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教員スタッフ紹介

林 公輔 教授臨床心理学

<主要著書・論文>
「Discrepancy in Psychological Attitudes Toward Living Donor Liver Transplantation Between Recipients and Donors」Transplantation 2015
「日常臨床における精神療法」(共著)星和書店 2016


<研究分野>
 私はこれまで精神科医として働いてきました(今も働き続けています)。精神科医療の現場では薬物療法が中心的な役割を担っていますが、私の関心は心理療法とか精神療法と呼ばれているものに向かっています。それは、人と人とが出会った時に生じる化学反応であると表現できるかもしれません。

 そのような化学反応が生じるときに重要な働きをするのが「イメージ」です。例えば夢や絵、物語などがそれにあたります。私の関心の1つは、イメージを通して自分のこころに出会うことです。残念ながら私たちは、苦しみや悲しみを避けて通ることができません。世の中は理不尽で無常です。このような世界を生きていくためには、自我を超えた「何か」の働きにオープンであることが大切なように思います。理屈では説明できない「何か」です。そしてそのような「何か」は、夢や絵といった「イメージ」を通して私たちにその姿を見せてくれます。苦しみの中で立ち現れてくるイメージを体験すること(生きること)を通して、私たちは新たな地平に立てると思うのです。

 関心あることの2つめは集団精神療法です。何人かの人たちと輪になって座り、心に浮かんだことを言葉にします。グループに言葉を投げかけることは、池に石を投げることに似ています。私の投げた石(言葉)は池(グループ)に波紋を生み、波紋はメンバーのこころに届きます。そのまま通り過ぎてしまうこともあれば、何かを揺らすこともあるでしょう。揺れたこころを言葉にして、メンバーが再度グループに投げかけます。そのような積み重ねを経て、私は私のこころを前よりも少しだけ知ることができるようになると考えています。

<私の授業>
 先にも述べたように私は精神科医ですから、医学領域についての講義を担当します。こころと身体は簡単に分けて考えることができません。密接に関連しあっています。ですから、心理学を志すみなさんには、身体についても学んで欲しいと思います。

 ゼミナールでは、集団精神療法や描画を通じて、参加した皆さんがそれぞれのこころに出会う機会を提供したいと考えています。実際に言葉にしたり、手を動かしたりすること(自我が努力すること、そして諦めること)を通じて、こころはその姿をほんの少しだけ、私たちに見せてくれると思うのです。

 一方的に何かを教えるのではなく、できるだけ相互に交流しながら、「また行きたくなるラーメン屋」のような授業になったらいいなと思っています。
 

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