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教員メッセージMessage from Professors

三輪 洋文

政治学科 准教授
三輪 洋文
Hirofumi Miwa
専攻:日本政治過程論

出身地
愛知県
最終学歴
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学/修士(法学)
所属学会
日本政治学会、日本選挙学会
研究テーマ
世論・投票行動、現代日本政治
担当科目
特殊講義(イデオロギーと現代政治)、日本政治過程論演習、外国書講読(以上、学部)、統計分析I(大学院)

常識を見つめなおす場所

私は、様々なデータを統計学の方法によって分析することで、政治現象をわかりやすくまとめたり、政治現象が起こる原因を探ったりする研究をしています。具体的な問いを挙げると、有権者は自分自身や政治家の政治的立場をどの程度把握できているのか、内閣支持率はどのような要因で上下するのか、といったことで、変わったところでは、死刑はいつ執行されやすいのかということも分析しています。利用するデータは、世論調査や政治家へのアンケートが主ですが、最近はTwitterのデータにも手を出しています。日本政治を対象としていますが、あまり深い理由はなく、単に私が最も得意とする言語が日本語だからです。

大学での学び 政治学科の専任教員の中では、私は学部卒業からの日が最も浅いと思いますので、その頃の記憶が薄れないうちに、大学での学びについて私なりの考えを書いておきます。
大学で学習していて一番面白いのは、当たり前だと思っていたことが当たり前ではなかったということがわかるときだと思います。世間の常識が学問の世界での常識と異なることは珍しくありません。常識と思われていることが意外と学問的に確かめられていないことも多いです。例えば、日本では立法・行政・司法の三権が分立して均衡を保っているということは中学校で教わる知識ですが、ことはそれほど単純ではありません。
正解・不正解がはっきりしている知識だけでなく、物事の見方を学ぶことが多いのも、高校までとは異なる大学の特徴と言えるでしょう。物事の見方を変えてみると、今まで当たり前だった世界の風景が全く違って見えてくることがあります。同じ絵が若い女性に見えたり老婆に見えたりするようなものです。政治に関して例を挙げると、「政治とは何か」という根本的な問いに対して様々な考え方があり、どの立場をとるかによって政治現象の見え方が変わってきます。
常識を疑いそれを更新していくことは、大学でなくても自主的に勉強すれば可能です。しかし、大学にはそのために最適な環境が用意されていますし、大学はそうあるべきだと思います。これまでしてきた話は座学での学びを想定していますが、座学で基礎体力をつけた上で研究の方法論も身につけ、自分の力で常識に挑戦して論文を書けるようになれば、なお素晴らしいことです。
この文章を読んでいる人の多くは政治に興味があるのでしょうが、ぜひ他の学科・学部の領域にも積極的に手を広げてもらいたいと思います。実は私も、初めから政治学の道に進もうと思っていたわけではなく、学部では主に法律を勉強していましたし、1・2年生の頃は趣味として理系の授業もたくさん受けました。もう忘れてしまったことも多いですが、今になって勉強しておいてよかったと思うことも多いですし、なにより、様々な領域において自分の常識が覆されていった経験は、得難いものだったと思います。

著書・論文紹介

  • “Voters’ Left–Right Perception of Parties in Contemporary Japan: Removing the Noise of Misunderstanding” Japanese Journal of Political Science 16 (1)
    (Cambridge University Press, 2015)

    統計モデルを工夫することで、2012年衆院選後の世論調査データから左右イデオロギーの意味を理解している有権者を抽出し、彼らに限れば、政党の左右イデオロギー位置を適切に認識できていることを示しました。

  • 「現代日本における争点態度のイデオロギー的一貫性と政治的洗練—Converseの呪縛を超えて」
    年報政治学2014–I号(木鐸社、2014年)

    政治的に洗練された人ほど各分野の政策に対する意見が一貫するという政治学の常識に対し、洗練された人ほど各政策について自分でよく考えるので意見が一貫するとは限らないと論じ、実際にそれをデータで示しました。

  • “Heterogeneity in Voter Perceptions of Party Competition in a Multidimensional Space: Evidence from Japan.” International Political Science Review (SAGE, forthcoming) (with Masaki Taniguchi)

    複数の対立軸によって政党間競争が行われている環境では、有権者が政党間競争を認識する際に、対立軸の見え方が人それぞれに異なることを示しました。

  • 政治学における部分的観察可能性を伴うプロビットモデルとその拡張―有権者のイデオロギーのモデル化を例として」
    行動計量学43巻2号(日本行動計量学会、2016年)

    部分的観察可能性を伴うプロビットモデルを政治学の研究者向けに紹介するとともに、それを応用して有権者のイデオロギーを説明する統計モデルを提案しました。