが生み出せず、逆に通常は貿易によりメリットを受けると考えられている消費者にすら悪い影響を生じてしまうことがあります。しかし、モノと同時にサービスも同時に自由化をすれば、モノの貿易自由化のメリットも確保されるというのを理論的に示しています」

現実的には、先進国の間でモノの貿易自由化はかなり自由になっているものの、サービスの自由化に関してはまだまだ遠い道のりがある。
「サービスの障壁を取り除かないことには、モノの貿易自由化に関しても悪い影響が生じてしまうかもしれません。今後もモノとサービスのつながりに注目し、より深い分析を進めていくつもりです」

論文を書くことで得るものがある

椋教授のゼミには大きな特徴がある。発表の際に発表資料を用意するだけでなく、その資料のもととなる論文を必ず書かなくてはならないのだ。 「私のゼミではインターゼミという他大学のゼミとの合同発表会を行っています。その発表に際して論文をまず書いてもらい、そこから発表資料をつくってもらう。分量は決まっていませんが、だいたいA4で30~40ページくらいでしょうか」

学生たちも最初は非常に嫌がる、と笑いながら話す教授だが、単に発表資料だけではなく論文を書かせるのには確固たる目的がある。

「報告自体は、論文を書かなくてもパワーポイントなどで資料をつくればそれなりにできます。もちろん、それ自体を否定するわけではありません。でも、自分の意識の中では分かっているつもりの事であっても、いざ文章にしてみようとするとうまく文章にできない時がある。それはつまり分かっていないということ。箇条書きの報告資料と口頭発表だけだと、あやふやな部分があっても発表自体はできてしまう。それに対して、文章では嘘はつけない。文章にしてこそ初めて自分たちが分析したこと、主張したいことがきっちりと形になって出てきます」

また、報告自体をより良くするためでもある。発表時、発表資料に盛り込みきれない項目や数字についての細かな質問が出てくることがある。論文さえあれば、それらはほとんど解決できる。

「さらに言えば、論文は形として残ります。発表した経験も自分の財産として残りますが、論文は今後ずっと自分のゼミの成果として残せるだけでなく、これから論文執筆に取り組む後輩達や社会にでた卒業生にも貴重な資料として活用されます。形として残るものを生み出したことは、大きな自信にもなります」

ゼミ生のなかにはゼミで執筆した論文を持って就職活動を行い、自分の学生生活での経験をわかりやすく説明するためのひとつの武器にしている学生もいるのだという。



3年次に確固たるテーマを見つけるため、2年次はゲスト講師による授業なども盛り込みインプットを行う。発表の機会も多く、2年生は2、3週間に1回、3年生は3週間に2回のペース。


学生たちが実際に書いた論文。研究の成果がぎっしりと詰め込まれている。「これがあることで学生は『私たちが半年間取り組んできたものが形になっている』と自信をもって発表に臨みます」

国際貿易は人間関係に似ている

椋教授のゼミでは、3年生になると3~5人程度のグループを三つないし四つ組み、研究を行ってその成果を論文と発表資料にまとめる。国際貿易には様々な要素が絡むため、たとえば地球規模の環境問題がテーマになり得ることも。

「グループでひとつの論文をつくりあげますが、必ずしも各々の興味が一致するとは限りません。『私はこういうテーマを含めたいのにできない』といった揉め事も起こり、学生たちが悩みます。しかし、それこそが重要な体験なのです」

まずは自分が取り組みたいテーマを見つけること。その次のステップが、やりたいことが常に実現できるとは限らないということを知ること。それが、テーマ以上に大切なのだと教授は語る。

「人の意見も受け入れながら、自分がどうしてもこれだけはやりたいということをいかに論文に含めるか。それは、実は国際貿易にたいへん近い状況なのです」

国家間のやりとりとして、大きく遠い印象のある貿易。それは、実は日々の人間関係と似通っている。

「性格もやりたいことも違う人が集まり、皆でひとつの経済をつくりあげるように論文を完成させる。それは国際貿易における国同士の衝突と協力と同じような面があります。最初は意見がぶつかることに不利益を感じていても、終わってみると異なる意見を持ったものが一同に会して協力したことが全員の利益になっていたと気づくはずです。勝ち負けではなく、互いの取引で皆が豊かになるというのは国際貿易の基本的な考え方。ゼミを通じて、国際貿易のメカニズムをより身近なものとして捉えてもらいたいです」

  • 椋ゼミのホームページ
  • 椋ゼミのfacebookページ
  • 経済学研究科(大学院)
  • 経営学研究科(大学院)
  • 高校生のためのウェブマガジン
  • 入試情報
  • 経済学会
  • GEM
  • G-Port
ページトップへ