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「知っているようで知らない長期留学」つづき


くるみ割り人形くん

これまでのあらすじ:

『めじろだより』34 号の巻頭特集として掲載された留学経験者座談会。 1時間以上におよんだ座談会の内容が3ページに収まるわけもなく、泣く泣くカットになった内容がたくさんあったんだ。 これから留学しようと思っている人へのヒントが詰まっているのに、お蔵入りにするのはもったいない! ということで Web 版記事として公開することにしたよ!
めじろだより 34 号を読んでから目を通すと、さらに楽しめるかも!

参加者:

司会・くるみ割り人形くんの中の人: 2014年9月~2015年8月までドイツのバイロイト大学に協定留学していたらしい。留学中に密林の偉大さを痛感した。

M.Y.: 2015年8月~2016年7月までドイツのマンハイム大学に協定留学。留学中の思い出は移動遊園地のカラフルでがたがたする乗り物。

T.Y.: 2015年9月~2016年8月までドイツのライプツィヒ大学に協定外留学。留学中のハプニングは旅行先でパスポートとビザをすられたこと。

M.I.: 2015年9月~2016年1月までオーストリアの語学学校に協定外留学。留学中の語学の壁はお酒で乗り越えた。

謎の人物、K: ドイツ語圏文化学科事情に詳しいらしい。くるみ割り人形の K(分身)......? もしかしたら、あの先生かも(本文中ではボールドになっています)。

目次
○ 協定外留学ってどうやって行くの?
○ 留学中の英語事情
○ 20分で満員になる学生寮
○ 家賃はどのくらい?
○ 休みなしの語学学校
○ ドイツ流 休みの過ごし方
○ 冬の楽しみ クリスマスマーケット
○ 留学中の思い出
○ 個人的ハプニング大賞
○ 帰国後のカルチャーショック
○ 5年かかったとしても
○ 番外編:めじろだより編集委員からの質問に答えてもらったよ!
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○ 協定外留学ってどうやって行くの?

T.Y.: 先生に話したら、最初は手続きを自分でやった方がいいって言われました。 でもこれ全部自分でやるのは無理だって思って、諦めて留学エージェントに相談しました。
――じゃあ協定外の二人はエージェントを通して手続きをしたと。
T.Y.: そうですね。
M.I.: 私は“成功する留学”っていう「地球の歩き方」がやってる会社に依頼しました。 親を安心させたいってのがあったので。 勝手に選んできた学校を親にプレゼンするのって難しいじゃないですか。 じゃあプロの人に頼もうって思いました。 最初ネットで検索して、「ああここならいいだろう。 親も知ってる会社だし」って選びました。それで、最初無料面談してもらえるんです。 こういう条件で留学したいというのを伝えたら、「オーストリア、しかもウィーンの語学学校でちゃんとした制度があるのは、この1校しかないです」と言われて ......。 でもその1校が、独文科の閲覧室にもパンフレットがある語学学校だったから、ああじゃあ多分大丈夫だろう、と。 それで親に「学科の閲覧室にもパンフレットがあって紹介されてるし、エージェントもおすすめしてくれてるから」って言って、認めてもらいました。
T.Y.: 僕はSAF(study abroad foundation)っていうところに頼みました。 ライプツィヒに行きたかったから「ライプツィヒ大学」ってグーグルで検索をかけたら、ライプツィヒ大学はSAFの提携校だってことが判明したんです。 提携してるなら、とりあえず聞きに行くかと思って行って、色々相談して、っていう感じですね。
――なるほど。
T.Y.: でもドイツ語圏に留学しに行くはずなのに、なぜか願書とか全部英語だし(笑) SAFの本部はアメリカにあるから、アメリカの本部に対して願書を出さないといけない。 だから全部英語なんですよ。あんなに英語を使ったのは、留学手続きのときだけでした(笑)
(一同笑)
K: ふ、ふ、ふ...... っていうか、笑っている場合じゃない! 学生の中には手続きを自力でやり通す子もたくさんいるぞ! 留学に行きたい、と思い立った時から「留学」は始まるんだ!(くるみ割り人形君、ツッコまなきゃダメじゃん)

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○ 留学中の英語事情

―― 英語といえばマンハイムも結構英語をたくさん使ったと思うんだけど。
M.Y. うん、かなり。
―― 手続きはどうだった?
M.Y. めっちゃ英語でした。インターナショナルオフィスからくるメールが、英語で書いてありました。 ドイツ語もあったかな?ドイツ語・英語か、英語だけでしたね。
―― なんかね、バイロイトはドイツ語・英語でずーっとやってて、それで、こっちがドイツ語読めるってわかると、ドイツ語で書いてくるようになる。 だから書類もドイツ語版と英語版とがあって、ドイツ語できる人にはドイツ語版が渡される、みたいな感じだった。マンハイムでは基本英語、みたいな感じだった?
M.Y. そうですね。英語留学の人が多すぎて、どの人がドイツ語でいいとか、そういうの把握しきれてないかも、って思いました。
―― じゃあ向こうでドイツ語使おうと思ったら、ドイツ語が使えるってアピールを自分からどんどんしていかないと駄目だった?
M.Y. していかないと駄目でした。まずアジア系の顔見たら、英語で話しかけてくる。 隣のハイデルベルクなんか行くと、結構アジア系でもみんなドイツ語で話しかけてくる。 だからマンハイムは特殊なのかなーって思ってた。(K:そう、そうなんだよ!)
―― まあ、英語で留学できるドイツの大学として知られているからね。
T.Y.: だから僕は逆にマンハイムを選びたくなかったですね。英語になっちゃう、と思って。 別に英語が悪いわけじゃないし、僕がそもそも英語好きじゃないっていうのもありますけど、せっかくドイツに行くんだから、 だったらがっつりドイツ語できる方がいいなって思いました。 実際、ほとんど英語を使う機会はなかったので、ライプツィヒにいる間は。
―― そういう英語―ドイツ語事情みたいなのは、ウィーンではどうだった?
M.I. 学校と寮に関しては、配られるプリントとかは裏表でドイツ語と英語だったの。
―― ああ、なるほどね。
M.I. で、どっちでも好きな方をどうぞ、ってなってました。
T.Y. じゃあそんなに英語を使う機会はなかった?
M.I. 基本ドイツ語かな。 ドイツ語で書類書くのも全部語学練習の一環になってるような学校だったから。すごくゆっくりドイツ語でしゃべってくれたし。
―― じゃあ、ドイツ語でいっぱい言われても、特に困ったりはしなかった?
M.I. うん、困らなかった。すっごくゆっくりしゃべってくれたので。
―― でも、だんだんスピードは上がっていった?
M.I. うん、上がっていきました。上がってくし、もう B2()に入ってからは英語喋らないで、 単語の言いかえも英語禁止でした。(K:いいねぇ、いいねぇ!)

ヨーロッパ基準の語学到達度レベルのひとつ。 A1 (初心者レベル)~C2(最高レベル)までの6段階に分かれている。 B2 は上から3番目のレベル。

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○ 20分で満員になる学生寮

―― 留学中って、みんなどこ住んでた?
M.I.・M.Y.・T.Y.: 学生寮。
――まあ基本そうだよね(笑) 学生寮、 バイロイトとか協定留学の場合は向こうに願書出す時に一緒に申し込みできたんだけど、マンハイムって自分で探さないといけない?
M.Y.: そうなんですよー。しかも20分で満員になるんですよ。
―― 早っ!  え、売り出してから20分で満員になるの?
M.Y.: 完売です、ほとんど。
―― 有名アーティストのチケットみたいな感じで(笑) 
M.Y.:そうそうそう。時間になったら「よーいどん!」で、行きたいところをぽちって押さないといけないんですよ、パソコン上で。 20分前に準備して、「ここの部屋!」ってもう決めたんですけど、押そうとしたら押せなくて。 「あー、やばい!」ってなって。で、次にもう一回ページを開いたら、無くなってて。
―― ええー!
M.Y.: もう半分ぐらい減ってて「やばいやばい!」ってなって、他の近いところをぽちって押して、なんとか取れたんです。 また15分後ぐらいに見たら、無くなってました。すっごいびっくり。
―― それは日本から申し込んでた?
M.Y.: 日本でした。
―― ああ、日本でその申し込みをして、20分で満杯になるということですね。
T.Y.: でもそれはありますよ。僕は協定外留学だったから自分でやりましたけど、 ライプツィヒに協定留学で来てた人は、メールで寮のお知らせが来てて、「ここでいいかどうか返事をして下さい」みたいなメールが来てたんです。 でも、全然気づかなくて放置してたら、その間にその部屋が他の人に取られちゃって、着いて「家がない!」ってなってました。
―― それでどうしたの?
T.Y.: 現地で探してました。 その時、たまたまドイツから日本に留学してるドイツ人の友達がいる、ってことが判明して、その友達がいない間、空いてる部屋を借りて、 そこに住ませてもらってセーフだった。だから、その人だけ寮じゃなくて普通の家に住んでました。僕も1回引っ越ししたんですよ、途中で。 同じ寮の建物の中で引っ越したんですけど(笑)
―― 部屋を移動したの?
T.Y.: 寮の都合で。前期は語学学校、後期は大学に通うことになっていたせいで、 所属してる学校が違うから寮の契約をし直さないといけなかったんです。 「契約が変わるから、もうこの部屋は駄目」って言われて、移動せざるを得なくなったんです。 すごくめんどくさかった。でも、うちの寮すごく遠かったから、「近いところないですか?」って聞いたんですけど、他は全部埋まってて、 「今から頼むと全部キャンセル待ちになります」って言われました。ウェイティングリストがあるから、 そこに名前を載せることはできるけど、まあ無理だと思うよって。でも、かなり安いからしょうがないかな。

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○ 家賃はどのくらい?

―― ライプツィヒの学生寮はいくらぐらいだった?
T.Y.: 家賃、平均200ユーロですね。僕のもともと住んでた家は190ユーロでした。
M.Y.: 安い!
―― 安いね。バイロイトは200ユーロくらいだった。
M.Y.: あ、安い!
―― マンハイムは?
M.Y.: 304ユーロでした。
―― ウィーンは?
M.I.: わかんないんだよね、授業料も保険代も寮費も全部込みで払ったから。
T.Y.: しかも日本円で払いますよね。
M.I.: そう、110万くらい  (K:確かに、大学と違って語学学校の場合は、先立つものが必要になっちゃう現実があるんだよね)。 あとホームステイの場合とレジデンツの場合と、二つ見積もりを下さいって言って見てみたら、ホームステイの方がめっちゃ高かった気がする。
T.Y.: そもそもホームステイって当たり外れがめっちゃ激しいじゃないですか。
―― いい家族にあたればいいけど、結構向こうの人とのやりとりとかが、人間関係が大変だったりしますよね。
M.I.: あ、宿泊費の方が高いかも。授業料の方が安いわ(笑)
―― なるほどね(笑) 授業料はドイツ語圏は安いよね。
T.Y.: ほんとに、安すぎです。
(K:安「すぎ」ではない! 授業料を安くしていることには、教育機会の平等という重要な理念があるんだよ!) ―― 日本の大学通うより、向こうの大学通った方が安いんだよね。
M.I.: なのに、ドイツとかオーストリアの学生たちからしたら「高い!」って文句言ってた。
T.Y.: 語学学校は割とするっていえばしますけどね。大学は安いけど、語学学校は授業料が高い。
―― 夏の語学コースみたいなやつも結構高かったよね。200ユーロくらいしたり。
K: このあたりの話、誤解が生まれないといいんだけど。ドイツの大学の学費は、いまはほとんどの州で無料です。 だから、語学学校との比較自体に無理があると思うんだよね......。ちなみに、今年、 ある学生が自力で語学学校での留学に出発したんだけど、半年で振り込んだ額は 80 万円って言っていたかな。 要するに、語学学校にもいろいろあるわけで、HP を見まくって頑張れば、節約できなくもないってことなんだよね。 信頼するに足る学校かどうか、判断が難しいと思うけど、そういうときにこそ、先生に相談したらいいんじゃないのかな。

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○ 休みなしの語学学校

M.I.: うちの語学学校、年末年始も授業あった。12月31日も登校してた。
M.Y.: ええー!
―― 休みいつだった?
M.I.: 長期休みは無かったよ。毎週月から金まで授業があって、土日が休みで、あと祝日が休み。 あと年末年始はクリスマス休暇を3日くらい挟んだかな......。12月31日まで授業があって、1月1日・2日休み、3日登校、みたいな。
T.Y.: きっつー。
M.I.: で、年末は全員出欠届を出さないといけなくて、休む人数とか出席できる人数でクラス編成をもう一回し直して、授業やる。
T.Y.: ああ、その帰省しちゃう組を抜いて編成し直すんですか。
M.I.: そうそう。
―― 大学は普通に休みあったよね?
M.Y.: ありますあります。
―― マンハイムはどんな感じだった?
M.Y.: どうだったかな......。なんかマンハイムは休みというか学期のはじまりが早くて、早く終わったんです。
―― 7月くらいに終わったんだっけ?
M.Y.: もっと早いです。6月です。6月中旬には終わってて、12月の年末は充分にとれました。
―― ライプツィヒはどんな感じ?
T.Y.: 語学学校は休みはあるんですけど、B1 コースと B2 コースの間とかに2週間休みがあるんです。
M.I.: なにそれー?
T.Y.: クラスのレベルごとに始まる時期が違ったんです。単にずれてるから休みになってるってだけですね。 逆に言えば、B2C1 の間は休みが無かった。両方のコースが同じスタート日だったからです。 でもライプツィヒ大学に1年間行ってる人たちっていうのは、大学は1月で終わるから、2・3月丸々休みだったんです。 みんなが2月に旅行してる間、寒い中丸々1か月語学学校に通い詰めでした(笑)
―― 大変だ。
T.Y.: 3月頭まで授業あったので、結局春休みは1か月しかありませんでした。 そこまでもう、死にそうになりながら通ってました(笑)
―― バイロイトは、スケジュールがほとんど学習院と同じだったから、10月から授業始まって、 年末は一応冬休みみたいなのが2週間くらいあって、春休みがすごい長かった。1月で授業が終わって、2・3月がお休み、4月からまた学校が始まる。 そして7月の末で授業が終わって、8・9月がお休み。ほとんど日本と同じだったから、全然そこは困らなかった。
T.Y.: マンハイムのスケジュールがちょっと特殊ですよね。だって始まるのが2月でしょ?
M.Y.: 2月の終わりに始まったかな。
T.Y.: かなり早い。
M.Y.: でも授業期間が5月までなんですよ。6月はもうテスト期間で。

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○ ドイツ流 休みの過ごし方

―― 何してた、休み?
M.Y.: いやー、旅行しまくりました(笑)
―― 旅行は、どういうところへ行った? 他の国に行ったりとか?
M.Y.: 年間通して色々なとこに行きました。イタリアとかチェコとか。 あと、ルクセンブルクとか。それから、授業終わってから1人でロンドンへも行きました。
T.Y.: スペインも行ってたよね?
M.Y.: うん。その後バルセロナにも行った。
―― T.Y.君はスペインのマヨルカに行ったんだって?
T.Y.: 行きました、ドイツ14番目の州(一同笑) (笑う K の顔はひきつっている。それを言うなら 17 番目の州でしょ! ドイツは 16 の州からなっているんだから!)
スペインのマヨルカ島(Mallorca)。地中海西部に浮かぶ島で、ドイツからの観光客が非常に多いことで有名。
―― M.I. は半年しかなかったから、全然旅行とかできなかったでしょ。
M.I.: できなかった。唯一オーストリアから出て旅行した先が、ウィーンから電車で1時間くらいで行ける距離なんだけど、スロバキアの首都ブラチスラヴァ。
T.Y.: あ、近い! そんな近くなんですか。
M.I.: クラスメイトといきなり「行こうぜ!」ってなったのが、唯一の国外旅行でした。 でも、もうウィーン以外に魅力を感じないようになってしまってて(笑) ウィーンの中だけでも行きたいところありすぎて、 1回行ったところでも何回でも行きたいとか、街並みを歩いて見るだけでも幸せだったから。 美術館の年間パスも買って、週末に行ったりとか授業終わり行ったりとかしてました。 あとは荷物はカメラだけにして、撮影だけする日、って決めて回ったりとかもしました。 半年では足りてなくて......。(K:うん、うん。思えば、ハプスブルク帝国の帝都だったわけで、そんじょそこらの大都市と比較しないでくれって感じだよね。)
T.Y.: ある意味一番ローコストで一番楽しい(一同笑)
―― ウィーンは週末が楽しいよね。
M.I.: そう、本当に。
T.Y.: 楽しいと思う。
―― だって日曜日なんて他のところ何もやってないからね(笑)
M.Y.: あれ、ウィーンは日曜お店開いてるんですか?
M.I.: えっとねえ、観光名所は開いてる。あとスーパーマーケットも大きい駅だったら開いてる。
T.Y.: ウィーンはもう全然生活するのには困らないですよね。日曜日も。
M.I.: 全然困らない。
M.Y.: こっちなんて日曜日ゴーストタウンだったもん。
(一同笑)
T.Y.: まじで日曜日はやることがない。だから日曜日は、観光地に行けばお店開いてるから、旅行して逃げる。
M.I.: 金曜日か土曜日の午前中に、ルームメイトと「今日買い物しに行こう」とか言って、 買い物には行ってたかな。まとめて買いに行こうよ、って。「酒は今のうち!」とか言って、金・土・日曜日分のお酒を買いに行ったりとか(笑)
日曜日とかは朝はこう、いきなり WhatsApp で 「今日晩ご飯みんなで食べようよ」とかクラスメイトから連絡が来て、「いいよー」みたいなやり取りをしてました。レストランは普通に開いてたかな。
Facebook 傘下のメッセンジャーアプリ。日本で言う LINE にあたる。
―― レストランとかは時間限定で開いてたりするよね。
T.Y.: 大きい街は大体開いてますね。
―― マンハイム、日曜はゴーストタウンだったって言ってたけど(笑)
M.Y.: マンハイムは大きなショッピングストリートがあって、結構ブランドものファッションのお店があるんですよ。そこがゴーストタウン状態でした。
(一同笑)
M.Y.: 普段は本当に人が多いんですよ、あそこ。それが全くいなくなるから、本当に、「ちーん」ってしてて。
――「ちーん」(笑)
T.Y.: 確かに、僕行ったときすごかった。雨降ってたから余計そうだったけど、ほんとに人いなかった。
M.Y.: ほんとに人いない。
T.Y.: びっくりするぐらい人いなくて。
M.Y.: 寂しい。
M.I.: だからさあ、クリスマスマーケット期間ってすごい助かるよね? 「土日なのに、夜なのに店が開いてる!」って。
T.Y.: あれ偉大でしたねー。
M.I.: 屋台のご飯がめっちゃおいしいから、「今日はもうクリスマスマーケットのご飯でいいや」みたいな。

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○ 冬の楽しみ クリスマスマーケット

T.Y.: あの、ウィーンのクリスマスマーケットって雰囲気とかどうなんですか? 意外と知らない。
M.I.: えっとねー、色んなところにボボボボボボって乱立するんだけど(笑) シュテファン寺院の前とか、あとシェーンブルン広場とか。
M.Y.: いいなー!
M.I.: 市庁舎前とか、ホーフブルク前とか色んな所にあって、 それぞれの場所ごとの種類のマグカップが売ってるから、みんなそれぞれ買っていく。
T.Y.: めっちゃいいなあ。
M.I.: それだけでもみんなで回るのが大変だった。
T.Y.: いいなーウィーン。正直ドイツ回るのに精いっぱいで、そこまで行けなかったけど。
―― ドレスデンは行った?
T.Y.: ドレスデンは行きました。すぐ隣だから。
―― 綺麗だったけどね、ドレスデンも。
M.Y.: 狭いですか、ドレスデンは? なんか、意外とちっちゃいみたいで。
T.Y.: ドレスデンのクリスマスマーケットは街中に散らばってるんじゃなくて、大きな広場に全部集中してる。
―― 教会の近くと、あと、もう少し新しい区画が2カ所ぐらいあった。
T.Y.: メインは広場の中に全部あった、他にもそこそこあったけど、広場の区画だけを見ればOKっていうのがドレスデンのマーケットの特徴かな。
M.Y.: 行きたかったなー。
T.Y.: ライプツィヒのマーケットとかは、街中の狭いところとかにも出てたから、 街中どこもかしこも全部マーケットになってる感じでした。だから隣町だけど全然違った雰囲気でしたね。どこが一番良かった?
M.Y.: アウクスブルク。エンゲルシュピールがめっちゃ綺麗で、市庁舎みたいなところの窓から天使が出てきて、パー、ってラッパ吹くの。 その音がすごくきれいで......。みんな下で、グリューワイン片手に、音楽が始まったらみんな見入る。なんか一番好き。
―― みんな結構クリスマスマーケットは思い出に残ってる感じかな。
T.Y.: めっちゃ回りました。ニュルンベルクと、みんな大好きローテンブルク(笑)
(一同笑)
T.Y.: あとライプツィヒ、ドレスデン、ベルリン、ハンブルクかな。個人的にはハンブルクが一番。 やっぱりニュルンベルクとかミュンヘンとかドレスデンあたりが有名じゃないですか。個人的には、 ハンブルクはやっぱり海沿いで綺麗で(K:海じゃなくてエルベ川だってば)、港のところにでっかいクリスマスツリーが立ってるとか、 そういう雰囲気がすごい好きだった。でもハンブルクのクリスマスマーケットは、 観に行く予定じゃなかったんですよ。ただ単に、後輩を連れて旅行してたらたまたまクリスマスマーケットだったってだけでした。でも、すごく良くてびっくりしました。

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○ 留学中の思い出

―― クリスマスマーケット以外で思い出に残ってることってある?
M.I.: ある!
―― ウィーンいっぱいありそう。
M.I.: ほんとにねー、なんでこんなウィーンって人気ないのかなって疑問に思う。
―― ないわけではないと思うけど(笑) (K:ナイスリアクション、僕の分身! 過去にもウィーンに留学した学生はいるのだ。)
M.I.: ウィーンの、9月半ばか10月半ばくらいに、1日だけなんだけど、 夜6時から深夜1、2時まで、11ユーロでウィーン市内全部の美術館を回れる日、っていうのがあって、 たった11ユーロ払うだけでウィーン市内の美術館全部入れるの!
M.Y.: ええー!
M.I.: その語学学校の人たちと一緒に行って、最初超ノリノリで夕方の4時くらいに集合して、軽くご飯食べながら「どの美術館回る?」って相談した。 パンフレットもちっちゃいのがもらえて、市内にある全部の美術館の説明とかが載ってる。それで、これ行こう、あれ行こうとか、わーって話してた。 電車も乗り放題だから、バスも。何時まで、とかじゃなくて終日だから、帰りを気にすることもなく、 ひたすら6時間くらい色んな美術館を回り続けてたから、1時ごろからもうみんなグロッキーになってた(笑) もう無理ー、みたいな。 それがすっごい楽しかった。あと美術館がライトアップもされてた。クリスマスマーケット以外もめっちゃ楽しかったかな。 そういう、音楽とか美術を使ったイベントが多いなって印象だった。 春先とか夏は、もっと野外の色んなイベントが増えるらしくて、野外フェスしょっちゅうやってるみたい。
T.Y.: マンハイムでも野外フェスとかやってた?
M.Y.: 大学内では学校のクラブみたいなのもあったけど、私はフォルクスフェストが楽しかった。 真夜中に移動遊園地が来て、すっごいカラフルだった。へんな乗り物もいっぱい。回ってるやつとか。あれに夜行ってた。
―― ああ、あれ(笑) フォルクスフェストにしかこないよね。
T.Y.: ライプツィヒには結構来ますよ。オクトーバーフェストだけじゃなくて、なんかよく分かんないフェストのときにも。
―― なんか、乗り物ガタガタしてるよね。
M.Y.: そう!
―― 強度大丈夫なのかなこれ、って。
T.Y.: 大分心配になりますよね。
M.Y.: 夜に行くのが好きだった。真っ暗な中でカラフルだったから。
T.Y.: ああー、綺麗だね。
M.Y.: なんか熊とかぶら下がってる屋台とかもあった。
―― なんか射的とか輪投げとかの。
M.Y.: そう(笑) すごい楽しかったなー。
M.I.: ウィーンは常設遊園地があるから。
M.Y.: すごいなー。
M.I.: 『第三の男』 って映画にも出てくる遊園地があった。 そこも1回行ったんだけど、1個1個の乗り物にお金を払わなきゃいけないタイプで、しかも1個6ユーロとかなの。「高っ!」みたいな。 ジェットコースター乗ったら乗ったで、多分、恰幅いい人用なんだろうなあと思うけど、ドイツ人体形用だったからすっごいゆるいの!
M.Y.: わかる!
(一同笑)
T.Y.: それ逆に怖いっすね。
M.I.: そう! しかも頭ガッコンガッコンに打つじゃん。そりゃなんか、こっちの人たちってディズニーの印象ないよね。
M.Y.: ディズニーは子供が行くところっていうか......。
T.Y.: そうそう。パリのディズニー行きましたけど、ほとんどファミリーばっかりで、ほんとにめちゃくちゃ空いてた。 スペースマウンテン5分待ちですからね、4回乗りましたもん(一同笑) 日本人だったらみんな乗りたいと思うような、そういうジェットコースター系アトラクションって、 子供が身長制限かかってて乗れないんですよ。だから、他のやつよりも空いてて乗り放題で、全然日本と違った。
『第三の男』:1949 年製作のイギリス映画。作中に出てくる観覧車が、プラーター公園内の北西の一角にある遊園地のもの。

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○ 個人的ハプニング大賞

―― ハプニングみたいなことって色々あったと思うんだけど、その中でも面白エピソードみたいなのってない?
M.I.: 私今回はなかった気がする。だってバイロイトに行ったときは、精神的に病みすぎて ......。 ストレスやばくて全身じんましん出して、顔も腫れたから、唇も腫らして2日ぐらいアヒルさんみたいになってた。
―― 水が合わなかったんだよね。
M.I.: 合わなかったのと、ストレスで。あとは、シェーンブルン宮殿で携帯失くしたでしょ、携帯すられて(笑) でも長期留学の間はなかった気がする。
―― それに勝ることはあんまりないよね (笑)
M.I.: だからそういうことがあったからもう万全の態勢で行くよね。
T.Y.: たしかに準備してれば。しかも多分、わりとそんなに国外出なかったっていうのもあるんじゃないですか?
M.I.: そうかなー。あ、でも携帯壊した。
―― あ、壊したんだ。
M.I.: 3回携帯の電源入らなくなったけど、前に携帯を失くした事件があったから、パソコンとタブレットを持ってってたの、あらかじめ。 いつ携帯がどうなってもいいように。なんか携帯自体が壊れちゃったんだよね、充電がもたないみたいになっちゃって。だから万全の体制を期した結果、 特に問題もなく ...... 。日本食も、お米5キロ持ってったからね(笑)
―― 逆にこっちは向こうで携帯ぶっ壊したわ、っていう。
M.I.: そうだ、言ってたね (笑)
―― ちょっと、トイレにぽちゃんしたから (笑)
(一同笑)
―― 自分の部屋のトイレに、使う前なんだけど、ぽちゃんってやっちゃって、 「あ、やばい!」っ て拾い上げて、まあ、大丈夫だったんだけど、防水携帯だったから。 でも、その後に充電したら、充電するところは濡れてたの、まだ。
M.Y.: あー。
―― なんか焦げ臭いって思って行ったら、ショートしてて(笑) それで、本体は無事なんだけど、 その充電するコネクターだけがやられてしまった。それで、充電できなくなって、卓上の充電器を日本から取り寄せようと思って、 夜中にアマゾン開いて、頼んで、それで持ってきてもらったんだ。ほんとねー、アマゾン神だなって思った(笑)
T.Y.: 僕はなにがあったかなー。携帯は失くさなかったけど、ビザとパスポートすられた。
M.Y.: え!?
T.Y.: ベルリンでパスポート再発行してもらいました。
M.I.: 大使館行ったの?
T.Y.: 大使館行きました。12月28日とかに。もう今日がラストみたいな日だった。
―― 良かったね、開いてるときで。
T.Y.: たまたま。もうその日しか開いてなかったんですよ。
―― 気が付いたらすられてた?
T.Y.: なんか、「あれ、ない!」ってなって。
M.Y.: へえー、ほんとにそうなんだ。なんか失くしたといえば、私もデジカメ失くした。
T.Y.: あ、言ってたね。
M.Y.: あれ、理由が未だに分かんないんですよ。ベルリンで、長距離バス乗って、その後バイロイトに行ったんですよ。 で、バイロイト着いて降りて「あ、ない!」って気付いて。
―― バスの中で落としたの?
T.Y.: それ、僕も全く同じパターンで。ベルリンにいたときにはまだあったはずなのに、 ハンブルクに長距離バスで行って、ハンブルクに着いて「あれ、ない」ってなって(笑)
M.I.: 着いて思い出した、と。
M.Y.: スリかなー。
T.Y.: あそこ絶対なんかある。だって俺ローマ行ってもパリ行っても何もなかったのに、 ベルリンで2回やってるから。
(一同笑)
T.Y.: ライプツィヒで携帯とか、パソコン、その他盗まれた人もめちゃくちゃいましたよ。
M.I.: 寮で?
T.Y.: いや、内でも外でも。
―― なんか、洗礼みたいな感じですられていくのね。
T.Y.: だって大学内でも携帯すられた子いますよ、学内で。
M.Y.: えー、危ない。
―― 大学内なんてみんなその辺に鞄置いて芝生に寝転んでたけどね。
M.Y.: うん。
T.Y.: パソコンとかも持ってかれるんですよ(笑)
K:......みんな大変だったんだね。もっとも、タブレットとかカメラとか忘れて、ちゃんと持ち主の下に帰ってくる日本が普通じゃないような。 そういう意味では、ヨーロッパはどこも危ない。みなさん、ちゃんと現地の情報収集をして気をつけてください。

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○ 白熱バトル三回戦

―― 学校の寮とか手続きとかでハプニングはなかった?
T.Y.: 寮の管理人と揉めてしまって、契約が変わるから家変わらないといけない話で、日本で聞いてた話と話が違うじゃないかって抗議したんです。 でも、寮に文句言ったら「は? 俺らは知らねーし」って言われた。
M.Y.: えー。
T.Y.: それで、エージェントの方に言ったら「そんなこと言われても今私たちそっちにいないからどうしようもできないから」って言われて ......。 「ふざけんな!」って。それで、結局アメリカのエージェント側は何も手出しできないから、自分でやるしかないことになったんです。 でも寮の側からすれば、そんなこと知ったこっちゃなくて、向こうも待たされてるから超イライラしてるんですよ。 「早くしろよ!」って思ってるから、超機嫌悪い寮の管理人相手に、3回くらいバトルしなきゃいけなかった。
―― あー、ドイツ語で。
T.Y.: もう寮の管理人と大げんかしましたね。一番ひどかったときは「出てけ!」って言われましたもん。
M.Y.: ええー!
―― でも喧嘩できるくらいのドイツ語力はついたってこと?
T.Y.: 付きましたね。当時まだそんなに、B2 受かる前だったんでそんなにドイツ語力なかったはずなんですけど、 怒ったら出てきました、自然にドイツ語が。
M.Y.: アドレナリンかな(笑)
T.Y.: ほんとにぷちーんてきた後、もうとりあえず何か言わないと、何かこいつにぶつけないと気が済まないってなって、すごい喧嘩しましたね、最後まで。最後の、 帰国前日に寮を退出するときまでにらみ合い続けましたね。

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○ 帰国後のカルチャーショック

―― そんな白熱のバトルが繰り広げられた後で日本帰ってきてちょっとほっとした?
T.Y.: いや。
―― そうでもなかった? 帰ってきちゃったなー、みたいな感じ?
T.Y.: 日本帰ってきてまず「日本かゆっ!」って思いました。まず、空気から水の味がする。空気がかゆい。
―― 面白いねその表現。
M.I.: ソムリエみたい(笑)
T.Y.: ほんとに、僕花粉症とかアレルギーとかめっちゃ持ってるから。
―― そっか、花粉のかゆさね。
M.Y.: 敏感。
T.Y.: ドイツにいる時はほんとになにもなかった。
―― 天国だったね、ドイツ。
T.Y.: そうなんですよ。なんか、一応花粉とか飛んでるらしいんですけど、多分反応しないんですよね。
―― なんかスギ花粉とかそういうのじゃないんだよね。
T.Y.: 違う花粉なら飛んでるらしいんですよ。でも全然反応しなくて、日本帰ってきた途端に目と鼻がかゆくてしょうがない。 だからまずその空気感の違いでびっくりしましたね。
―― 湿気多いってならなかった?
T.Y.: そう。だから空気が水の味がするんですよ。
―― そういう意味か。
T.Y.: でもこれは他の子も言ってました。空気が水の味するって。
M.Y.: へえー。
―― M.Y.さんはどうだった? 日本帰ってきて。
M.Y.: 「うわあ」ってなった。
―― 「うわあ」ってなった(笑)
M.Y.: 「うわあー」ってなりました。もう、「あーじめじめするー」って、空港で降りた瞬間にですよ。
―― 汗ふきだしてくるよね。
M.Y.: そうなんですよ。
T.Y.: あとドイツでやってるのに慣れて、日本で間違えたことない?
M.Y.: あるある、いっぱいある。
T.Y.: トイレでお金払いそうになったとか。
(一同笑)
T.Y.: 僕の友達が羽田でトイレに入ろうとして、「あ、100円玉今持ってないから入れないじゃん!」って。いらないの忘れてて。
(一同笑)
T.Y.: やばいコインない誰かに借りなきゃ、って素で思っちゃったらしくて。
―― あ、今細かいのない! みたいな(笑)
T.Y.: ドイツはほとんどかかる。かからないところあったら「ラッキー!」みたいな。
―― ちゃんとした観光地だと1ユーロ入れないと中に入れないとかあるじゃん。
T.Y.: がちゃん、って機械のやつ。
M.I.: ウィーンはトイレにお金いらなかったんだよね。そんなになかった。逆にかかるときびっくりするんだよね。 「うわあーここお金かかるー!」みたいな(笑)

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○ 5年かかったとしても

―― みんな留学して、5年で卒業することになると思うんだけど、でも5年かけたからって、特に 後々マイナスに響くことって、今のところ全然感じてないのかな。
M.I.: たしかに感じてない。私なんて浪人と留学で2年ダブったし、そりゃ周りの貯金額とか地位 とか考えると、「あー遅れたなー」って思う。けど、その分私はすごい豊かな人生だよ、って思う(笑)
M.Y.: うんうん。(K:うんうん、うんうん。)
T.Y.: なんか日本ってすごい急かされるし焦らされるから、 1回その日本的な時間の流れとか焦りからまるごと離脱するっていうのもすごい大事だなって、留学して思いましたね。 それがあるのとないのと全然違う。逆に今もうその中に戻ってきちゃったから嫌ですけど(笑)
―― でもほんとに向こうにいた時って時間がゆっくり流れてた気がする。
M.I.: ゆっくりだったー。
―― 人生の豊かさってこういうことなんだ、って(笑)
T.Y.: だってそれこそ大学の授業の間とかでも、とりあえずその辺の芝生でゆっくり寝っ転がって、ジェラートでも食うかーみたいな感じだった。
M.Y.: そうそう。(K:わかる、わかる。)
T.Y.: あの余裕って何で日本にないんですかね?
―― なんか日本にいると何かしなきゃいけないって気持ちになって。
M.Y.: そう。
T.Y.: 不思議ですよね。
―― 日本では寝てる時以外ずっと動いてるみたいな感じなんだけど、 ドイツに行くと回りみんなゆっくりで過ごしてるから、このテンポで生活してても幸せに生きられるんだな、って思う(笑)
M.I.: 最初は土日が店休みなのすごい嫌に感じるけど、だんだん土日買い物もできないから家で何しよう、 みたいなふうに考え方が変わる(笑) ゆっくり掃除しよー、とか、ちゃんと勉強しよーとか、自分と向き合う時間がすごくできるよね。
T.Y.: たしかにそう。日本でドイツに対するイメージだと、「勤勉」とかあるじゃないですか。でもあれって嘘ですよね(笑)
(一同笑)
(K:う、うん? 「勤勉」の定義の問題じゃなくて? ここは同意できないなぁ)
M.I.: オンオフはっきりしてるんだろうなー、とは思う。
T.Y.: むしろすごいゆっくりしてるっていうふうに見える。それこそ同じヨーロッパでも、ロンドンとか行ったらすごいせわしなく感じた。
M.Y.: うん、忙しなかった。
T.Y.: あのロンドンの地下鉄のせわしなさって、すごく日本を思い出させるものがあるじゃないですか。
M.Y.: うん。
T.Y.: ドイツってそういうのないじゃないですか。
―― ドイツねー。みんなゆっくりしてた。仕事中でもゆっくり仕事してるから。
M.I.: ね!
―― ちゃんとやってくれるんだけど、でもそこにどれだけ時間をかけようがやることが終わればいいだろう、みたいな感じあるよね。
M.Y.: うん。
T.Y.: その辺やっぱその、いわゆる日本人が持ってるイメージと全然違うなって思ったんですよ。行ってみなきゃ分かんないことっていっぱいあるなって。
M.I.: 私はね、人付き合いってそんなに心苦しくならないでいいんだなって思った(笑)
(一同笑)
M.I.: 最初こそ傷つくけど、嫌なことは嫌ってはっきり言ってくれた方が、言い返せるものがあるし、 「もっとはっきり行こうよ!」って思って日本で失敗したからね(笑)
(一同笑)
M.I.: なんか現地で知り合った日本人女性の方がいて、もう結婚もしててウィーンに住んでます、 みたいな人も、超はっきり言ってた。なんかご飯一緒に食べに行って、私が「えー、美味しい!」とか言っても 「え、まずくない、これ?」みたいな(笑) でもすごい一緒にいて過ごしやすかったかな。
T.Y.: 同じ日本人でもやっぱ違うなって思いますね。
M.Y.: うん、違う。
M.I.: だからそういうのがいいなって思える人は留学に向いてるのかもね。
―― 留学してると性格がだんだんそうなってくるよね(笑) 言わなきゃ分かってくれないし。
T.Y.: やっぱりそういう意味でも行ってみるっていうのは大事なこと。
M.I.: やっぱりちがう価値観を持った友人がいるっておっきいよね。
T.Y.: 今でもどうですか、友人関係?
M.I.: Facebook とか、WhatsApp とかで、誕生日はみんなメッセージ贈り合うし、たまにボイスで送ってくる。 そのボイスで情報交換したりとか、あとクリスマスにお互いの国のものを送ろうって約束した友達とかいて、 ウィーンでおそろいの物買ったんだよ。で、これから毎年何かお互いの国の物贈り合おうよって話したり。
M.Y.: 素敵。
T.Y.: いいですね。
M.I.: まあ日本人ってだけで優しくしてくれる人もいっぱいいたから、そういうところのつながりは続いてるかな。大事にしたいし自分も。
―― やっぱ向こうで得た一番のものは人脈、ってのはあるからね。
M.I.: うん。

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○ 番外編:めじろだより編集委員からの質問に答えてもらったよ!

―― 志望理由書の留学の目的はどうやって選んだ?
M.Y.: マンハイム大学でゲルマニスティック[ドイツ学]を学びたいから、って書きました。
くるみ割り人形くんの中の人(以下、中の人):やりたい分野はゲルマニスティックとか大きいくくりでも全然良くて、 そんなに難しくとらえることはないと思う。体験してみたいことを書けばいい。
T.Y.: 僕は音楽学で、全然単位にならないけど関係なく受講させてもらえて、いい意味でゆるかったかな。
―― 留学費用はどれくらいかかった?
T.Y.: 奨学金は色々あるからね。
M.I.: お金は貯められる。
T.Y.: めっちゃ奨学金もらった人、めっちゃ稼いだ人、何もしてない人がいるからね(笑)
―― 留学までにどれくらいの語学力が必要?
M.I.: 3年生までやれば独検の2級は受かるよ。
T.Y.: 僕はドイツでC1まで取った。
M.I.: 私なんてA2スタートで B2 までいった。
T.Y.: 専門用語さえ分かれば理解できるよ。ドイツ語力が多少低くても専門用語分かれば理解できることはある。
M.I.: 語学の壁って2回ぐらいくるよね。それを超えた後の自由さ。どうやって超えた?
T.Y.: とにかく終わらせようと思った(笑) とにかく大学生に戻りたいって一心で必死に通って。
M.I.: 私は語学の壁全部お酒で乗り越えた(笑)
(一同笑)
T.Y.: お酒飲むとめっちゃしゃべれますよね。
中の人: 私はアルコール駄目だから飲めなかったけど、友達とビアガーデンに行くのは楽しかった。飲み会だとしゃべるから練習にもなるし。

Web 版記事、どうだったかな? 本誌では語られなかった、込み入った話まで知ることができて、 色々刺激になったんじゃないかな? 長期留学は勇気がいると思うけど、その分得られるものも大きいって、 今回の座談会に参加してくれたみんなが言ってたのが印象的だったなあ。留学実現に向けて、突き進め、独文生!

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