学習院大学 法学部 | 法学科|政治学科

教員紹介Messages from Professors

法学科 教授

村山 健太郎Kentaro Murayama

専攻:憲法

出身地
東京都
最終学歴/学位
Harvard Law School/LL.M.
所属学会
日本公法学会、日米法学会
研究テーマ
適正手続論、第1修正論
担当科目
比較憲法、憲法Ⅰ・Ⅱ、憲法演習

「比較憲法」の視点から日本国憲法を考える

 私は、「憲法Ⅰ」(1年生対象)、「憲法Ⅱ」(2年生対象)、そして「比較憲法」(3、4年生対象)の授業を主に担当しています。その中でも、とりわけ私が力を入れているのが、「比較憲法」です。

「比較憲法」は、外国の憲法と日本の憲法の比較を通じて、憲法の基本問題についての理解を深める科目です。「比較憲法」は、日本における伝統的な学問分野であると同時に、現代的な意義のある科目です。

 皆さんが法学科に入学して受講する科目の多くは、日本の国内法を論じるものです。たとえば、「憲法Ⅰ」や「憲法Ⅱ」の授業では、議院内閣制、違憲審査制、精神的自由といった様々な日本国憲法の仕組みや考え方について勉強することになります。そこでは、時間の制約もあり、日本の現状を分析するという視点から、議論が展開されます。しかし、このような視点だけでは、日本国憲法を、十分に理解できません。日本国憲法を理解する上で重要となる仕組みや考え方の背後には、外国の憲法・憲法学からの密かな借用が存在することが少なくないからです。「比較憲法」の授業では、日本国憲法を理解する上で重要な諸外国の憲法を検討することで、日本国憲法の背後にある考え方を掘りさげて検討します。

「比較憲法」の授業には様々な方法がありますが、学習院大学の「比較憲法」の授業には、いくつかの特筆すべき点があります。

 一般に、日本の憲法学は、米英仏独などの西洋立憲主義諸国の憲法学の強い影響の下で、発展してきました。そのため、比較法という研究手法は、古くから、日本の憲法学者の間で受け継がれてきたものです。私は、アメリカの法科大学院で比較憲法学の授業に参加したことがありますが、方法論の精確性という観点からは、日本の比較憲法学が格段に優れていると感じました。おそらく、アメリカの比較憲法学は、まだ若い学問ですので、その方法論が確立されていないのでしょう。このように、世界的にみても先進的な日本の比較憲法学の一端に、学習院大学の「比較憲法」の授業では触れることができます。

 他方で、アメリカの比較憲法学が優れているのは、その問題意識の多様性と現代性です。1989年以降、世界の憲法秩序は再編の波に飲み込まれました。ソ連の崩壊、東欧の再建、南アのアパルトヘイト廃絶、イラクの体制変革等々。こういった1989年以後の重大事件は、すべて、関係各国の憲法の変革と結びついています。アメリカの比較憲法学は、こういった国々の憲法の最新動向にも、十分な関心を向けています。学習院大学の「比較憲法」の授業では、日本の伝統に従い、米英仏独の憲法の分析に多くの時間を割くことになりますが、時間が許せば、その他の国の憲法の現状についても、できる限り言及したいと思います。

 正統で有効な政府を構成するためには、どうすればよいのか。時代の変化に応じた柔軟な対応が可能でありながら、同時に、安定性・継続性を持った政府を構成するためには、どうすればよいのか。多数決主義的民主主義と基本的人権は、どうすれば両立するのか。こういった基本的で重要な問題について体系的に考察する能力を身につけることが、「比較憲法」の目的です。

 なぜ、私たちは、憲法を制定するのか。成文憲法と立憲主義との関係は、どのようなものか。そもそも、私たちは、他国の憲法から自国の憲法に有用な何かを引き出すことができるのか。このような原理的な問題の検討から、「比較憲法」の授業は、はじまります。

 表現の自由の保障は、アメリカとヨーロッパで、異なるのか。政教分離について、各国憲法はどのように定めているのか。国家の緊急時に、各国憲法はどのように対応するのか。「比較憲法」では、このような具体的な問題も検討されます。

 ここで挙げたような問題に、少しでも興味を持った皆さんは、ぜひ、「比較憲法」の教室を訪れてください。

著書・論文紹介

「選挙運動資金規正とフォーマリズム」

アメリカ法2017巻1号(日米法学会、2017年)

『憲法判例の射程』(共著)

(横大道聡編著、弘文堂、2017年、担当した章:「財産権の制約」「行政手続と憲法31条」)

『アメリカの憲法問題と司法審査』(共著)

(大沢秀介=大林啓吾編著、成文堂、2016年)

『憲法演習ノート』(共著)

(宍戸常寿編著、弘文堂、2015年)