陳維曾・准教授はシンガポール国立大法学部で国際私法の教鞭を執られる傍ら同大学のアジア法学研究所長として国際的に活躍しています。今回、近くケンブリッジ大学出版会より出版予定の The Beijing Consensus? How China Has Changed the Western Ideas of Law and Economic Development. (仮訳:北京コンセンサス?中国は西洋の法と経済発展概念をどのように変えたか)の内容紹介を兼ねて1時間の講演をしていただいた。陳教授によれば、国際的規範としての北京コンセンサスは存在しない。陳教授は所有権、資本市場、会社法の三つの分野を検討し、中国モデルはdistinctive (特徴的)ではあるが、unique(独創的)ではなく、従ってモデルとしての普遍性を持たないと論じた。陳教授の議論は国際私法の観点からなされたものであるが、政治学の立場からも示唆に富んだ貴重な講演であった。講演後、参加者との間で小一時間、質疑応答が行われた。
参加者は法学科から松元暢子・教授、辻優・特任教授、政治学科から村主道美・教授、大嶋英一・非常勤講師、バイロン・シーゲル・非常勤講師、中居良文・教授、他に政治学研究科の院生が4名参加した。