

私は2004年に司法試験に合格し、現在は南青山にある佐藤総合法律事務所で弁護士の一員として働いています。取り扱う事件には様々なものがあるため、毎日が新しい経験であり、勉強となっています。新司法試験制度が開始してから法曹の人数は増え続け、弁護士間の競争も激しくなっていますが、このような環境下でもクオリティーの高い仕事をしてクライアントの方々にご満足いただくことが私の目標です。そのためには、法律家としての知識は当然として、その先の「提案力」が必要だと感じています。相談内容に対して、法的にどう判断されるかを伝えるだけであれば知識のみで対応できるかもしれません。しかし、クライアントの皆さんが求めている、「それから、どうすればよいか」ということに応えるには提案力が求められるのです。今そのスキルを磨いているところですが、こうしたものの見方、考え方の端緒は、大学でもゼミなどを通して少しずつ身につけたものです。課題に取り組むときは、単なる解答だけでなく、その先に何があるかまで考えてみると、社会人になってから出会う様々な問題に、より的確に対応できる力になるのではないでしょうか。

大学2年生まではサッカーに没入していました。そして3年生になった頃から、憧れていた弁護士を目指し勉強を始めました。法曹を目指す場合、1年生から司法試験合格に向かって一直線の生活を送る人も多いと思うのですが、勉強だけで大学生活を終わらせてしまうのは非常にもったいないことです。1・2年生のうちは大学生ならではの経験をするために使ってもいいと思います。弁護士に限らず、社会人になれば、相手の立場や自分の言動がどんな結果を導くかなど、想像力を働かせなくてはいけないことが多々あります。そのときに、大学時代の様々な経験が活きてくるはずです。
また、授業にもぜひ真剣に臨んでください。学習院大学法学部では少人数ゼミを実施しているため教授との距離が近く、仲間とも密接なコミュニケーションが取れます。これは、自分のスキルを磨くのに非常に適した環境です。私は弁護士として活動する中で、ゼミでの経験が活きていると実感しています。ある一定の知識を前提として学生同士で議論し、異なる視点を検討して議論を深め、なんらかの妥当な結論を導き出す。これは仕事において問題解決のために必要な思考方法そのものです。これを身につけておけば、卒業後も大きな強みになるでしょう。
大学は高校とは全く違う教育の場です。優秀な教授陣と、意識の高い学生が集う学習院大学法学部なら、そのことをより実感できると思います。
profile
学習院大学政治学研究科在学中、1999年にジュニアプロフェッショナル・オフィサー(外務省からの国連機関への派遣制度)としてスーダンに派遣され、2002年よりUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)職員に。2010年1月、国連UNHCR協会事務局長に就任。

私は約10年間、UNHCRで、難民支援のために世界各地の現場を回ってきました。現在UNHCRが支援する難民が、避難生活を強いられる期間は平均で17年間です。特に私が携わってきたスーダン、ソマリア、アフガン、ミャンマーなどでは、30年以上難民状態にある人がほとんどです。しかし、それらの人々については長期ゆえに一般的な関心が低くなり、十分なサポートができないというのが現状です。
日本では「難民」というと、とても遠い存在に感じているように思えます。しかし、実は日本は難民に対して大きな支援をしているのです。1980年代にはインドシナ難民の受け入れをして、1万人以上の人が現在も日本で暮らしています。UNHCRでも現在約70名の日本人職員が活動しています。
国連UNHCR協会は皆さんの支援がなくては成り立ちません。私は事務局長として、まずは支援に対しての感謝の気持ちを伝え、広めていく活動に取り組んでいます。また、これから日本でも難民の受け入れを行う上で、「受け入れる」という気持ちから「一緒に日本という国で共存する」というような気持ちを、皆さんと一緒に持っていけたらと思っています。難民、元難民の人々と力を合わせて日本という国がより良くなっていくことが最終的な目標です。

大学院時代には、仲間とテニスをしたり、図書館で夜遅くまで研究をした後に皆で飲みに行ったりと、とても楽しい思い出があります。その中で特に心に残っているのは、春の盛りの時期、夜遅く研究室から出て、正門まで歩いて行ったときに見えた夜桜の美しさ。ここ10年で新しい校舎もできて、校内の景色もだいぶ変わりましたが、それでも今キャンパスに戻ると、あちこちに思い出がぎゅっと詰まっていて、ホロっとしてしまいます。
学生時代に一番大きく影響を受けたのは、やはりすばらしい先生方の指導です。辛くても先が見えなくても、「やりたいことは続ける」という考え、そして先生方の「常識という自分自身に課した牢獄から抜け出した考え方」には、自身を大きく揺さぶられました。
私は難民の仕事に携われることが大好きで、これからも人道支援を行っていきたいと考えています。そんな私も、最初からUNHCRで働こうとか、難民に興味を持っていたわけではありません。これからの進路や就職を考えている人もいらっしゃると思いますが、「これは自分がしたいことではない」「自分がしたい仕事が見つからない」と悩むよりも、是非、一歩踏み出してやってみて、その仕事の中で何が自分にできるのか、という視点を持って欲しいです。
世界は大きいですし、宇宙はもっと大きい。「できないかもしれない」とか「失敗したら恥ずかしい」と自分で制約を課さずに、「やってみなくてはわからない」「失敗してもそこから学べばいい」という気持ちで、一緒に挑戦できればいいですね。