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教員メッセージMessage from Professors

磯崎 典世

政治学科 教授
磯崎 典世
Noriyo Isozaki
専攻:東アジア政治

出身地
和歌山県
最終学歴
東京大学大学院総合文化研究科
博士課程単位取得中退
所属学会
日本政治学会、日本国際政治学会、日本比較政治学会など
研究テーマ
比較政治、現代韓国政治
担当科目
東アジア政治Ⅰ・Ⅱ、東アジア政治演習など

大学で、ものを見る力を身につける

このメッセージを書くにあたって、私自身が高校から大学に進学した頃のことを思い出してみました。和歌山県の片田舎で地元の公立高校に通っていた当時は、まだインターネットもなくメディアといえばテレビが中心で、ニュースで伝えられる国際情勢と自分の目の前にある日常生活はおよそ関連のないものと感じられていました。
東京の大学に進学し、政治や社会の仕組みをどう捉えるのか様々な角度から学ぶにつれて、目の前の現実が違ったものに見えてきました。当初は「やっぱり東京は政治や経済の中心なので、それらが生活にも影響しているなぁ」と思ったのですが、田舎に帰省してみるとそこでも社会が以前と違って見えます。目の前で起きていることの背景に何があるのか、どんな世界が拡がっているのか、なぜこのようなことが起きているのかを考察する思考方法が養われ、自分の「目の付け所」が変化しているのだと気づきました。
その後、情報技術の飛躍的な進歩で電子メールやインターネットが急速に普及し、現在の私は、それらがない世界は考えられないほどになっています。私たちは、物理的に離れていても瞬時に情報がやり取りでき、どこにいても「世界と繋がる」ことが可能になった社会に生きていると言えます。では、インターネットを使ってさえいれば、自分自身の生活と広い世界のつながりが理解できるのでしょうか?
ネット上には世界中の様々な情報が飛び交っています。その中からどんな情報を読む・見るのかを選択することが重要になります。ネットの情報はすべて「事実」とは言えません。誰かが何らかの意図をもって流通させている情報もあります。検索のトップにくる情報が事実だという保証もありません。また、世界各地で起こっていることの動画もたくさんアップされています。ある映像を見て、その国はこうだと即断できるでしょうか。映像が伝える内容は、その社会全体の特徴を示すものなのでしょうか?アップされているフォーカスした映像は、背後にある社会全体を代表しているものなのでしょうか?
このように大量にある情報を選択し、その意味を広い背景に位置づけて理解することは、決して簡単ではありません。そうした過程を経て初めて、ネット上にある情報の意義を自分と関連づけて把握することができるのです。
このような力を身につける場所として大学はとても重要です。大学で学び、教員や友人と議論するなかに、その力を育む糸口が数多くあります。我々教員も、学生のみなさんが自分と社会の繋がりを捉えなおし、将来の目標を定めることを願って、大学での教育をしています。
冒頭の話を「大げさだなぁ」と思ったあなた。大学で学ぶことで自分のものの見方がどう変わるか、真剣に試してみませんか?

著書・論文紹介

  • 『選挙管理の政治学─日本の選挙管理と「韓国モデル」の比較研究』(共著)
    (大西裕編、有斐閣、2013年)

    民主主義にとって重要な「選挙」はどのように運用・管理されているかを検討した共同研究の成果です。国際的にも注目されている韓国の選挙管理を題材に、制度がどのように成立したのか、選挙管理が民主主義にどんな影響を与えるのかを検討しました。

  • 『シリーズ日本の安全保障6 朝鮮半島とアジア』
    (共著)(木宮正史編、岩波書店、2015年)

    日本の安全保障を再検討するシリーズで、東アジアの安全保障の焦眉の一つである朝鮮半島に焦点をあてた巻です。私は、市民社会を担い手とする安全保障構想という観点から、平和構築が困難な現実と市民社会の取り組みについて論じました。

  • 『戦後日韓関係史』(共著)
    (李鍾元・木宮正史・磯崎典世・浅羽祐樹、有斐閣、2017年)

    専門科目として学ぶ人を対象とし、戦後の日韓関係の展開を時系列に章立てしてまとめた教科書です。国家間関係を中心としながら、市場や市民社会の関係も視野に入れ、国際環境の変化という背景に、戦後から2010年代までの両国の関係展開を整理しています。

  • 『日韓関係史1965-2015 Ⅲ 社会・文化』
    (共著)(磯崎典世・李鍾久編、東京大学出版会、2015年)

    日韓国交正常化50周年にあたり、政治、経済、社会・文化の三領域にわたって総勢約50名の日韓研究者によって行われた共同研究の成果の第Ⅲ巻です。多様な切り口で社会・文化領域の重層的な関係を論じた論文から構成されており、全体の編集を担当すると同時に、日韓の相互認識の変遷について論じました。