研究詳細
東アジアの都市における歴史遺産の保護と破壊―古写真と旅行記が語る近代
プロジェクトの期間
2015年度~2017年度
プロジェクトの概要
20世紀初め、それは日本人が写真と旅行記・手紙・新聞等によって日本に居ながらにして世界を知ることができるようになった時代です。携帯用小型カメラの 開発、近代郵便制度の確立、絵はがきの製作・販売など、諸条件が揃ったのがその時期でありました。百年の時間を経た今、古写真や絵はがきの劣化が激しく、 また、所蔵機関で資料的価値が認められずに廃棄されることも多くあります。幸いにも学習院大学には教材として使われたガラス乾板や絵はがき資料が数千点以 上残されています。これらの資料には百年前のアジア・日本の風景・風俗文化、歴史遺産(建築物)のすがたが残されております。本研究では東アジアの都市に ある歴史遺産はこの百年でどう保護されてきたのか、どう破壊されたのかという問題について考え、未来の都市と歴史遺産のあり方について展望を示したい。そ のためには、国内外の機関における古写真・絵はがき・旅行記・新聞記事を収集・整理し、それらを時間軸に沿って並べ、変化を見る必要があります。すでに本 学が所蔵している画像資料は文部科学省・私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「近代アジアへの眼差しと教育学習院コレクションの総合的活用」 (http://www.gakushuin.ac.jp/univ/geore/research/research_a-1.html)によって整理 が進んでおります。本研究は、古写真・旅行記を基軸に、国内外の研究機関所蔵の資料、古写真と同じアングルから撮影した歴史遺産の写真を時間軸・地域軸に 沿って並べて歴史遺産の保護・破壊の過程をたどるものです。
対象とする資料には以下のものを考えています。
- 中国大陸の古写真・絵はがき・ガラス乾板資料(ハルビン・吉林・長春・瀋陽・安東・錦州・承徳・金州・大連・旅順・北京・天津・済南・青島・上海・広東)
- 台湾の古写真・絵はがき資料
- 朝鮮半島の古写真・絵はがき・ガラス乾板資料
- 東南アジアのガラス乾板資料
これらを材料に以下の作業をすすめます。
- 古写真でみる「旅するアジア」バーチャル・ミュージアムの構築
- 写真展「旅するアジア~歴史遺産の過去と現在」の実施
- 書籍『旅するアジア―写真と旅行記が語る近代(仮称)』の刊行
今まで顧みられていなかった資料の重要性を見直しつつその整理を行なうとともに、WEB・展覧会・書籍という三つの方向からの研究成果の公表によって、広くわかりやすく成果を公開していけるものと考えられます。
参加研究者
名前 | 所属 |
---|---|
鶴間 和幸 | 学習院大学文学部史学科・教授 (代表者) |
伊藤 真実子 | 学習院大学国際研究教育機構・教授 |
村松 弘一 | 学習院大学東洋文化研究所・客員研究員 |
長佐古 美奈子 | 学習院大学史料館・学芸員 |
犬飼 崇人 | 学習院大学国際研究教育機構・PD共同研究員 |
原 信太郎アレシャンドレ | 学習院大学国際研究教育機構・PD共同研究員 |
武藤 那賀子 | 学習院大学国際研究教育機構・PD共同研究員 |
大出 尚子 | 学習院大学 国際研究教育機構・客員研究員 |
小志戸前 宏茂 | 学習院大学 国際研究教育機構・リサーチアシスタント |
金子 元 | 学習院大学 国際研究教育機構・リサーチアシスタント |
大知 聖子 | 学習院大学 国際研究教育機構・リサーチアシスタント |
呉 修喆 | 学習院大学 国際研究教育機構・リサーチアシスタント |