史学科 卒業論文

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卒業論文の作成指導

 3年次の半ばごろから、それぞれの学生が所属する演習ごとに、卒業論文の作成指導が始まります。構想やテーマについての相談会や、個別の学生相談などが、それぞれの指導教員の方針によって行われています。
  卒業論文は、学術論文として作成されるものですから、中身はもちろんのこと、その体裁・書式についても、必要な基準があります。先学の研究に依拠した部分を明示するといった、基本的な事項も含めて、論文として書くことの要領について指導していきます。

■卒業論文で求める課題

 どんなに小さく見えることがらであっても、「これまで考えられてきたことは間違いだった」といったことや、「これまではこういった事情が認識されていなかった」というような新たな発見を、自分自身の努力によって見いだすことが目標です。大きな変化は、必ずしも大きな発見から始まるとは限りません。ごくささいな発見が、大きな変化の糸口になり、結果的にはそれが実は重大な発見であったということも多いのです。これまでの知識に対して、独力で何かを付け加えることができるようになった人は、そこから出発して誰にもできなかったことをやり遂げる可能性の入り口に立つことができます。学問研究をそのまま続けていくかどうかは別にして、卒業生がこうした可能性を持って巣立ってゆくように指導するのが、私たち史学科の目標とするところです。
  卒業論文は1年間で書き上げるものであり、与えられている時間にも限りがあります。自分が一生かかって取り組まなければできないような、体系的な大きな仕事が要求されているわけではありません。研究の第一人者であるような大家が執筆するような、広範な内容を大きく論じることに意義があるのではなく、たとえ小さな問題でも、堅実な方法で取り扱い、確かなことを述べられることが大事です
  「好きこそものの上手なれ」ということばにもあるように、自分がのめり込めるテーマに出会ったとき、それこそ自分でも驚くような力が発揮できることがあります。このような体験もまた、卒業論文の作成を通して得られることがあるかもしれません。自分自身の力を発見し、それを(結果として)自分で伸ばすという過程が、卒業論文の作成作業の中に込められています。

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■ テーマを探してしぼりこむ

 3年次には、まずテーマを探すことが課題となります。以前から興味を持っている問題や、最近学んだ中で興味を抱くようになった問題など、そうしたことがらを糸口として、関連する先行研究を調べ、それらの研究においてどのような史料が用いられているのか、また、これから進めていく上で、テーマとしてどのような有望な内容が想定できるのかといったことを、調べていきます。
  卒業論文に向けて、3年次最後の春休みの時期に、400字詰め原稿用紙に換算して20〜30枚のレポートが課される場合もあります。卒業論文のテーマとして、自分が考えているものがふさわしいかどうか、この時期に自分で調べながら検討を進めていくのです。論拠となる史料がなければ、いかに魅力的なテーマであっても、実際に確かめながら作業を進めることはできません。また、非常に広範な調査を必要とするようなテーマでは、1年間の限られた時間でまとめることは困難でしょう。こうした点も考慮しながら、自身のテーマを考え、さらにどのようなことが可能かをしぼりこんでいくのです。


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■ 研究の焦点となる文献や史料を吟味する

 卒業論文作成において、自分が研究する上で核となるような、論文・著書や、根拠となる史料を読み解き、どのように考えられてきたか、さらに考え直す余地はないか、関連するどのような問題が未解明であるか、こうした点を考えていくのが、4年次前半の課題ということができるでしょう。毎年、6月下旬に卒論中間報告会を開催し、執筆予定者全員が出席して、卒業論文作成の進行状況について報告します。就職活動や教育実習など、4年次生にはさまざまな負担が平行していますが、そのような中でのペースメーカーとなるように4年生演習があり、おたがいの進行状況を見ながら、自身の作業を進めていくことになります。
  夏休みは、まとまった時間を使って作業を進めるための恰好の時期であり、一連の史料をまとめて調査したり読み込んだりすることにあてることが多いようです。そうした中で、当初の見込みが甘かったことに気づくことも少なくありません。予定していた作業が完了しそうもないほど膨大だとわかったり、また逆に、当初考えていたほど材料がないことがわかったり、知りたいと思っていたことに近づける史料がないことがわかったりします。すでに調べた内容からどのように修正していくか、作業を切り替える必要が出てくる場合もあるでしょう。夏休み期間中にゼミ単位で相談会を開いたり、個別に教員と相談をしたりしている場合もあるようです。
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■ 問題点を掘り下げて執筆にとりかかる

 夏休みが終わったころには、自分が集めてきたものに、どのような意味があるのか、論文にした時点での位置づけがはっきりしていることは、まれでしょう。気になっていることについて、もっと調べてみれば何かが言えそうだというところにとどまっているのがふつうでしょう。自分の考えを固めるため、あるいは関連する問題をさぐるために、さらに必要な史料をさがす作業が繰り返されます。関連史料にあたる作業も、夏休みに史料を吟味するまでの時点で一度経験を積んでいれば、以前よりも気楽に取り組むことができるようになっているでしょう。
  秋には提出までの残りの日数を計算しながら、できるところから執筆を始めます。書きながら考え、考えながら書いていくというのが、多くの場合でしょう。10月下旬には、卒論最終報告会が開催されます。このころには、内容の完成に向けてまだ残されている課題を確認したりしながら、必要があれば指導教員と相談を行います。
  本史学科では、卒業論文を手書きで原稿用紙に清書して提出することを必須としています。清書にかかる時間も考慮に入れながら、執筆作業を進め完成を目指します。12月になるころには、清書に取り組む4年次生の姿が閲覧室で見られるようになり、やがて提出日を迎えることになります。
  卒業論文を書く中で、「これが分かったぞ」というひらめきや発見があり、他の研究者との見解の相違をきちんと説明するといった論理的な思考が、執筆を通して鍛えられていくはずです。それは、卒業論文執筆の最終段階であることも珍しくはありません。
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