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政治学科Department of Political Studies

講義レポート

社会心理学Ⅰ・Ⅱ

平野 浩 教授

個人の意識や行動を知ることで、政治の動きを解き明かす

社会科学のあらゆる分野に関わる問題を解明する糸口となるのが社会心理学。意思決定の行い方など、人と社会の向き合い方を考えていきます。

いうまでもなく「社会」とは個人の集合体です。よく、「社会の声」や「国民の声」といった表現が使われますが、それは個々の意識や行動が積み重なった結果に他なりません。
例えば、与党に対する支持率の変化や、政権交代の原因を考える場合、有権者である人々が、どのような理由で、どのような考えを持ち、どのようにしてその政党やその政党の政治方針を選んでいるのか、といった意思決定のプロセスやメカニズムを調べることが重要なのです。政治も社会的・集合的な現象ですが、社会を構成している一人ひとりの意識や行動が根本を司っていることに変わりはありません。
こういった政治の世界における動きや流れを心理学の理論や方法で明らかにしていくのが、社会心理学の分野に属する「政治心理学」です。
私が担当する社会心理学Ⅰ・Ⅱの講義では、政治学や心理学の初歩と共に、政治心理学の基礎となる様々な理論やモデルを学びます。講義の内容は年度ごとに少しずつ異なりますが、人々が情報をどのようにとらえ、何をもって意志決定を行い、投票をはじめとした行動を行うのか、といった点を理解するための基本的な理論をいくつか紹介することを前提としています。また、社会の中での人々の行動を考察するための理論やモデルの検討も行います。
実際、私自身もここ何年かにわたって、大規模世論調査のデータに基づく有権者の投票行動の研究を行っていますが、その時に投票したい候補者や政党だけではなく、現在の日本の社会や経済の動向・状況をどう見ているのか、様々な政策的な争点についてどのような意見を持っているのか、さらにはどのような価値観を持ち、どのような組織や集団に所属し、どのようなメディアと接しているか、といった質問もしています。これら、膨大なデータを様々なモデルを通じて分析することにより、今の有権者の考えや方向性が浮かび上がってくるのです。
現代の社会心理、そして政治心理を知ることで、あなたにも日本という国のこれからの歩みが見えてくると思います。

その他の講義紹介

日本政治過程論Ⅰ・Ⅱ/坂本 孝治郎 教授
日本政治の時間構成について紹介したあと、政治過程を主に構成する選挙・執政・政党・議会に関して比較制度論的な説明を展開し、合わせて各制度の実態を資料付きで解説しています。2学期には、数・人事・日程・ルール・言葉・シンボル・儀礼などに焦点を当て、多角的視座から日本政治理解の深化を試みています。
地方政治Ⅰ・Ⅱ/伊藤 修一郎 教授
市区町村・都道府県の政策・業務は、私たちの日々の暮らしや職業生活のほとんどに関わっています。その決定を誰が下し、誰が実施しているのか。そのための組織や制度はどうなっていて、そこに住民はどう関わるのか。こうした問いに学生が関心をもち、自分自身の問題として取り組んでもらうことが授業の目標です。

社会学Ⅰ・Ⅱ

遠藤 薫 教授

社会の変化をあらゆる分野・角度から考察していきます

社会学Ⅰ/メディア社会の文化と社会意識を考察。社会学Ⅱ/グローバル文化とローカル文化の関わりにおける社会の動きや変容の過程を見ます。

普段は気づかないかもしれませんが、社会は常に少しずつ変化を遂げています。その小さな変化の積み重ねが1年後、10年後、100年後の大きな変化へとつながっているといえるでしょう。
社会学の講義では、その移り変わりのプロセスやメカニズムを解き明かし、将来どのような変化をもたらすのかを考察していきます。社会の変化というと、技術の進歩が起こすように思われる人も多いかもしれませんが、実はそうではありません。その代表的な例が印刷技術です。15世紀にグーテンベルクが活版印刷技術を考案したことは、皆さんもご存じの通り。印刷装置の実用化や金属活字の発明が、宗教や文化、科学の面で大きく貢献したのは紛れもない事実です。
ところが、中国や日本では木版印刷が主流で、活版印刷が普及するのは19世紀頃まで待たなくてはなりません。その理由といえば、ひとつには文字の種類の多さにありました。アルファベットは26文字。大文字と小文字があるといっても52文字です。それに引きかえ、漢字は10万文字以上。活字を作るだけでも膨大な時間が必要です。印刷をする際も、多くの文字の中から探し出して並べる手間はかなりのものでした。しかも、すべてのページごとに文字を組んだまま保管するわけにもいかず、再版時に同様の作業を最初からしなくてはならない煩わしさも普及を妨げる要因だったようです。また、日本ではくずし字の書物が多く、活字では組みにくいということもありました。ちなみに18世紀頃までは、出版物の部数で中国や日本のほうが欧米を上回っていたそうです。
以上から、いくら技術が進歩しても、社会に受け入れられなければ、変化にはつながらないことがおわかりいただけるでしょう。
講義では、リアルタイムなニュースや雑誌の記事を取り上げることもありますし、音楽やエンタテインメントに話が及ぶことも。文化の変容を見る上でサブカルチャーをテーマとする場合もあります。その時々でプログラムが変わるのも、社会を研究する学問だからこそといえるでしょう。
いずれにしても、あらゆるジャンルへの幅広い興味や好奇心が、社会学の扉を開く鍵であることは間違いありません。

その他の講義紹介

中国政治Ⅰ・Ⅱ/中居 良文 教授
中国政治講義では以下のようなテーマを扱っています。講義の概要は学内LANで受講者に提供しています。ほぼ毎回ビデオ等の映像・画像資料を使います。適宜リアクション・ペーパーを使った小テスト、質疑応答を行います。「天安門事件とは」「超巨大政党中国共産党」「文革の亡霊、世を騒がす」「日中関係のダイナミクス」。
公共哲学Ⅰ・Ⅱ/桂木 隆夫 教授
公共哲学の講義では、現代の公共哲学の諸潮流を概観した後、公共性を構成する二つのキー概念である「市民社会」と「市民らしさ」を論じます。このうち、「市民社会」については、その基本制度である立憲民主主義および市場経済のあるべき姿について、また、「市民らしさ」については、他者の概念を軸として共生と寛容の観念を論じます。