学習院大学 法学部 | 法学科|政治学科

教員紹介Messages from Professors

政治学科 教授

遠藤 薫Kaoru Endo

専攻:社会学

出身地
神奈川県
最終学歴/学位
東京工業大学大学院理工学研究科校規博士課程/博士(学術)
所属学会
日本社会学会、社会情報学会、数理社会学会、マスコミュニケーション学会
研究テーマ
メディアと社会/文化変容、世論形成、社会変動
担当科目
社会学

新しいメディアから幸福な社会を創るには

 現代、メディアが急激に発展しています。メディアは、コミュニケーションを媒介し、世界を認識する基盤となります。メディアの変化は世界を変えます。

 Twitter、Facebook、LINE、instagramといった新しいメディアを皆さんも日常的に使っていることでしょう。

 1990年代から広く使われるようになったソーシャルメディアは、誰でも自由に発言し、膨大な情報にアクセスできることから、表現の自由を最大限に保証し、少数者の意見にも耳を傾ける、民主主義のプラットフォームになると期待されました。

 マンガやアニメ、観光などの日本文化も、ソーシャルメディアを媒介にして世界への発信力を高めています。

 しかし、ソーシャルメディアが普及するにつれ、副作用も目立つようになっています。

 一部の過激な発言が、ネガティブな感情と共に、増殖・感染し、あたかも多くの人に共有される意見であるかのように拡散します。それが政治や選挙にも影響し、偏狭なナショナリズムや他者に対する不寛容が秩序を揺るがしています。テロや国際対立を助長しているケースさえあります。

 問題が山積するなか、メディアの発達はさらに続きます。ロボットや人工知能が、私たちの日常に組込まれつつあります。社会はこれからどのように変化していくのでしょう? 私たちはメディアをうまく使いこなすことができるのでしょうか?

 これまで、科学や技術が進歩すれば、人間は合理的に考えるようになり、合理性にもとづいて世界は平和に、幸福になると想定されてきました。けれども、残念ながら、それほど社会は単純ではないようです。

 合理性は人びとに豊かさをもたらしますが、すべての人に平等に豊かさがもたらされるとは限りません。富の不平等な分配は、時が進むにつれて、ますます格差を拡大していく傾向があります。格差の拡大は、一方では自分の利益だけを第一と考えるエゴイズムを蔓延させ、他方では、鬱積した不満が非合理な感情的行動となって噴出することもあります。

 また、科学技術や産業の発展は、利便性をもたらすと同時に、大きな危険をもたらすこともあります。その典型的な例が、近年大きくクローズアップされている環境問題であり、地球温暖化です。個別にはとても僅かな量の産業廃棄物や排出ガスが、地球全体では膨大な量となり、自然のシステムに困った影響を及ぼすことがわかってきました。

 ロボットや人工知能などこれから発展してくる技術は、私たちのかわりにさまざまな労働を負担してくれると同時に、私たちから仕事を奪ったり、戦争の代行をしたりするようになるのではないかと不安を感じる人たちもいます。

 こうした問題を解決するには、以下に挙げる三つの簡単な心構えが大事です。

  1. 自分の利益だけでなく、他人への思いやりをもって考える
  2. 正確な知識にもとづいて、客観的に判断する
  3. 多様な意見に耳を傾ける

新しいメディアをそのために使いこなすことで、私たちの未来に幸福な社会が開けることでしょう。

著書・論文紹介

『ソーシャルメディアと公共性—リスク社会のソーシャル・キャピタル』(共著)

(遠藤薫編著、東京大学出版会、2017年、担当した章:序章、1章、4章、7章、8章、終章)

『ソーシャルメディアと〈世論〉形成—間メディアが世界を揺るがす』(共著)

(遠藤薫編著、東京電機大学出版局、2017年、担当した章:序章、1章、2章、3章、4章、5章、6章、7章、8章、10章、17章、終章)

『Reconstruction of the Public Sphere in the Socially Mediated Age』

(K. Endo, K. Kurihara, T. Kamihigashi and F. Toriumi (eds). 2017. Springer.)

  • 『ソーシャルメディアと公共性—リスク社会のソーシャル・キャピタル』(東京大学出版会)
  • 『ソーシャルメディアと〈世論〉形成—間メディアが世界を揺るがす』(東京電機大学出版局)
  • 『Reconstruction of the Public Sphere in the Socially Mediated Age』(Springer)