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教員メッセージMessage from Professors

竹中 悟人

法学科 教授
竹中 悟人
Satoru Takenaka
専攻:民法

出身地
北海道
最終学歴
東京大学大学院法学政治学研究科
博士課程修了/博士(法学)
所属学会
日本私法学会、日仏法学会
研究テーマ
契約法
担当科目
民法Ⅲ・民法演習・特設演習

契約と民法について

民法を専攻しています。その中でも特に、契約法と呼ばれる分野の研究を行っています。
「契約」という言葉を聞いて、皆さんは何をイメージされるでしょうか。企業間で「契約書」と名の付く書面に印鑑を押して取り交わすことをイメージされるでしょうか。もちろん、これも契約です。しかしながら、もっと身近な場面においても、我々は頻繁に契約を使っています。不動産屋でマンションを借りたりする場面ではもちろん、コンビニで飲料を買ったり、あるいは、地下鉄に乗ったりする場面においても、我々は契約を使っています。当たり前のことのように思われるかもしれませんが、契約は実に多くの局面で使われているのです。そして、民法という法律は、これら多種多様な契約に関する様々なルールについて定めています。
では、民法はこれらのルールについて、具体的にはどのような形で定めているのでしょうか。まずは六法を開いてみましょう。民法には1000条近い条文が載っていますが、目次を見るとちょうど真ん中辺りに「契約」という章が現れます。180条弱の条文を含むこの章には、売買であったり賃貸借であったりといった、馴染みのある言葉が見つかるのではないでしょうか。民法はこの部分において、日常生活で頻繁に使用される10種類以上の契約に関する具体的なルールを定めています。
では、この部分を熟読すれば、契約についてすべて理解することができるのでしょうか。残念ながらそうではありません。民法という法律は、この章以外にも、契約に関連する様々なルールを定めています。例えば債権総則・法律行為と呼ばれる領域には、契約に関するより一般的なルールが定められています。契約について理解したい場合には、「契約」の章とは別に、これらのルールについても参照しなければなりません。契約といった手段がごく日常的に使われているものである割には、民法典の構造は少し複雑なものになっているのです。
では、上記の条文を全て理解すれば、契約について理解できたと言えるのでしょうか。実は、これでもなお完全ではありません。元来、民法典は、法律家にとって「当たり前」のルールはあえて書かない、といった方針の基に作成されました。そのため、これらの書かれざるルールのうち契約に関するものについては、別途理解しておく必要があります。ただし、これらのルールは、皆さんが想像もできないような、特殊な内容について述べているわけではありません。むしろ、我々が日々生活を送る上で、無意識に用いている考え方を明確化したにすぎないものとも言えます。しかし、これらの(書かれざる)ルールの意味と内容につき、民法典との関係において正確に理解しておくことは、契約の本質をつかむ上で、非常に重要なことと言えます。法学部の講義では、個々の解釈論のみならず、このような根本的な問題についても学びます。

著書・論文紹介

  • 「契約の成立とコーズ(1)~(8・完)」
    法学協会雑誌126巻12号~127巻7号(法学協会、2009年~2010年)

    「契約の成立」概念をめぐる日本法とフランス法の差異を、コーズという概念を介して明らかにすることを試みたもの。

  • La théorie de la cause vue du Japon,
    (Droit japonais, droit français, quel dialogue?, Schulthess, 2014年)

    コーズという概念の有無を軸に、日本とフランスの契約法の比較を試みたもの。

  • 「詐欺における善意の第三者の登記の必要性」
    民法判例百選Ⅰ第7版(有斐閣、2015年)

    民法分野の著名な判決の基礎的な解説として執筆したもの。