HOME > 教員スタッフ紹介 > 伊藤 研一 教授

教員スタッフ紹介

伊藤 研一 教授臨床心理学

<主要著書・論文>
「心理臨床への道しるべ」八千代出版 2006
「治療者にとってのフォーカシング」至文堂 2001
「臨床動作法とフォーカシングの連続性と相違」臨床動作学研究 2002


「カウンセリング訓練に求められる要素の考察―フォーカシングで劇的な変化が生じた一大学院生の事例から」人間性心理学研究 1999
「学習援助を心理療法に統合する試み」心理臨床学研究 1993

<研究分野>
 専門は臨床心理学です。以前は児童や青年と会うことの方が多かったのですが、ここ10 数年間は成人のクライエントと会うことの方が多くなってきました。そういった面接では、ジェンドリンのフォーカシングがいろいろな面で、面接の支えとなってきています。フォーカシングでは、言葉にならないけれど、からだに感じられる感じと「コミュニケート」します。この感じを「フェルト・センス(felt sense)」と呼んでいますが、このフェルト・センスは、クライエントと面接している最中にも、私の中に現れ、変化していきます。私の現在の面接は、半分はクライエントの話や表情、姿勢、声のトーンなどに注意を向けながら、半分はこの私自身のフェルト・センスと対話しながら進んでいきます。そうすることによって、より深くより的確なクライエント理解につながる感触を得ているところです。またこのフォーカシングを軸にして、他の心理療法の技法(臨床動作法、内観療法)との統合や接点を探っています。
<趣味・特技>
 過去に手を出したり、熱中したりしたものは、化学実験、アルト・サックス、尺八、フルート、バイク、TVゲーム、クラシックからジャズ、ロック音楽鑑賞(というより没入)といろいろです。大体は児童、青年のクライエントが関心を向けているもの(「心の窓」といいます)を共有しようとして始めたものです。クライエントは元気になって面接が終了し、すでに違うものに関心を向け始めているのに私はまだ抜けられないでいるということもしばしばあります。
<私の授業>
 私のゼミでは前期には臨床動作法とフォーカシングという心理療法で実際に使われている技法を経験してもらいます。臨床動作法は、特定の動作や姿勢を通してからだの感じに注意を向け、リラックス感を体験したり、からだの感じに自覚的になったりする方法で、日本で生まれた数少ない心理療法の一つです。この方法を経験したゼミ生は「からだが楽になることでなぜか心も楽になることがわかった」(リラックス感)や、「楽な状態を経験したら、緊張しているときがわかるようになった」(心身の状態の自覚)、「自分自身についての確かな感じ、ここに自分があるという感じを得られた」(自己存在の手ごたえ)、「組になった相手との間に一体感ができた」(他者への信頼感)などの感想を寄せています。
 フォーカシングでは、フェルト・センスを感じ取ることが第一歩です。たとえば好きな異性を思い描くと胸が締めつけられるような感じがしますが、これもフェルト・センスの一つです。ただ、このフォーカシングを進めていくのにはコツがあり、長時間の練習を要するので、ゼミでは比較的入りやすい方法として描画を取り入れた方法を行なっています。たとえば、自分の心を「天気」にたとえて描いてみるとか。この方法でも自分の心の微妙な様子や変化がとらえられて新鮮な発見があります。
 とにかく、理屈の前に実際に経験する、これが私のゼミの特徴といえるでしょう。

ページトップへ戻る