
【 解 題 】
日記文学。3巻。藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは、937~995年頃)作。安和2年(969年)~天禄2年(971年)頃成立。
上巻末の「あるかなきかのここちするかげろふの日記といふべし」に基づく書名。
当館所蔵は、木箱表題に「契沖(けいちゅう、国学者)手写」とあり、写本。下巻末および国書総目録によれば、
「享和2年、上田秋成(うえだあきなり)跋」を見ることができる。さらに下巻末に、第4代華族女学校長細川潤次郎氏の跋を合せて閉じ直してある。
朱の書入れあり。旧分類313/49、貴重書室の箪笥抽斗4番にある。明治37年5月10日、購入して受け入れている。木箱と折畳みの「ちつ」に入り、和綴じ3冊から成る。
昭和6年11月12日、皇后陛下行啓の折、山岸講師を説明者に契沖自筆本として展示したこともある。

内容としては、夫藤原兼家との結婚生活を中心に、
上巻15年、中巻3年、下巻3年と、21年間の半生が回想によって描かれている。それはちょうど道綱母の18,9才から38,9才に該当し、
女流による息の長い仮名日記として、その文体と心理描写は後の「源氏物語」にも少なからぬ影響を及ぼしている。