学習院大学 法学部 | 法学科|政治学科

教員紹介Messages from Professors

法学科 教授

佐瀬 裕史Hiroshi Sase

専攻:民事手続法

出身地
東京都
最終学歴/学位
トロント大学大学院/修士(法学)
東京大学/学士(法学)
所属学会
日本民事訴訟法学会
研究テーマ
上訴、民事訴訟の基本原則
担当科目
民事訴訟法、執行法、倒産法、民事訴訟法演習、特設演習

民事訴訟法とは?

 人は生活をしていると、もめごとにぶつかります。分かりやすいところだと、交通事故で誰かに怪我をさせてしまったとか、貸したお金が返ってこない、といったことがらです。“もめ事は、話合いによって解決を!”と言われることがあります。確かに、話合いによって解決できれば、それにこしたことはありません。

 しかし、お互いに自分が正しいと考えていたり、正しくないと本当は分かっていても得られるかもしれない利益を捨てたくないと考えていたりする人がいると、話合いでは解決できません。そのときに、どうするのか?このような状況になっても、“話合いで解決を”と言う人がいるかもしれません。しかし、話合いで解決できないときに、“話合いで解決を”と言っても無意味です。これでは、自分の持っている権利利益を諦めることになりかねません。

 そこで、古くから、どちらの主張が正しいかを何らかの方法で決めてきました。昔は、現在から見れば不合理ですが、例えば、熱湯の中に入れた石を当事者が取り出して火傷するかどうかで判断したり、決闘といった方法がありました。現在では、中立な第三者である裁判所に判断してもらう方法が用意されています。そして、裁判所で判断するには、どのような手順・手続で判断していくのかのルールが必要です。このルールが民事訴訟法です。

 しかし、実は、もめ事の解決のためには、裁判所に主張を判断してもらうだけでは十分ではありません。

 裁判所がどちらの関係者の主張が正しいのかを判断し、その結果を関係者が受け容れて、その結果に従って行動すれば、もめ事は解決となります。例えば、お金を払いなさいと裁判所から命じられた人が、命じられたとおりにお金を払った場合です。

 しかし、負けた関係者が裁判所でもめ事が判断されること自体に反対していたり、裁判所の判断が間違っていると考えたりしていると、出された裁判所の判断に従わないことがよくあります。このときに、それでおしまい、ということになると、裁判で勝った人の権利・利益は紙くず同然となり、裁判所で判断してもらった意味がありません。裁判で認めてもらった権利・利益は損なわれたままです。

 そのため、裁判所の判断に従わない関係者がいた場合には、裁判所の判断を強制的に実現する必要があります。この手順を定めるルールが民事執行法です。裁判で負けてしまった人の利益を考慮しながらも、いかに迅速に裁判所の判断を実現できるかが重要な問題です。例えば、お金を払いなさいと裁判所から命じられた人がお金を自分から支払わない場合には、その人の財産を強制的に取り上げて、その財産をお金に換えることができるようになっています。裁判所の判断を強制的に実現できる仕組みまで整備されて、はじめてもめ事は解決することができます。

 民事訴訟法や民事執行法(この両者を含めて、もめごとの解決に関連するルール全般を民事手続法と言います。)では、関係者が自分の言いたいことをきちんと主張できるようにしながら、迅速に、実効的にもめ事を解決するかを取り扱っています。

著書・論文紹介

「控訴審における証人の再尋問──人証調べの直接主義の価値」

『伊藤眞先生古稀祝賀論文集・民事手続の現代的使命』(有斐閣、2015年)

「控訴審における直接主義」

『高橋宏先生古稀祝賀論文集』(有斐閣、2018年)