学習院大学 法学部 | 法学科|政治学科

教員紹介Messages from Professors

法学科 教授

櫻井 敬子Keiko Sakurai

専攻:行政法

出身地
千葉県
最終学歴/学位
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了/博士(法学)
所属学会
日本公法学会、日本警察法学会、財政法学会
研究テーマ
行政上の現代的課題
担当科目
行政法入門、行政法特殊講義、専門演習、特設演習等

行政法はおもしろい

 行政法というのは、ちょっと不思議な科目です。一応、法律科目ということになっているのですが、民法や刑法のように「行政法」という名前の法律はありません。現代においては、行政は様々な活動をしますが、行政の活動にはその根拠となる法律があるのが普通なので、行政に関わる法律はたくさんあり、その数は1900本にも上ります。

 たとえば、山でハイキングをしようと思えば、有名なところ(富士山とか、阿蘇山とか、十和田湖とか)は、たいてい国立公園や国定公園になっています。これは自然公園法という法律によってエリアが決められ、さまざまな規制がかけられて自然が守られています。ハイキングした後に温泉に入れば、温泉には温泉法という法律があり、管理者には成分の検査・表示や衛生面、温度の管理が求められます。温泉から出てジュースを飲もうとすると、ジュースには果汁100%とか、無果汁などの表示がありますが、これは景表法という法律によって、業者は一般消費者に対して情報提供することが義務付けられていることによります。家を建てる場合も、自分の土地の上に自分の家を建てるからといって好きなようにできるわけではなく、都市計画法や建築基準法によって、守らなければならない建物の用途や耐震基準が決められています。また、道路には信号があり、車は車道を走り、人間は横断歩道を渡らなければなりませんが、これらのルールは道路交通法で定まっているものです。

 これらは、全部、行政法です。

 行政法というのは、ひとことで言うなら、個々の法律そのものを扱いながら、多数の法律の背後にある「ものの考え方」や各種制度の骨格を形作る基本理論を扱う専門科目である、ということができます。そのため、他の科目に比べると行政法のレンジは非常に広く、素材は多岐にわたります。

 行政法には、人間が世の中で生きていくにあたって、思いのほか役に立つ、実利的な面もあります。公務員志望なので好き嫌いにかかわらず勉強するという方もおられると思いますが、ふと見渡せば、あなたの一生は行政法で彩られていることに気がつくはずです。人間は、生まれたときは出生届、住民になったら住民登録、結婚したら婚姻届というように、私たちはさまざまな場面で役所の窓口に赴かなければならず、行政と無関係に生きていくのはできない相談というものです。そういう場面で、行政法、つまり行政のルールを知っていることは大いに役に立つはずです。行政法が役に立つということの意味は、行政に関わる膨大な数の法律は「行政法理論」を基礎として作られているので、行政法理論を学んでしまえば、これらの法律のおおまかな仕組みや手続の流れはすでに知っているのと同じだということでもあります。

 行政法を学ぶ意味が少しイメージできたでしょうか。それでは、授業でお目にかかりましょう。

著書・論文紹介

『行政法のエッセンス(第1次改訂版)』

(学陽書房、2016年)

『行政法講座2』

(第一法規、2016年)