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教員メッセージMessage from Professors

福元 健太郎

政治学科 教授
福元 健太郎
Kentaro Fukumoto
専攻:政治学

出身地
東京都生まれだが、各地を転々とした後、小学校から千葉県育ち
最終学歴
東京大学法学部/博士(法学)(論文博士)
所属学会
American Political Science Association、Midwest Political Science Association、 Society for Political Methodology、日本政治学会、日本選挙学会、公共選択学会、日本経済学会
研究テーマ
政治学方法論(統計分析手法の開発)、選挙、立法過程、政策過程、現代日本政治
担当科目
政治学Ⅲ・Ⅳ、政治学演習(以上、政治学科)、政治分析方法論(以上、大学院)

大学とは、どのような場所であるのか

私は、本稿を執筆している2014年秋現在、長期研修中であり、セント・ルイスにあるワシントン大学に客員研究員として所属して、1ヶ月あまり経ったところである。客員研究員というのは、教職員でも学生でもない、実に融通無碍な立場にある。ほとんど義務がないのに、権利はあまり制限されていない。
私は客員研究員としては珍しく、大学院の授業に出ている。院生に混じって議論するだけでなく、毎回のように課される宿題も全部出している。しかも週4コマ(9時間)取っているから、これは最も忙しい院生と同じレベルである。彼らにとっては、自分達は義務で取っている授業を、義務もない私が何故取っているのか、不思議のようである。しかし私にしてみれば、政治学の最先端を身につけられるのは滞米中の今しかないので、至極当然の選択なのだ。
ここで強調したいのは、大学の授業というのは、およそある学問分野を修得する上で、最も効率的な手段であるということ、あるいはそうでなければならないということだ。例えば、今回の研究課題の1つであるゲーム理論の演習では、一流誌に最近掲載された論文の中から選りすぐりのものが課題として与えられる。そのため、学界の最先端を俯瞰するためには、何をどの順番で読んだらいいのかがわかるのである。しかも日本で一人で研究している時とは違い、読んでもわからないところがあれば、いくらでも教授に質問することができる。特に教室では、そうやって議論を活性化させることが奨励されている。
とは言っても客員研究員は正式には学生ではないので、教授達とは、先生としてだけでなく、同僚としてもつきあうという、日本では得られない(米国人も米国では得られない)特権的な地位にある。それをいいことに、しょっちゅうご飯を一緒に食べて、よもやま話をしている。やはりどうしても研究の話が多くなるが、一番重要なのは、(ソーシャル・メディアも含めて)活字にはならない、学界の動向を探ることだ。またより一般的に、研究を進める上でどのようなことを考えているのか、十人十色の考え方に触れることも、とても参考になる。そう言えば、この業界に足を踏み入れた時に最初に研究室の先輩に尋ねて回ったこともそんなことだったから、20年経っても同じことをしていることになる。
日本の学習院に帰ったら、今度は再び教える側に戻ることになる。私が教わる側として得た知的興奮を、少しでも私の学生に味わってもらえるように努力したいと思う。

著書・論文紹介

  • “What Happens Depends on When It Happens: Copula-based Ordered Event History Analysis of Civil War Duration and Outcome” Journal of American Statistical Association Vol. 110
    (Taylor & Francis, 2015)

    内戦がどれだけ続くかと、政府軍と反政府軍のどちらが勝つかは、関係しているが、統計技術的な問題のため、これまで別々に分析されてきた。それを解決するため、接合関数順序付き事件歴史分析という新たな手法を開発した。

  • “Making Outsidersʼ Votes Count: Detecting Electoral Fraud through a Natural Experiment ” American Political Science Review Vol. 105, No. 3
    (Cambridge University Press, 2011)(with Yusaku Horiuchi)

    政治家が選挙にあたり選挙区外の支持者を(住民票だけでも)引っ越しさせているという噂がある。2003年の統一地方選挙があった市町村は、ない市町村よりも、転入者数の増加率が高いことを示すことで、この噂を確かめた。

  • “The Effects of Election Proximity on Participatory Shirking: The Staggered-Term Chamber as a Laboratory” Legislative Studies Quarterly Vol. 40, No. 4
    (Wiley-Blackwell, 2015) (with Akitaka Matsuo)

    議員は選挙が近づくほど地元に帰るため議会活動は疎かになる。その効果を厳密に推定するために、参議院が半数改選であることを利用した自然実験を提案した。

  • 『日本の国会政治─全政府立法の分析』
    (東京大学出版会、2000年)

    野党は審議引き延ばしに終始したとする粘着性論と、与野党はイデオロギー的法案で強く対立したとする見方とを批判し、議論する場としての国会を描き出した。