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教員メッセージMessage from Professors

長戸 貴之

法学科 准教授
長戸 貴之
Takayuki Nagato
租税法

出身地
埼玉県
最終学歴
東京大学大学院法学政治学研究科法曹養成専攻(法務博士)
研究テーマ
租税法,国際租税法
担当科目
租税法,租税法演習

租税法を楽しむ

私の専門は、租税法です。とても楽しい科目です。私たちは、日常生活の中で、ことあるごとに租税と向き合っています。買い物をすれば消費税を負担します。働いて給料をもらえば、給料からいくらか天引きされています。新聞を読めば、消費税率が上がる、法人税率が下がる、といった記事をよく目にします。租税はとても身近なものです。
日本国憲法84条には、「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」と書いてあります。なので、誰かに租税を負担させるためには、法律を制定する必要があります。そのようにして制定された租税に関する法について勉強するのが、租税法という科目(の一部)です。インターネットが発達した時代なので、好奇心旺盛な方は、所得税法、法人税法といった聞いたことのある法律を検索してみます。検索してヒットした法律の条文をみて、租税法を勉強するのを諦めようと思う人がいるかもしれません。あまりに長くて、複雑で、およそ読める気がしないからです。
しかし、そこで諦めるのはもったいないです。なぜなら、租税法のおもしろさと大切さは、別のところに(も)あるからです。
租税法は、分配的正義にかかる問いを扱います。租税は、国家が、誰かのポケットに手を突っ込んで、強制的に奪い取り、それを国家運営のための公共サービスの提供に充てるためのものです。また、富の再分配のために用いられることもあります。公共サービスがなくなると困る人は多いでしょうし、富の再分配をした方がいいと考える人もいます。その場合、誰もが自分の取り分が減るのは嫌なのに、その負担の基準をどうやってきめるべきなのか。誰もが考えることを避けることのできない問題を扱います。
租税法は、取引法としての性格を有しています。取引あるところに租税あり、とさえいえるほどに、租税は取引と密接に関係します。ある取引をするにあたって、租税負担を考慮にいれないと、痛い目に遭います。民法・商法・信託法・知的財産法等々、他の科目の知識をフルに活用して、ビジネス・プランニングをしていくという、非常にエキサイティングな問題を扱います。
租税法は、経済学と密接な関係を有しています。ある人に租税を負担させようとしても、その租税が「逃れやすい」ものであれば、税収を確保するという目的は達成できません。合理的な人間というものを想定するなどして、租税が人々の行動に及ぼす影響を経済的に分析し、よりよい税制へと結びつけていくための方策を考える、という問題を扱います。
私の担当する講義や演習は、これらの、重要で、そして、実生活に大きな影響を及ぼす問題について、(大学卒業後も)広い意味での勉強を継続していけるようにするための第一歩を踏み出せるようお手伝いするものです。租税法を楽しみましょう。

著書・論文紹介

  • 「組織再編成における事業の継続性と繰越欠損金の引継制限 : ヤフー事件最高裁判決の射程との関係」論究ジュリスト18号
    (有斐閣、2016年)

    M&Aを通じて欠損金を利用するスキームが租税法上否認を受けるかが争われた事件の最高裁判決を題材に、アメリカ法との比較法やエージェンシー理論の観点から論じたものです。

  • 「利子所得の意義――デット・アサンプション」・「過納金の還付と相続税」別冊ジュリスト228号租税判例百選〔第6版〕
    (中里実=佐藤英明=増井良啓=渋谷雅弘編、有斐閣、2016年)

    租税法に関する重要判決をまとめた学習用教材の執筆を分担したものです。

  • 「米国デラウェア州法に基づき設立されたリミテッド・パートナシップの租税法上の『外国法人』該当性」法学協会雑誌133巻10号
    (有斐閣、2016年)

    米国デラウェア州法に基づき設立されたリミテッド・パートナーシップという組織体が、日本の租税法上「外国法人」に当たるかを判断するための枠組みを判示した最高裁判決の評釈です。

  • 「相続税法と遡及効」東京大学法科大学院ローレビュー第7巻
    (商事法務、2012年)

    相続税法と遡及効に関係する裁判例・裁決事例を題材に、所得課税と相続税の関係、租税法と私法の関係について解釈論を展開したものです。