史学科 学生生活

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ゼミの運営

 演習や基礎演習のイメージとして、「自発的な学習」という表現がよく使われますが、これだけではイメージが伝わりにくいかもしれません。研究能力は調査を進める能力に大きく依存しているので、演習で身につけるべきもののひとつは調査・分析能力です。すなわち、「これまでに知られていなかったことを見つける力」ということもできます。教員の指導は、調査を実施させて、口頭発表や文書でのレポートを課し、その内容について評価したり助言する形で行われます。
  それぞれのゼミで、担当教員がどういったことを鍛えようとしているのかというポイントについては、年度の最初に何らかの形で指示があるでしょう。発表内容を個々人の担当とするか、グループを作って調査を行うか、といった点も、各教員の指導方針によって異なり、シラバスに記されるほか、最初の授業の際に詳しく説明されるはずです。史料の講読では、丁寧に辞書をひいて精確な訳をつけ、関係史料を検索して照合するよう求められる場合が多いでしょう。研究発表では、問題を立て、関係する研究文献を網羅的に探し、これまでの研究内容について自分の意見(感想ではなく、さらに研究を深める余地がどこにあるのかという点についての意見)を出すことに、力点を置いた指導がなされる場合が多いでしょう。史料解釈も、関係する文献の検索も、目標となる卒業論文ではともにその能力が必要になります。

■発表当番と発表準備

 それぞれの演習の運営方針は、シラバスやゼミ説明会などを通して、第1学期の初回の授業までに知ることができます。2・3年演習では初回授業のときに出席者の数が確定せず、2回目以降に発表当番が確定することがありますが、おおむね初回に発表当番が決められると考えておくと良いでしょう。
  誰かの研究の「受け売り」だけでは、「史学科で学んだ」という価値は認められません。自身が独自に調査する能力を身につけるのが、基礎的な課題だと思って取り組んでゆきましょう。研究の糸口は、ある漢文につける返り点の付け方の違い、すなわち意味の取り方の違いや、従来の研究では気にとめないで見過ごされてきたような問題など、ごく些細なことからつながっていることがあるものです。
  発表当番が割り当てられた段階から、すでに準備は始まっていると考えてください。研究発表の場合には、「何を調べるのか」ということも発表者自身に委ねられる場合が多いので、「調べること」を見つけるために文献を探すという事前の準備が大切です。講読の場合にも、史料の担当箇所についての訳を試みて、調べるべき問題、調べうる問題を見つけ出すことが課題になります。発表内容そのものをまとめるために2週間程度の作業が必要でしょうが、それ以前にこういった準備を行うことが大切です。
  どんなことが発表する価値のあることなのか、当初はよく分からないものです。例年、2年生にインタビューすると、先輩の発表を聴いて、「どこからこんなことを調べてきたのか」とか、「観点が高くてすごい」といった感想を持っているようです。演習という形態をとっている理由は、「他の人の優れた発表」に触れて、これを「まねる」ことが大事でもあるからです。発表の要領を飲み込むには何回かの試行錯誤が必要です。先輩や仲間の発表の良い点をたどりながら、努力する方向と要領とを学び取っていってください。

 


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■ ゼミ指導の考え方

 「あこがれる心」は自発的なものであり、その人の個性や独創性に繋がって結実していくものですが、学問の世界で通用するかどうかという基準は、しっかり学び取らなければなりません。ゼミにおいて、研究能力と並んで身につけなければならないのは、この学問的な価値判断の基準です。
  学生にインタビューすると、自分の指導教員のコメントが「怖くもあり、有益でもある」といった感想を聞くことがあります。発表に対してなされるコメントを参考にして、それぞれの発表の良い点とそうでない点とを、客観的に区別できるようになることが大切です。発表の当番が回ってきたときに、自分自身の学び取った基準をもとにして自分の作業を進めることができれば、自信をもって「以前より腕をあげた」と自己評価することができるでしょう。自分に足りないところを自覚して、自律的に修正してゆくためにも、教員から受けたコメントの趣旨を理解して、参加者がしっかりと受け取ってゆくことが大切です。
  本史学科においては、教員が相互に連携して学生指導を行うよう配慮していますが、ゼミの場では教員は1人です。昨今の学生諸君の側の目線では、「教員のできること」と「自分たちにできること」とがかけ離れて感じられている場合が多くあるようです。教員にとっては「あたりまえ」のことが学生諸君にとっては必ずしもそうではない、という場面は少なくありません。このため、多くのゼミにおいて、大学院博士後期課程在学中の学生に「TA(ティーチング・アシスタント)」として参加してもらっています。学部学生により目線が近く、学部在学中の学生が乗り越えなければならない課題についても、自分自身の最近の経験からさまざまな印象をもっている先輩に参加してもらっているのです。学生にとってより身近に感じられるコメントが出されることも多いでしょう。ゼミにおける発表の基礎的な要領についても、教員よりも懇切ないし具体的に指導してもらえる場合があるでしょう。学生の要望次第では、ゼミと別に勉強会(サブゼミ)を主催してくれることもあります。
  ただし、大学の学生にとって大切なことは、「自立した研究主体になれる」ということです。教員やTAの指示にすべてを期待してはいけません。発表が不評であっても、次の機会に立て直して挽回すればよいのです。たとえ失敗しても、それを糧にして成長することを期待しています。何が叱正されたのか、正しくつかむことで、次に同じ失敗を繰り返さないようにすることが肝要です。また、「人のフリ見て我がフリ直せ」という言葉があるように、他の人が褒められたり叱正されたりしていることからも、きちんと学び取るという姿勢が大切です。
  どの演習でも出席が重視され、遅刻が戒められるのは、きちんと参加していなければ、こういったことを学び取れるはずがないからなのです。


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■ ゼミ幹事と各種委員

 ゼミの運営には学生も主体的に参加します。通常の出欠管理などは教員が行いますが、定例のゼミ以外に行う行事、合宿や報告会、ゼミのコンパなどについては、学生側で日程や企画を扱うことが多くあります。どんな見学地にゆきたいかといったことや、ゼミ単位の卒論報告会をいつに設定するのかなど、学生側の都合や要望をとりまとめたり、宿泊地の選定や、合宿会計を学生が行うのが普通です。発表する学生の順序なども学生側で相談していることが多いようです。教員側に見学地の選定の意図があったり、日程に都合があったりということも普通ですから、担当教員と学生が連絡をとりながら運営してゆくことになります。
  こうしたさまざまな場面における、演習(ゼミ)での学生側のとりまとめ役を、「幹事(通称はゼミ幹)」と呼んでいます。1年次の基礎演習では、クラス委員がこれに相当します。4年生演習では、3年次の演習の時期のゼミ幹事が、そのまままとめ役を務めてくれることも多いようです。
  各演習では、合宿など、ゼミ幹事が活躍する機会が多くあります。2・3年次の演習では、おおむね、2学期の後半に3年生から2年生に幹事の交替をおこなっています。
  学習院大学史学会の運営は主に大学院生の委員と教員の委員とで進められていますが、会誌・会報の配布、会費の徴収は各ゼミに置かれている史学会委員の担当です。史学会の会報に掲載されるゼミ合宿の報告などは、主にゼミ幹事が文責を負っているようです。
  1年次の基礎演習では、5月の研修旅行が大きな行事です。事前にグループをつくって見学地についての調査を行い、報告文を集めて冊子を作成します。調査報告と冊子の作成、さらに宿泊地での懇親会の司会・運営を担当するのが旅行委員です。
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