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教員メッセージMessage from Professors

山下 純司

法学科 教授
山下 純司
Yoshikazu Yamashita
専攻:民法

出身地
東京都
最終学歴
東京大学法学部
所属学会
日本私法学会、信託法学会、法と教育学会
研究テーマ
法律行為論、消費者契約法、信託法
担当科目
民法Ⅰ、民法演習、応用演習、特殊講義信託法

公民教育と民法

高校の社会科に公民という科目がある。学習指導要領によると、「広い視野に立って、現代社会について主体的に考察させ、理解を深めさせるとともに、人間としての在り方生き方についての自覚を育て、平和で民主的な国家・社会の有為な形成者として必要な公民としての資質を養う」ことを目標としている。
難しく書かれているが、要するに、自分たちが社会の一員であることを理解して、そこに協力するような高校生を育てましょうということだと思う(役人が書いた文章は、易しいことが難しく書いてある)。
大きなお世話だと思う人もいると思うが、たとえば高校の部活動などを考えてみても、みんなが自分は部の一員であることを理解して、部活動に協力してくれないと上手くいかない。人の集まりは、そこに参加する人に自覚や協力する意識がないと、上手く機能できない。公民という科目は、国家や社会という人の集まりが上手く機能するために、最低限の自覚や協力する意識を育てようということなのだと思う。
ところで、高校の部活動などでは、それぞれの部に部則があると思う。こうした部則は、部員が話しあったり、顧問の先生と相談して決めたりした、部員が守るべきルールが定められている。中には何のためにあるのかわからないルールもあるかもしれないが、その多くは、部員同士が協力して、部活動を円滑に進めるために必要なものだと思う。また、校則が学校と生徒の関係を定めるルールなのに対して、部則は部員同士の関係を定めるルールが多いのではないかと思う。
私の教えている民法という法律は、取引であったり、家族であったりという、市民と市民の関係を扱う。つまり、市民同士が協力して、社会生活を円滑に進めるためのルールが、民法には詰まっている。部活動にとって部則が重要なように、市民生活にとって民法は無くてはならない法律なのである。
ところが、公民の教科書を見てみると、憲法や刑法に比べて、民法の扱いは少し軽い感じがする。なぜなのかを考えたが、一つには「公民」という科目名が良くないのではないかと思う。分かりやすく「良い市民を育てる」みたいな科目名にしたら、選挙の仕組みや刑事裁判の仕組みと同じくらい、市民同士の関係を定めるルールも重要であることが分かってもらえるのではないだろうか。
役人がつける科目名は、易しいことを難しく思わせる。

著書・論文紹介

  • 『高齢消費者の保護のあり方』
    法律時報83巻8号(日本評論社、2011年)

    新聞などでよく見るお年寄りの悪徳商法による被害などについて、法律によってどのように防ぐのかを考察してみました。

  • 『ひとりで学ぶ民法』 (共著)
    (山野目章夫、横山美夏、山下純司著、有斐閣、2012年)

    法律を学び始めた人向けの、事例問題集です。易しく、分かりやすくをモットーに解説しています。

  • 『民法Ⅰ』 (共著)
    (佐久間毅、石田剛、山下純司、原田昌和著、有斐閣、2010年)

    6~9章を担当。民法総則という分野の教科書です。学部学生が読んでも分かるように易しく、しかし、法科大学院学生にも読みごたえがあるようなコラムを混ぜて書いてあります。

  • 『法解釈入門』(共著)
    「法解釈って何、どう学んだらいいの?」という学生の問いに答えることを目指して、憲法、刑法、民法の3つの分野の先生で協力して書きました。第1部は大学1年生でも読めるように易しく書いてあり、徐々に難しくなっています。