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教員メッセージMessage from Professors

野中 尚人

政治学科 教授
野中 尚人
Naoto Nonaka
専攻:政治学

出身地
高知県
最終学歴
東京大学大学院総合文化研究科
国際関係論専攻博士課程修了/博士(学術)
所属学会
日本政治学会、日本比較政治学会、日仏政治学会
研究テーマ
比較政治、日本政治
担当科目
政治学Ⅰ・Ⅱ、政治学演習、外国書講読

日本の政治が「ガラパゴス化」している!

ここ数年、日本の政治を眺めていて、いろいろな感想を持っています。漠然とした疑問かもしれません。2013年に『さらばガラパゴス政治─決められる日本に作り直す─』という本を出版したのですが、これはそうした感想や疑問の整理という面も持っていました。
私は、日本の政治が「ガラパゴス化」していると表現しています。何を言いたいかといえば、ヨーロッパを中心とした主要な議院内閣制の先進国と比較した場合、戦後の日本は大きく異なるパターンで進化してきた(あるいは途中から進化を止めてしまった!!)のではないか、ということです。どの国の政治にもそれぞれの個性・特徴があり、「結構変わったことをやっているな」と思うこともしばしばです。また、イギリスが議会や議院内閣制の母国のように言われることも多いのですが、とてもほかの国にはまねのできないような歴史や仕組みを持っているのも事実です。
それでは、どの国もそれぞれの個性があるのだ、だから、日本の戦後だけがそんなに変な訳ではない、と言って良いのだろうか。いや、どうもそれは違うのではないか。少なくとも、自分の国の基本的な特徴が何なのか、ということ自体が客観的に把握できなくなっているほどに、我々の戦後政治の仕組みは特異な進化を遂げたのではないか、という考えが年を追うごとに強まってきたというのが本音です。
私が「ガラパゴス化」と表現していることにはかなり多くの側面があります。ここでは、1つだけ、最近兵庫県の「号泣県議」のおかけで(?) 世界的な注目を集めてしまった「政務活動費」の問題と関連づけて述べておきます。この「ネコババ」事件は、むろんひどい話ですが、領収書を添付するというルールがあったからこそ発覚しました。しかし実は、国会議員には、毎月100万円ずつ同じような活動費が支給されていますが、領収書が不要なだけでなく、何の説明も必要ありません。うーーん…ですね。
ですが、私が言いたいことは、単なる「おカネ」の問題ではありません。政治活動に一定のお金がかかるのは紛れもない事実です。むしろ、大切な役割を担っているはずの国会議員が、本来の仕事場である国会の中で、給料や様々な手当に見合った仕事をしていない、ということの方が深刻な問題だと考えています。最も重要であるはずの本会議の審議時間が、イギリスやフランスの約20分の1という数字がすべてを象徴しています。
いずれにしても、日本の政治は大きく動きはじめました。アベノミクスの行方や、集団的自衛権の問題なども、皆さんの将来に直結することでしょう。良くも悪くも、日本にもう一度政治が強く必要とされる時期が来ているようです。

著書・論文紹介

  • 『さらばガラパゴス政治』
    (日本経済新聞出版社、2013年)

    日本の政治が戦後長い間にどのような仕組みになったのか、それが、他の先進議院内閣制諸国と比較した場合にいかなる特徴を持つようになったのかを平易に論じた。授業においても使用する。

  • 『自民党政治のおわり』
    (ちくま新書、2008年)

    自民党とはどのような政党なのか、自民党政権とはいかなる仕組みで動いていたのか、を総合的に検討したもの。いわゆる「55年体制」としての自民党政治は既に終焉に至ったことを論じた。

  • 『ゼミナール現代日本政治』(共著)
    (佐々木毅、清水真人編著、日本経済新聞出版社、2011年)

    第Ⅱ部第2章「政党─新たな使命と競争へ」を担当。2009年の政権交代はなぜ起ったのか。また日本の政治に何をもたらしたのか。佐々木教授を編者とする本書の中で、政党に焦点を絞って考察したものです。20年間の政党の歴史、民主党と自民党という政党の組織や機能についてまとめました。