学習院大学法学部 | 法学科|政治学科学習院大学法学部 | 法学科|政治学科

教員メッセージMessage from Professors

伊藤 修一郎

政治学科 教授
伊藤 修一郎
Shuichiro Ito
専攻:地方自治

出身地
神奈川県
最終学歴
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程/博士(政策・メディア)
所属学会
日本行政学会、日本公共政策学会、日本政治学会
研究テーマ
地方自治、政策過程論
担当科目
地方政治Ⅰ・Ⅱ、地方政治演習など

地方自治に関心をもとう

皆さんは地方自治について、どの程度関心をもっているでしょうか。高校生について考えてみると、公立高校のほとんどは地方自治体が設置していますが、それを意識せずに学生生活が送れます。大学生になると成人式や選挙で、下宿する人は住民登録などで、地方自治体と接点が生まれます。しかし、大学生の多くも、公務員志望者は別として、地方自治にほとんど関心がないと思います。関心がないから投票に行かない、だから余計に関心がもてないという悪循環も起こっています。地方議員の破廉恥な振る舞いが報道され、地方議会に興味をもつ学生もいるようですが、それが長続きするかはわかりません。
一方、大学を卒業して社会に出れば、私たちの生活や仕事が地方自治体の決定や活動に影響を受けていることを実感することになります。まず、就職して給料をもらい始めれば、住民税を地方自治体に納めるようになります。おそらく、給与明細を見て「住民税高いなー。いったい何に使われているんだろう」と思うことでしょう。
私たちの生活に関わる公共サービスの多くは、地方自治体が提供しています。その費用は主に税金でまかなわれますが、その巧拙は自治体により異なります。たとえば、家庭をもち子供が生まれれば、子育てや教育に関するサービスを受けます。このサービスの内容や質は自治体によって異なるのです。このため、子育て施策の充実度に関する情報は、子育て世代が住む場所を決める際に、家賃や職場への距離と同じくらい重視されます。水道も地方自治体が運営しており、料金も水の「おいしさ」も地域によって差があります。仕事が得られるかどうかだって、自治体が関係します。自治体の産業政策や教育政策によって、多くの企業を惹きつけ就業機会が豊富な地域と、そうでない地域が生まれています。町村の多くが人口減少に苦しむ中で、教育政策やIT環境を充実させて、都会からの「留学生」や移住者、起業家を増やしている町や村もあります。
こうしてみると、私たちが地方自治に無関心でいてよいわけはありません。公務員志望者だけでなく、むしろそれ以外の学生にこそ、自分たちの問題として関心をもってほしいのです。住民が地方自治に関心をもつことで、地方自治体は変わります。首長や議員は有権者の目を意識して行動しますから、住民が地方自治に関心をもてば、緊張感をもって仕事に取り組まざるを得なくなります。それが地方自治体のサービス水準を引き上げ、地域をよくすることにつながるのです。損得勘定ばかりではありません。地方自治体には様々な顔があり、それぞれの特徴がわかってくれば、とても面白いものです。身近なところに関心をもって、地方自治を学んでいきましょう。

著書・論文紹介

  • 『政策リサーチ入門:仮説検証による問題解決の技法』
    (東京大学出版会、2011年)

    政策課題の解決を目的としたリサーチの方法論を平易に解説したテキスト。社会科学を学ぶ学生・院生(特に政治・政策系のゼミ参加者)や政策立案能力を高めたい行政職員に役立てていただきたいと思っています。

  • 『自治体発の政策革新:景観条例から景観法へ』
    (木鐸社、2006年)

    いかにして自治体発の政策革新が可能になるのか。景観条例を題材として分析・考察した実証研究。

  • 『公共政策学の基礎』(共著)
    (秋吉 貴雄、伊藤 修一郎、北山 俊哉著、有斐閣、2010年)

    第3章、第11章、第12章、第13章を担当。公共政策学の入門テキスト。公共政策がどのようにデザインされ、決定され、実施・評価されているのかをわかりやすく解説。

  • 『自治体政策過程の動態:政策イノベーションと波及』
    (慶應義塾大学出版会、2002年)

    自治体が地域の課題に直面し、新政策を採用する過程を、「情報公開」、「環境」、「福祉」の分野から体系的・実証的に考察した研究書。「動的相互依存モデル」を提唱。