近年、内外の経済は、技術革新や国際化の急激な進展、ならびに、高齢化社会の到来などに伴って、新たな、解決困難な課題に直面しています。経済学は、こうした諸問題に対処するためには、これまで展開されてきた理論ならびに実証分析の一層の深化と新たな研究が要請されるとともに、国際間における学術交流のより一層の進展ならびに隣接諸科学との学際的研究が強く求められています。
こうした中、経済学の研究においては、内外で大きな前進が見られつつあります。例えば、経済主体の行動をその相互依存関係や情報の非対称性を考慮して分析する情報の経済理論が飛躍的に進歩しました。情報の経済学は日本的企業間関係、雇用契約形態、さらに貿易政策などの分析にも応用され、わが国の経済制度や慣行の特徴を体系的に分析し、欧米のそれと比較する試みもなされるようになっています。このほか不確実性下の期待形成など人間の心理的側面をもとり入れた行動分析など、新たな展開を進めつつある経済学研究分野も多くあります。
これら最新の研究動向を踏まえ、問題解決能力を身につけた人材を社会に送り出すという責務に加え、すでに経済社会で活躍している社会人に対し、環境変化に見合ったより質の高い能力開発の機会を提供するものとしても期待に応えるべく、大学院運営を図っています。
経済学研究科は、高度な専門的能力を備えた経済学研究者および社会人を育成するという大学院教育に課せられた社会的要請に応えることをめざしています。
経済学研究科(博士前期・後期課程)は、経済学の高度な専門性を有する有為の研究者及び高度専門職業人を養成することを目的とします。
博士前期課程:修士(経済学)
博士後期課程:博士(経済学)
博士前期課程においては、必要な修業年限を満たし、修士論文または特定の課題についての研究の成果を含む所定の単位を修得した者に対して、経済学の高度な専門性を有する有為の研究者あるいは高度専門職業人として社会で活動できる能力を身につけているものと認め、学位を授与します。
博士後期課程においては、必要な修業年限を満たし、所定の単位を修得し、指導教員による論文指導を受けたのち博士論文を提出して審査及び試験に合格した者に対して、経済学において自立した専門的研究活動を独自に遂行する能力及び高度専門職業人としてふさわしい高度な学識を身につけているものと認め、学位を授与します。