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教員メッセージMessage from Professors

神前 禎

法科大学院 教授
神前 禎
Tadashi Kanzaki
専攻:国際私法

所属学会
国際私法学会、国際法学会、日本私法学会
研究テーマ
国際私法における性質決定等
担当科目
国際私法、国際私法演習

国際私法で考える

私は、法律の中で、「国際私法」という分野を研究しています。「国際私法」というのは、人と人との間の紛争(たとえば、人に物を壊されてしまったとか、夫の暴力が酷いので離婚したいとか)のうち、外国とも関係するもの、あるいは複数の国と関係するものをどのように解決すべきか、といったことを考える分野です。
ここでは、自己紹介に代えて、国際私法についてごくごく簡単に説明をしたいと思います。あなたが私のパソコンをわざと、あるいは誤って壊したらどうなるかについては、それぞれの国が法律で定めています。結婚できるのは、また離婚できるのはどういう場合か、その方法は、といったことについても同様です。各国がそれぞれの国でどういうルールが良いかを考えて法律を定めているのですから、その内容は国によって異なります。
たとえば、イスラム世界では、既に妻がいる男性でも、さらに別の女性と結婚できると聞いたことがありますか? インドでは、伝統的には幼児婚も認められていました(現在では法的には禁止されています)。男性同士、女性同士の結婚(同性婚)を認める国も増えてきました。このように、どのような場合に結婚できるかは、国によって違います。
このように、「結婚」のように、ほぼすべての国に存在する制度についても、各国の法律は、いろいろと異なるのです。まして、「あなたが私のパソコンを壊したらどうなるか」といった問題の解決が、各国で異なるのは当然のことです。
では、イスラム教の国から来た外国人男性が、日本人女性に「僕の3番目の奥さんになって欲しい」と言い、その女性がそれでも良いから結婚したい、と思ったら、2人は結婚できるのでしょうか。また、あなたが留学先で友人のパソコンを壊してしまったら、どうなるのでしょう。そういった問題を扱うのが、国際私法というわけです。
最近ですと、ある国で、日本人男性が多数の「子ども」を産ませていることがニュースになりました。また、コンピュータに詳しい方なら、アップル社とサムスン社がいろいろな国の裁判所で争っていることや、グーグル社がヨーロッパの裁判所で個人情報の削除を求められたことをご存じかもしれません。日本から盗み出された物が外国で見つかり、その返還について紛争が生じているというニュースもありました。反対に、外国で盗まれた物が日本で見つかるというケースもあります。
世界はニュースで満ちています。まずはニュースを知ること、そして、それについて「自分の頭で」考えること。そうした上で、大学の授業を受けることをお勧めしたいと思います。

著書・論文紹介

  • 『演習国際私法 CASE30』(共編著)
    (櫻田嘉章、佐野寛、神前禎編著、有斐閣、2016年)

    国際私法の基礎を学習した法学部の学生を対象に、具体的な30の設例についての解説、解答例および例題を掲載したものを編集し、若干の項目について分担執筆しました。

  • 『プレップ国際私法』
    (弘文堂、2015年)

    国際私法を初めて学ぶ方のための入門書です。
    分かりやすい説明で国際私法の全体像が理解できるよう努めました。

  • 『国際私法〔第3版〕』 (共著)
    (神前禎、早川吉尚、元永和彦著、有斐閣、2012年)

    国際私法に関するコンパクトかつ分かりやすい教科書を目指して共同執筆しました。

  • 『解説 法の適用に関する通則法』
    (弘文堂、2006年)

    2006年に、わが国の新しい国際私法である「法の適用に関する通則法」が成立しました。本書は、それ以前の法律(「法例」)と比較して、内容が変更された箇所について、新法の内容を解説するものです。