学習院大学 法学部 | 法学科|政治学科

教員紹介Messages from Professors

法学科 教授

松元 暢子Nobuko Matsumoto

専攻:商法

出身地
東京都
最終学歴/学位
東京大学法学部(法学士)、Harvard Law School (LL.M.)
所属学会
日本私法学会、信託法学会
研究テーマ
会社法、信託法、非営利法人法、金融商品取引法
担当科目
商法Ⅰ、商法演習、特設演習(会社法の基礎を学ぶ)、特殊講義(金融商品取引法)

会社法を使う

 大学を卒業した後、2年間だけ、弁護士として、企業法務を扱う法律事務所に勤務していました。もちろん、たった2年間で実務が理解できるわけはありません。それでも、短い期間でも法律を「使う」という立場を体験できたことで、法律を身近に感じられるようになったと思います。

 法学部で法律を勉強する皆さんにとっては、法律というのは「学ぶ」対象であって、法律を「使う」という視点を意識することは少ないかもしれません。あるいは、法律を一通り勉強した後でなければ、法律を「使う」ことを意識することなんてできない、と感じる方もいるかもしれません。しかし、法律をどのように使うのか、法律はどのように使われているのか、ということを意識することによって、法律や社会の仕組みに対する理解が深まります。そのため、授業では、法律を「使う」という視点をできるだけ大切にしたいと思っています。

 ここでは例として、1年生・2年生向けに行っている特設演習の内容をご紹介したいと思います。この特設演習では、新しく株式会社を設立するという想定の下で、株式会社の定款を作成しています。株式会社について定めているのは「会社法」という法律です。そして、定款というのは各株式会社の一番基本的なルールを定めるもので、株式会社を設立するためには、まずは定款を作成する必要があります。昨年度は、履修者の相談の結果、ドラッグストアを営む株式会社の定款を作成することになり、1学期の授業の終了時までに定款を完成させることを目指して授業が進みました。それでは、具体的にはどのような検討や作業が行われるのでしょうか。

1.どのような株式会社を設立するのかを決める。

 まず、初回の授業では、どのような株式会社を設立するのかを参加者の皆さんに決めて頂きます。参加者の顔合わせと自己紹介も兼ねて和気藹々と話し合いが進み、昨年度は、ドラッグストアを営む株式会社を設立することになりました。この株式会社に対して、誰がいくらのお金を出すのか(出資するのか)ということも決める必要があります。

2.他社の事例を調べてみる。

 定款を作成する際には、定款のひな形や文献を参照することの他、他社の事例を調べてみることも役に立ちます。インターネット等を利用して、ドラッグストアを営んでいる会社の定款を集めます。

3.会社法の制度を勉強する。

 定款を作成するためには、その前提として、会社法の制度を勉強することが必要です。たとえば、定款には「株主総会」についての規定が置かれることになりますが、そもそも「株主総会」とは何なのか、株主総会で決議をするための要件は法律でどのように決まっているのか、その要件を各株式会社が定款で自主的に変更することは認められているのか、といった点について学習することになります。この会社法の制度の勉強も、参加者で分担して行うことになります。

4.定款の規定を作ってみる。

 次に、いよいよ定款の規定の作成に取り掛かります。内容ごとに担当者を決めて、ドラフトを進めていきます。「株主総会」についていえば、たとえば、「定足数」(株主総会の決議を成立させるために、最低限どのくらいの株主が出席している必要があるかということ)をどのように決めるか、という点が問題になります。

5.ディスカッションを行う。

 担当者がドラフトを作成したら、参加者全員でディスカッションを行います。先ほどの「定足数」の例であれば、「定足数が少ないと、欠席者がたくさんいるのにもかかわらず、重要な事柄が決まってしまって良くないので、もう少し定足数を増やした方が良いのではないか」といった意見が出されることになります。

 こうした検討を経て、1学期の終わりには無事に定款が完成しました。

 法律は「使う」ものであり、「使われている」ものです。皆さんと一緒に、社会において、ビジネスにおいて、法律がどのように使われているのかを勉強していきたいと思っています。

著書・論文紹介

『非営利法人の役員の信認義務』

(商事法務、2014年)

「金融危機後の金融機関のコーポレート・ガバナンス」

アメリカ法 2016-1号(日米法学会、2016年)

「営利法人による公益活動と非営利法人による収益活動」

NBL 1104号(商事法務、2017年)

  • 『非営利法人の役員の信認義務』(商事法務)