学習院コレクション
学習院大学図書館に所蔵されている貴重なコレクションを紹介します。
華族会館寄贈図書
解説
明治2年に華族に叙せられた旧藩主・公家たちが、明治7年に結成した団体である華族会館は、明治10年に子弟の教育機関として華族学校(現在の学習院)を設立しました。設立の際、それまで華族会館が図書館建設を目的に収集していた図書11,000冊(和漢書:9,159冊、洋書:1,614冊)がそのまま華族学校に引き継がれ、現在の学習院大学の所蔵に至りました。
コレクション内容は、華族が利用するために購入した国内外の新刊書や、徳川宗家、松平家から寄贈された古典籍類のほか、明治天皇、冷泉家などの旧蔵書も含まれ、多彩な内容となっています。
詳しい解説は以下のリンクを参照(「学習院大学学術成果リポジトリ」のページへ)
- 広瀬淳子. 学習院が所蔵する徳川宗家旧蔵書について : 忘れられた華族会館寄贈図書. 人文, (8), 2010, p.149-184.
- 広瀬淳子. 学習院が所蔵する華族会館旧蔵洋書について : 忘れられた華族会館寄贈図書その2. 人文, (10), 2012, p.119-152.
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京都学習院旧蔵書
解説
京都の公家教育機関であった京都学習院(存続期間:弘化4年(1847)~明治3年(1870))の旧蔵書の一部である1,707冊が明治13年に京都府から宮内省に送られ、その後、宮内省から学習院に寄贈されました。そのうち現在所蔵が確認されているのは、1,535冊で、主として漢籍のコレクションです。
なお、京都学習院の旧蔵書は、本学のほか、京都府立総合史料館や内閣文庫などにも引き継がれています。
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近衛文庫
解説
第7代学習院長近衛篤麿氏(1863-1904)は、在任期間中に第3代貴族院議長(明治29~36年)も務めました。
本コレクションは、明治37(1904)年11月30日に近衛氏より寄贈されたもので、幼児教育から高等教育にいたる教育書をはじめ、法律書、ドイツ語文献、ビスマルクの著作等、『教会法大全』や『ローマ法大全』、その他多数の貴重書も含まれています。学習院改革に力を尽した院長の熱意が偲ばれるコレクションです。
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白鳥文庫
解説
白鳥庫吉氏(1865-1942)は、わが国東洋学史の開拓者と言われています。明治34年から36年までヨーロッパに留学し、ドイツ・ハンガリー・フランス・フィンランド・ロシア等を歴訪、主としてパリ滞在中に資料を収集したと言われています。
本コレクションは、白鳥氏が学習院教授と東京帝国大学教授を兼任するようになった明治37(1904)年に白鳥氏より寄贈されました。東欧・中近東・南アジアの資料が多数含まれ、白鳥氏の関心の広さがうかがわれます。
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立花文庫
解説
初代学習院長立花種恭氏 (1836-1905)の旧蔵書で、立花種忠氏(子息)により寄贈されました。立花氏はもと陸奥国下手渡(1万石余)の9代目藩主で、学習院初代院長(明治10年~明治17年)を務めた後に華族局戸籍課長等を歴任しました。
旧蔵書には、古今和歌集、後撰和歌集、拾遺和歌集、後拾遺和歌集、金葉和歌集、詞歌和歌集、千載和歌集、新古今和歌集の写本(貴重書)や、武術、書道、華道関係の文献が含まれています。
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乃木文庫
解説
第10代学習院長(1849-1912)乃木希典の、書、写真、日露・日清戦争関連資料、台湾総督府調査資料等の旧蔵書です。うち半分は生前本人から、残りは遺言により遺族から寄贈されました。
乃木氏はもと長府藩士で、維新後は陸軍に入り、西南戦争、ドイツ留学、日清戦争、台湾征討、台湾総督、日露戦争(第三軍司令官(大将))を経た後、明治40年(1907)に学習院長に就任しました。大正元年(1912)、明治天皇の大葬の夜に夫人とともに自決し、明治を代表する軍人といわれています。
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福羽美静文庫
解説
福羽美静氏(1831-1907)の旧蔵書で、大正3年(1914)に福羽逸人氏(養子)により寄贈されました。福羽氏はもと津和野藩士で、明治初頭の神祇政治に活躍しました。神祇事務局権判事、神祇少副、宣教次官、神祇大輔、教部大輔を歴任して明治の文教政策に関わり、また皇室の信も厚く、侍講、進講、歌道御用掛も務めました。
本コレクションには、活躍した当時の神道や歌道に関する資料が含まれています。
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林文庫
解説
林博太郎氏(1874-1968)の旧蔵書で、林友春氏(子息) により寄贈されました。林氏は明治32~36年ドイツに留学後、学習院教授、東京高商教授、東京帝大教授、南満州鉄道総裁、高千穂商科大学理事長等を歴任しました。大正3年から昭和22年にかけて貴族院議員も務めました。
本コレクションは、教育、哲学、文学関係書を主に構成されており、なかでも旧満州国初等教科書類は貴重なものと言えます。また、本コレクションには、林氏が教育審議会(昭和12年12月設置。審議に3年10ヶ月を要して昭和16年10月完了。)の整理委員会委員長として答申原案の作成に当たった際の委員会資料の一部も含まれています。
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醍醐文庫
解説
醍醐忠宜氏(1926-1977)旧蔵書で、醍醐顕子氏(母堂) により寄贈されました。1960年代から1970年代前半に出版された数学書、語学書が中心です。英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語をはじめ、満州語、蒙古語、サンスクリット語、ベンガル語、タタール語、パミール語、クルド語、アルメニア語、セルビア語、フェニキア語、サマリア語、バスク語、ウェールズ語、リトアニア語など、さまざまな言語学の本が含まれています。
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筧文庫
解説
筧克彦氏(1872-1961)の旧蔵書で筧泰彦氏(元学習院大学文学部教授、子息)より寄贈されました。筧氏は明治30年に東京帝国大学法科大学卒業後、翌年、ドイツへ留学しました。その後、同大学教授となり憲法学などを担当しました。本コレクションは主に憲法関係の和書と洋書から成ります。