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教員メッセージMessage from Professors

中居 良文

政治学科 教授
中居 良文
Yoshifumi Nakai
専攻:中国政治

出身地
北海道
最終学歴
University of Michigan/Ph.D.
所属学会
国際政治学会、アジア政経学会
研究テーマ
中国政治、アジアの国際関係
担当科目
中国政治、中国政治演習

金門にて

2013年11月、金門に3泊4日滞在した。何のために?と考えた読者はかなりの中国通であろう。よほど物好きな観光客でもなければ、さして風光明媚でもないこの小島に3泊もする理由はない。小生はといえば、台北で在外研究をしていたのをいいことに、金門経由で大陸中国に渡ることを企てたのである。
金門から対岸の廈門市までは高速フェリーで小一時間。距離的には何の問題もない。問題は過去2度にわたって金門で戦闘が繰り広げられたという「歴史」にあった。現在、中国と台湾はこの重い過去の歴史とどのように折り合いをつけているのであろうか?それを現地で見てみたいというのがこの滞在の目的であった。
マクロのレベルでは小生の旅程に何も問題はないように思われた。独立志向の強かった民進党政権のもとでは、中台間の交流は停滞しがちであったが、2008年に国民党の馬英九政権が誕生すると中台関係は大きく改善した。中台間には自由貿易協定が結ばれただけでなく、直航航空便の開設も合意された。
つまり、今や台北から廈門までは約1時間半のフライトで行けるようになったのである。事実、小生は2014年2月の廈門出張の際には、直行便を利用した。防空識別圏の関係であろうか飛行ルートは大きく南に迂回するものの、極めて快適であった。
しかし、ミクロのレベルでは時に様相は大いに異なる。中台間の関係が改善されたとはいえ、それは日本人である小生にも及ぶのであろうか?ビジネスマンではない小生が、かつては厳しく制限されていた大陸向けフェリーに乗船することができるのか?旅行をアレンジした台北の旅行社の担当者の反応は頼りないものであった。
担当者の表情は、直航便があるのに何を好んでわざわざこんな不便な旅をするのか、と言っていた。無理もない。台湾在住の日本人のほとんどはビジネス目的で滞在しているのであり、皆さん大変忙しいのである。金門に3泊というのは、不測の事態に備えた一種の保険だったのである。
この保険は掛け捨てに終わった。小生はなんともあっけないほど簡単に、フェリー切符を入手し、乗船し、1時間後には予定通り廈門に到着した。
では、この旅行、読者の皆さんにお勧めできるかと言えば、答えはためらいがちのノーである。金門で英語の通じる可能性は極めて低い。金門の行政単位は県であり、この県は中国の福建省の一部である。
金門も対岸の廈門もミクロの公用語は閩南語である。金門の人口は12万人で中心地の金城の町はかなりの田舎である。一方、廈門市は人口400万人近い大都会である。
金門からのフェリー船着き場は何故か市街地とは正反対の不便な場所にある。不便な場所なのに周辺には高層ビルが林立している。ここで、台湾イコール都会、中国イコール田舎という日本人にありがちな先入観はかなり裏切られる。うむ、この旅行、やはりお勧めですかな。

著書・論文紹介

  • (編著)「中国の対韓半島政策」
    (お茶の水書房、2013年)

    専門も背景も異なる5人の研究者が、中朝、中韓、中ロ国境地帯で見たものは?本学の東洋文化研究所・研究プロジェクトの研究報告書です。

  •   
  • (共著)“The political consequences of peace: China’s retreat for survival, 1988-91,” in Shinichiro Tabata ed., Eurasia’s Regional Powers Compared: China, India, Russia.
    (Routledge: London, 2015)

    中国の対外政策を「危機回避」という観点から分析しました。

  • (共著)「デフォルトの大国─中華帝国復興の軌跡─」
    岩下明裕編著『ユーラシア国際秩序の再編』(ミネルヴァ書房、2013年)

    冷戦終結後の中ロ両国の政治改革を比較検討してみました。

  • 共著)“How Can China Live in Harmony ? Empire, Sovereignty and Discourse” in Joseph Cheng and Marita Silka eds., New Trends and Challenges in China’s Foreign Policy.(City University of Hong Kong : Hong Kong, 2015)

    中国の和諧世界論を批判的に分析しました。