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教員メッセージMessage from Professors

横山 久芳

法学科 教授
横山 久芳
Hisayoshi Yokoyama
専攻:知的財産法

出身地
和歌山県
最終学歴
東京大学大学院法学政治学研究科
修士課程修了(法学修士)
研究テーマ
特許法、著作権法、商標法
担当科目
知的財産法、知的財産法演習、特設演習

「知的財産法」って何?

私は「知的財産法」という科目を担当しています。知的財産法とは、その名前の通り、発明や著作物など、人間が知的な創作活動によって生み出した成果を個人の財産として保護する法律です。ちょうど土地や自動車が個人の財産であるのと同じように、発明や著作物も、発明者や著作者の財産として保護してあげようというわけです。少し具体的に説明してみましょう。例えば、小説家が小説を書けば、その小説に「著作権」という権利が発生します。著作権は著作者に著作物の独占的な利用を認める権利です。したがって、小説家が小説を書いて著作権を取得すれば、小説家だけがその小説を利用することができることになります。小説家以外の者は、小説家に無断でその小説を利用することはできません。他人が小説の出版やネット配信、小説を原作とした映画の製作などを行おうと思えば、小説家に相応の対価を払って許諾を得ることが必要となります。ここで「もし著作権がなかったとしたら…」と想像してみてください。小説をコピーすることは物理的には簡単です。小説家がいったん小説を公表すれば、誰でも自由に小説をコピーすることができます。そうすると、わざわざ小説家にお金を払って小説を利用しようとする人はいなくなりますね。時間と労力をかけていい小説を書いても、それに見合った収入が得られないということになれば、誰も小説を書こうとしなくなるでしょう。そうして新しい小説が出版されなくなれば、我々の文化は停滞し、衰退していくことになってしまいます。こうした問題を解決するために、著作権という権利が存在するのです。小説家は著作権を持っているからこそ、小説の出版やネット配信等から相応の対価を得ることができるのです。著作権は、まさにそのようにして著作者の経済的利益を保護することによって、著作者の創作意欲を高め、新たな著作物の生産・供給を促進し、文化の発展に寄与することを目的としたものです。著作権に限らず、特許権等、他の知的財産権も、創作者の経済的利益を保護し、創作活動を奨励することを通じて産業・文化の発達を促進するという目的を有しています。それら知的財産権の保護を図る法律が「知的財産法」ということになります。知的財産法は他の法分野に比べて極めて動きの速い分野です。例えば、従来、著作物は出版社等の専門業者が複製して流通させるのが一般的であったため、著作権法は出版社等の専門業者の活動を規制することを主眼としていました。しかし現在では、複製機器やインターネットの発達・普及により、専門業者のみならず、我々個人でも簡単に著作物をコピーしてネット上で流通させることができるようになりました。YouTubeでは個人が投稿した動画が溢れかえっていますね。このように個人が自由に情報のやり取りをできるようになったということは望ましいことですが、著作物がネット上で無断利用され、著作者に適切な対価が還元されなくなれば、先ほどお話ししたように新たな著作物の生産・供給が停滞するという問題が生じることになります。これからのインターネット時代においては、個人の著作物の利用の利便性を確保しつつ、著作者の権利の保護をどのように図っていくか、ということを検討することが必要となります。これは未だに十分な解答が得られていない難しい問題で、現在の私の研究テーマの一つでもありますし、私の講義や演習を通じて、学生の皆さんにも考えて頂きたい課題でもあります。

著書・論文紹介

  • 『著作権法入門(第2版)』(共著)
    (島並良、上野達弘、横山久芳著、有斐閣、2016年)

    著作権法の初学者を対象とした入門書です。著作物(第2章)、著作隣接権(第6章)、権利の活用(第7章)を担当しています。

  • 『職務発明制度の見直しに係る平成27年特許法改正法案の検討』 Law & Technology 68号34頁
    (2015年)

    改正職務発明制度の意義と内容について、改正に至るまでの経緯を踏まえつつ、具体的な検討を行ったものです。

  • 『専門訴訟講座⑥特許訴訟(上巻)』(共著)
    (大渕哲也他編、民事法研究会、2012年)

    特許法上の重要論点について理論的・実務的観点から検討を加えた書籍です。職務発明(第2章第2節)、差止請求(第5章・第1節)、損害賠償請求(第5章・第3節)を担当しています。

  • 『特許法入門』(共著)
    (島並良、上野達弘、横山久芳著、有斐閣、2014年)

    特許法の初学者を対象とした入門書です。発明者(第3章)、異議・審判・再審・審決取消訴訟(第5章)、権利の活用(第7章)を担当しています。