史学科 入試情報


Q&A

Q1.入学試験で史学科に合格するためには、高校時代にどんな勉強をすればよいのでしょう

 史学科に進学したいと考える人はおおむね「歴史好き」な人だと思われるのですが、歴史科目ばかり勉強するような偏った学習は好ましくありません。
入学試験の配点から見ると、歴史を含めた社会科の成績よりは、むしろ国語と外国語のほうが配点の比重が重いのです。国語・外国語の学習が重視される理由は、入学後の学習と深い関係があるということに注意してください。
  入学後に必要となるのは、高校までの「憶える歴史知識」ではありません。既に解明済みの、いわば「調べればすぐ分かること」は、それをどれほど多く憶えていたとしても「新しい発見」に必ずしもつながるわけではありません。入学後の学習では、専門的な学術文献や漢文・欧文の歴史史料、外国語の研究文献などを多数読み解いていくことが必要となります。そのためにも国語や外国語の基礎的なちからが必要になってきます。中国・朝鮮史の研究においてはいうまでもなく、日本史研究でも漢文の読解力が欠かせません。
  レポートや論文を書く場合においても、現代国語のちからは必要です。文章を書くというと、皆さんは感覚的な表現を重視するエッセイを思い浮かべるかもしれません。しかし、歴史の論文に求められるのはむしろ論理性です。ふだんからそうした論理性に富む論証文に触れておくことが大切です。
 欧文史料を扱う西洋史や東洋史の研究では、必要におうじてヨーロッパ諸語を学ぶ必要が出てきますが、英語を学ぶことでつかんだ要領は、他の欧州言語を学ぶときに役立ちます。また、欧州各国語の文献で英訳されているものも少なくありません。したがって高校時代に身につけた英語のちからは入学からも、ますます大切になってくると言えるでしょう。
  最後に純粋に受験技術的な話題に触れておきますと、本学の出題した過去の入試問題を、文学部にかぎらず法学部・経済学部の試験問題も繰り返し解いておくことはたいへんに有益だということです。本学の入試問題はどの教科をとっても入学後の応用力に結びつくような良問ばかりです。こうした問題を解いた経験は他大学を受験するに際しても大いに役立つことでしょう。

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Q2.指定校推薦の推薦候補に選ばれなかったのですが、どうしたら良いですか

 指定校推薦は多くの大学で行われている制度ですが、推薦を受けた志願者を基本的に全て受け入れることから、どうしても一部の学校に制限せざるをえません。各高校に依頼する推薦者数も限られたものになってしまいます。このため、史学科では、入学を希望する生徒の意思を最大限に尊重する主旨で、2004年度から公募制推薦という新しい方式を実施しています。

公募制推薦の推薦基準
(1)学校教育法に基づく高等学校(中等教育学校の後期課程を含む)を卒業見込みであること
(2)史学科への入学を熱望し、合格した場合の入学を確約できること
(3)高等学校3年1学期または前期までの全科目の評定平均値が3.8以上であること

学校内の成績が一定の基準を満たしていること、史学科に入学したいという強い希望を抱いていることなどを保証する推薦書を高等学校の校長先生から出していただく必要がありますが、指定校推薦の対象高校でなくとも出願できます。日本の学校制度に基づく高等学校に在学していて推薦基準を満たしている人ならば、どの高等学校からでも応募することができます。また、ひとつの高校から複数の生徒が出願することもできます。指定校推薦の対象高校の場合も同様です。
  ただし、例年数十人の応募者があるため、学科定員の制約から志願者全員の希望に応えることはできず、小論文と面接によって選考することになります。選考においては、歴史を学ぶ熱意とともに、大学で学ぶ歴史学に適応できるかどうか、4年間を通じて充実した学習・生活を営んでいけるかなどが問われます。例年十数名が合格していますが、合格者数は毎年、変動します。
  応募書類の入手などは本学アドミッションセンターにお問い合わせください。


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Q3.史学科では考古学を学ぶことができますか

 歴史を研究する方法は、手がかりとする資料ごとにかなり異なったものになります。本史学科では文献の読解を通して、歴史を研究する方法を主に学んでいきます。これに対して、考古学とは、土器や建物跡などの実物や痕跡を考察・分析することによって、過去の社会を研究する方法をとる学問体系です。
  考古学の専門家は、陶器の破片を見ただけで産地や製作年代を判別したり、破片の出土した土層から遺跡の存続・廃絶時期を推察したりしますが、こうした考察の前提には、膨大な作業が行われています。まず遺跡発掘の現場での作業があります。遺物の出土した状況を記録し、遺跡に残された建物などの痕跡である遺構も正確に計測して図面に記録します。次に、丁寧に取り出した遺物の断片のひとつひとつを正確に計測して図面に書き起こします。断片から復元できる形態の特徴から、時期による変化を見出し、時代の順番に並べて相対的な年代変化を考えます。これらの作業は、資料の「編年」と呼ばれる作業ですが、このような作業を常に繰り返しているために、考古学者は現場で土器や陶器の断片を見ただけで、それがいつの時期に生産されたのか、魔術師のように指摘するという姿になるわけです。このように、考古学では「遺物の観察・記録・考察」が重要であることがわかるでしょう。
  文献史学ではモノそのものよりも、そこに記されている文字情報に着目します。遺跡そのものからまったく文字の検出されていない場合であっても、例えば同じ位置に重なり合って存在する道路Aの遺構と道路Bの遺構の間の年代に運河の遺構が検出されれば、たとえば、藤原京の造営工事について『日本書紀』に残されているいくつかの記述と照らし合わせて、現場で観察された3つの遺構の段階と『日本書紀』の記述との対応関係を検討するといったことになります。
  考古学研究は、文字に書き残された史料のない、非常に古い時代をも対象とする学問ですが、対象となる時代が限定されているわけではなく、近世・近代など非常に近い時代の遺跡までが対象であり、こうした時代に関しては文献史学との関係が強いものと言えます。ただし、考古学者が主に扱う歴史資料はモノそのものが基本で、文字の書かれた考古資料の扱いでは文献史学によって編み出されてきた研究方法を利用することになります。
  本史学科では考古学の核になる「遺物の観察・記録・考察」の技術を教えたり、発掘調査を主体的に行ったりすることはありません。考古学を主な内容とする授業も「考古学概説」しか用意していません。しかし、考古学者の明らかにした成果をどのように文献とつきあわせて利用するのかという点になると、特に古代史分野では不可欠の問題ですから、多くの授業でしばしば具体的な話を聞くことになります。
  あなたが、遺物を探し出して観察することに歓びを感じる人ならば、迷わず考古学を専門に教える学科や専攻の設置されている他大学へ進学すべきです。当時の社会において書き残された史料を中心に、遺跡や遺物の調査で分かったことをつきあわせて考えたいという人ならば、それは本史学科においてじゅうぶんに可能です。図書館などで研究者の著した文献・著書を読む際に、その著者が文献史学の方法による研究者なのか、あるいは考古学者なのかという点について、意識して読んでみると、それぞれの学問の違いを感じることができるのではないかと思います。

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Q4.絵画や彫刻を鑑賞するのが好きなのですが、史学科ではそういったことを学べますか

 モノに即した研究手法のうち、美術・工芸作品から歴史〔美術作品や美的意識の歴史〕を研究する手続きの体系を「美術史学」と呼んでおり、本学では哲学科にこの学問体系を学ぶ美術史コースがあります。
  たとえば役者の肖像をリアルに描いたことで知られる東洲斎写楽という浮世絵師がいましたが、彼の作品に見られる描写テクニックを同時代の他の浮世絵師の作品と比較して、技法の源や影響関係、どのような点に独自性があり、時代との関係でどのような影響を残したのかというように、作品そのものの理解を深めようとするのが美術史学のアプローチです。
  写楽については、正体が不明でごく短期間しか活動しなかったという謎が有名ですが、彼の作品の出版元が蔦屋重三郎という当時の浮世絵界で大変に有力だったプロデューサーであることは疑問の余地のない点です。蔦重をはじめとする当時の出版業界や歌舞伎界の事情を調べたり、写楽の正体について日記に書き残している斎藤月岑という文化人とその人的な交流の範囲を調べたりといったことは、作品そのものからはやや離れてゆく方向性の研究ですが、扱う史料から文献史学のアプローチも可能な分野です。
  著名な神護寺蔵伝源頼朝像が実は足利直義の画像であるという説は、1995年に提起されました。まだ論争が終結したわけではないようですが、最近では高校の教科書でもこれを源頼朝像として紹介するものがなくなるという影響になってあらわれています。
  この新説は、神護寺に対して自分と兄の像を奉納したことを伝える足利直義の書いた書状が発見されたことと、14世紀に描かれたことが確実な夢窓疎石の画像などと描写技法の細部が類似していることを根拠にして提起された学説です。京都御所東山御文庫からその足利直義書状を探し出すプロセスは文献史学の研究と言え、夢窓疎石の画像と問題の画像について、描写の細部を比較するプロセスは美術史学の方法論による考察です。文献史学と美術史学とが研究素材の違いに対応していることがおわかり頂けることでしょう。
  この論争は日本美術史上でも最大級の事件のひとつに数えられています。この肖像画は、たとえそれが足利直義の画像であったとしても日本の肖像画を代表する傑作であることにかわりはないものです。問題は、13世紀に描かれたのか14世紀に描かれたのかによって、肖像画の歴史をどのように復元するのか、その流れ・ストーリーが変わってしまう点にあります。これが美術史学に及ぼしている影響です。
  文献史学の研究者も、これまでは神護寺蔵伝源頼朝像のイメージを念頭において源頼朝の人物像を思い描いてきた経緯があるため、衝撃は大きいのです。足利直義の画像であったとすると直義の人物像もイメージが変わってしまうことになります。論争のゆくえが関心を集めているゆえんです。
  美術作品そのものを研究することに関心があるのならば美術史学(学習院大学の場合は文学部哲学科でこれが学べます)を選ぶべきですし、作品を生み出した世界に関心があるのならば、文献によって周辺事情を掘り下げて調べてゆくことが大切であり、本史学科では後者のアプローチを学ぶことができます。本史学科の卒業論文では、ダ゙・ヴィンチやフィレンツェのメディチ家を素材として、芸術家とパトロンの関係について執筆する人もいれば、中国の墓所内部の装飾などの画像を調べて、思想や宗教の面からこれを分析している人など、さまざまな取り組み方があります。

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Q5.日本語日本文学科と史学科とどちらが自分に適しているのか悩んでいるのですが

 日本語・日本文学の研究は日本史学と同じく、源流は江戸時代の国学にまで遡ります。和文の古典のなかから古代人の姿を発掘しようとした本居宣長は古代文法の研究や古典の解釈、思想や制度など多くの分野に関心を持っていました。国語学〔日本語学〕・国文学〔日本文学〕・国史学〔日本史学〕などはこのような流れから分化してできてきたものです。江戸時代には儒学が重んじられたことから、漢学の伝統も形作られ、これは、日本文学のなかの漢文学研究や東洋史・日本史の研究に継承されています。
  分化が進んできた理由のひとつは、明らかにしたい問題ごとに特有の方法を開発しなければならなかった点にあります。日本語学では、現代・前近代の日本語の使用事例を調査して、発音・文法・語義を明らかにしたり、日本語の構造がどのように変化してきたのかを調べます。まず事例をカードなどに記録し、充分な量の事例を集めたら、これを統計的に処理して使用法や語義を解明するという要領になります。その成果を一般に提供する姿としてポピュラーなものは辞典です。日本史の研究でも、史料を解釈するためには日本語学の成果を適切に学ばなければなりません。『日本国語大辞典』(小学館)や『大漢和辞典』(大修館書店)など、最大規模の辞典類を常に参照することになります。
  日本文学の研究は、日本語学の成果を利用するという点では日本史学に通じる面がありますが、同じ素材を利用する際に、何を明らかにするためにそれを利用するのかという目的や立場の点で歴史学とは大きな違いがあります。文学では、現代に伝えられ生き残った作品の鑑賞と価値評価を目的としています。文献史学でも文学作品を素材として利用することは普通のことですが、検討の軸足は作品そのものではなく、それを作った人物〔特にその人物の思想や立場〕か、ないしは、作品に描かれた歴史世界の側に置かれているのが普通です。失われてしまって今は存在しない「何か」を知るために現存する素材を利用するのであり、文学作品そのものの文学的な価値の理解を目的とはしていないのです。たとえば、本文が伝わらず題目しか知られていない著作物は、文学史研究の目的である文学的価値を議論する材料にはなりにくいものですが、題名から主題や内容が推察できるのならば、その著者の思想や視野を論じる思想史・人物史の素材として、文献史学の側では充分に議論の素材になるのです。
  しかしながら、文学も歴史のなかにある現象であって、特に近代の文学は他の歴史的な事象と切り離して論じることが難しいということが認識されるようになっています。たとえば、夏目漱石がなぜ「則天去私」というモットーに行き着いたのか、与謝野晶子と大正期の女性解放運動が強く結びついているのはなぜか。いずれも近代家族制度の確立と若者の生き方との間の矛盾に根を持っていると考えられます。
  作品よりも人や社会状況に関心があるのならば史学科を選ぶのが良いでしょう。作品そのものをきっちり読み解きたいというのならば日本文学科で学ぶのが良いでしょう。自分自身の感性がいずれの方向に向いているのか知るためには、日本文学と日本史学の著作を読み比べてみて、心の琴線に触れるのはどちらか、確かめてみて下さい。

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Q6.史学科に入学後の外国語の履修について教えて下さい

 学習院大学の史学科では、入学後に外国語科目として2カ国語以上を学びます。卒業するための必修科目として、外国語(T)と外国語(U)という枠組みを用意しています。
  外国語(T)では、高等学校までに、すでに授業によって習ってきた外国語(既習の外国語)を、本学の中級以上の外国語の授業を履修して、その能力を伸ばす方針をとっています。多くの人の場合、これには英語があたるでしょう。ドイツ語・フランス語・中国語をあてることも可能ですが、本学での履修を中級科目から始めなければなりませんので、ある程度の時間をかけてなじんできた外国語であることが求められます。なお、外国人学生特別入学試験で入学した学生の場合のみ、外国語(T)に日本語をあてることができます。
  外国語(U)では、英語・ドイツ語・フランス語・中国語・ロシア語・スペイン語・イタリア語・朝鮮語・アラビア語の中から、外国語(T)として選択したもの以外のものをあてます。原則としてこれらの外国語科目の初級の授業から履修することになります。ただし、どの外国語を学ぶ場合にも、一つの外国語について1年間以上続けて履修しなければなりません。さまざまな外国語を半年ずつ試してみても、なかなか身にはつかないため、1年間はじっくり取り組んでもらうことによって初めて履修できたと認めるという方針で指導しています。なお、外国人学生特別入学試験で入学した学生の場合には、特別な理由のない限り、外国語(U)に母語をあてることはできません。
 

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