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教員メッセージMessage from Professors

遠藤 薫

政治学科 教授
遠藤 薫
Kaoru Endo
専攻:社会学

出身地
神奈川県
最終学歴
東京工業大学大学院博士課程/博士(学術)
所属学会
日本社会学会、日本マスコミ学会、社会情報学会、数理社会学会
研究テーマ
理論社会学、メディア論、社会情報学、社会シミュレーション
担当科目
社会学

HAPPYな社会を求めて

ファレル・ウィリアムズというアメリカのアーティストがいます。音楽プロデューサーであり、歌手であり、デザイナーでもあり、という多彩な才能の人物です。2013年秋にリリースされた「HAPPY」という曲は10週連続全米1位、22ヶ国で1位を記録しました。また、近年ではよくある手法ですが、HAPPYを歌いながら色々な場所で踊るビデオをYouTubeにアップしたところ、10か月後の現在、約4億5千万回アクセスされるほどの人気を呼んでいます。
このビデオに影響されて、ふつうの人たちが「HAPPYを踊ってみた」ビデオが大量にネットにアップされています。こうした現象も、最近ではよくあることです。古くは「ヌマダンス(恋のマイアヒ)」、2012年の「コールミーメイビー」「カンナムスタイル」、2013年の「恋するフォーチュンクッキー」など、指が何本あってもたりないくらいです。とはいえ、HAPPYを踊る人びとの背景には、必ずしもHAPPYではない風景も映り込んでいます。
あるビデオでは、若い陽気な男女がHAPPYに合わせて踊っています。屈託もなく楽しげな映像です。もし彼らがイスラム教徒でなければ。しかし、イスラム女性が、伝統的な衣裳も身に付けずに世界に向けて笑いかける姿は、それだけで罪になるようです。彼らは捕えられ、6カ月の収監とむち打ち91回を言い渡されました。また別のビデオでは、まだ幼さの残る少年少女がちょっと照れたような、でも弾む心を抑えられないような表情で、HAPPYに合わせて踊っています。見ている人びとの心も明るくなるようです。もしそれが、イラクの難民キャンプで映されたものでないならば。
フィリピンの子どもたちは、驚くほど達者なブレークダンスを披露しています。プロのダンサーに負けないくらいです。彼らの顔はダンスの楽しさに輝いています。彼らの背後に映っているのが、東日本大震災さながらの瓦礫の山でなかったら。これは、死者1万人以上の被害をだしたハイヤン台風の被災地で撮影されました。これらのビデオは、「HAPPY」であるということについてあらためていくつかのことを考えさせてくれます。
一つは、本人のせいではない理不尽な状況によって、HAPPYから遠ざけられている人びとが世界には多くいることです。何がそんな理不尽な状況を作り出したのでしょう。もう一つは、それでも人びとは、どんな苛酷な状況にあっても、HAPPYを求めることを止めない、ということです。その心こそが、誰もがHAPPYを享受できる世界を創るエネルギーであるということです。
そして、インターネットは、そうした人びとの姿を、時空を超えて共有することを可能にしました。「社会学」の講義では、HAPPYな社会について、みなさんと一緒に、様々な角度から考えていきたいと思います。

著書・論文紹介

  • 『間メディア社会における〈ジャーナリズム〉』
    (遠藤薫編著、東京電機大学出版局、2014年)

    序章、1章、2章、3章、9章、13章、終章を担当。新しいかたちを探る。世界の対話の場を開くためのジャーナリズムはどうあるべきか、を考える。

  • 『メディアは大震災・原発事故をどう語ったか』
    (東京電機大学出版局、2012年)

    大震災・原発事故におけるマスメディア、ソーシャルメディア、ドキュメンタリーの報道を検証する。

  • 『廃墟で歌う天使』
    (現代書館、2013年)

    20世紀、あまりに新しすぎる情報技術の姿を示したベンヤミンと21世紀の天使〈初音ミク〉。二つの魂が時空を超えて邂逅する。(書籍の帯より)

  • 『社会変動をどうとらえるか 1~4』
    (勁草書房、2009~2010年)

    「社会変動論」の問い。「国家」と「世界」、「近世」と「近代」が激しくせめぎあった20世紀初頭の文化、その理解社会学を社会変動論へつなぐ。(書籍の帯より)