教員紹介

亀長 洋子 准教授

亀長 洋子 教授
KAMENAGA, Yoko
西洋中世史

■略歴

1965年 新潟市にて生まれる。その後、四国にて育つ
1984年 香川県立高松高等学校卒業
1990年 東京大学文学部西洋史学専修課程卒業
1994-1995年 イタリア政府奨学金留学生としてジェノヴァ大学留学
1998年 東京大学人文社会系研究科欧米系文化研究欧米歴史地理文化コース
       西洋史学専門分野博士課程単位取得満期退学
1998年 日本学術振興会特別研究員(PD)
1999年 東京大学人文社会系研究科より博士(文学)の学位を取得
1999年 高千穂商科大学商学部専任講師
2000年 同大学同学部助教授
2001年 高千穂大学教養部助教授(所属校の改組による)
2004年 学習院大学文学部助教授
2007年 学習院大学文学部准教授

2012年 学習院大学文学部教授

■研究テーマ・分野

 西洋中世史、なかでもイタリアを中心に、人と人との結びつきの諸相と、そうした結合がもつ力やもたらす意味をさまざまな角度から研究しています。人間はひとりひとり、自分のなかにいろいろな顔があり、その一つ一つにおいて、別の人間と関わっています。そんなことを考えながら、当初自分にとって身近な問題としてとりくんだ商人の家族における女性の地位といったテーマから、ファミリービジネスの話へと関心は広がり、最近は、イタリア商人の広域活動とネットワークについて調べています。主な研究対象であるジェノヴァ商人が、北西欧から地中海、はてさて黒海地域までうろうろして幅広く活動をしてくれるおかげで(?!)、目を配らねばならない領域・分野はどんどん増えています。

■主要業績

【著書】
2001年 『中世ジェノヴァ商人の「家」 -アルベルゴ・都市・商業活動-』刀水書房
2011年 『世界史リブレット106 イタリアの中世都市』山川出版社
 
【研究論文】
1992年 「中世後期フィレンツェの寡婦像 -Alessandra Macinghi degli Strozziの事例を中心に-」『イタリア学会誌』第42号
1996年 「中世後期ジェノヴァ商人の「家」・アルベルゴ意識 -ロメッリーニ「家」の事例から -」『イタリア学会誌』第46号
  「十二ー十三世紀におけるジェノヴァ商人の「家」の発展 -公証人文書の分析を中心に -」『史学雑誌』第105編第12号
1997年 「中世後期ジェノヴァ商人貴族における公債の受容 -ロメッリーニ「家」の事例から-」 『地中海学研究』第20号
1999年 「ある遺言の五百年 -中世ジェノヴァの「家」から-」『日伊文化研究』第37号
2000年 「姓を変えること -中世ジェノヴァのアルベルゴに関する試論-」『歴史学研究』第743号
2001年 「管理・制限されていく女たち -中世ジェノヴァの事例から-」『日伊文化研究』第39号 (歴史学研究会編「系図が語る世界史」青木書店、2002に加筆収録)
  'Changing to a New Surname' an Essay about 'albergo' in Medieval Genoa'Mediterranean World XVI.
2002年 「中世ジェノヴァ人の黒海 -多元性のトポスとして-」 高山博・池上俊一編『宮廷と広場』刀水書房
2003年 'Attiudes towards public debt in medieval Genoa:the Lomellini family' Journal of Medieval History, vol. 29, issue 4
2004年 「遺言にみる中世人の世界 -ジェノヴァの事例から-」 甚野尚志・堀越宏一編『中世ヨーロッパを生きる』東京大学出版会

2005年

 

「キオスに集う人々 中世ジェノヴァ人公証人登記簿の検討から」 歴史学研究会編『シリーズ港町の世界史1  港町と海域世界』青木書店
2006年 「講演 遺言書が語るもの 中世イタリアの事例を中心に」『学習院史学』第44号
  「中世ジェノヴァの刻銘史料と遺言」『アジア遊学』91号
2007年 「キオスにおけるジェノヴァ人関係の空間について」 『中世・近世イタリアにおける地方文化の発展とその環境』平成15年度-平成18年度科学研究補助金基盤(B(1)研究代表者山辺規子)研究成果報告書
  'The Solidarity and Network system of the Genoese Merchant Family in the Later Middle Ages: The case of the Lomellini',Communications and Networks of  Medieval Cities in the West:
  The Sixth Japanese-Korean Symposium on Medieval History of Europe: August 22-23, 2007, Keio University, Tokyo, Japan, (proceeding) (以下の韓国誌に掲載。 Sŏyang Chungsesa Yŏngu, (Journal of Western Medieval History) 20,2007.)
  「中世ジェノヴァ人のキオス進出史の動向」 中野隆生編『歴史における移動とネットワーク』(メトロポリタン史学叢書1) 桜井書店
2008年

「中世ジェノヴァの歴史叙述にみる「記憶」をめぐる考察」『日伊文化研究』第46号

  「中世ジェノヴァ人の海外進出」 齋藤寛海・山辺規子・藤内哲也編『イタリア都市社会史入門-12世紀から16世紀まで-』昭和堂
  `The Family Consciousness in Medieval Genova: The Case of the Lomellini’, Mediterranean World 19
2010年 「中世ジェノヴァ人の「家」」 吉田伸之・伊藤毅編『伝統都市4 分節構造』東京大学出版会
2011年 「中世イタリアの公証人文書との日々-史料との出会い-」 学習院大学文学部史学科編『増補 歴史遊学』山川出版社
2012年 'Medieval Genoese Colonial Society Viewed from an Analysis of their Colonial Testaments; Part 1: Testator and their Bequests', Mediterranean World 21
2013年 「海の向こうへ―中世ジェノヴァ人の行動様式ー」『学習院史学』51号

■ひとこと

歴史を学んでいて思うこと

 歴史が好き、という感覚をもっている人は、なぜだろう、と思うこともあるでしょう。例えば過去におけるある時代・地域・人・もの等々は、時に劇的なドラマを繰り広げたり、時に今や再現できないような美や喜怒哀楽・情景・生活習慣を伝えたりしてくれます。歴史には、理屈を越えて、人をわくわくさせてくれるような魅力が満載です。
 そうした純粋な知的好奇心がもたらしてくれる喜びだけでなく、歴史の勉強を続けてきてよかったなあ、と思うことがしばしばあります。それは、自分の日常生活のなかで実感するものです。現代社会を生きる私たちは、さまざまな情報を得て、世界をゆるがす大事件から身近な問題まで、数々の話題について多くの人々と意見を交換し、大なり小なり何らかの判断を求められます。私はそんなに立派な人間でも落ち着いた人間でもないのですけれど、こういうときに、ある程度冷静に対応できるようになりつつある(本当かなあ?)のは、歴史学を学んだ成果かなあ、と思ったりするのです。それは、歴史から教訓を学ぶといったやや古い歴史認識にとどまるものではありません。例えば、史資料に対する態度という、学問的手続きを学ぶことから情報ルート的なものを考える習慣が身についたり、何かの事件のおりに、立場によって動きが異なることを大前提に考えたり、常識、といわれがちなことが実はそうでもないと知っていい意味で醒めてみたり、世代や時間の変化に敏感になったり・・・・・・etc. etc. 歴史学は過去を素材とする学問ではあるけれど、それは現在に生きる私自身を絶えず形成・刷新していってくれます。自分がどういう人間であるのか、自分がこの社会にどう生きて、生かされているのか、考えさせてくれるのです。そして、現代社会が抱える問題は、過去を見つめる上での新たな視点をも数多く与えてくれます。
 歴史学は諸学問の中でも、まさに「歴史の長い」学問なので、学問的な手続きが重視される面があります。どの時代・地域を研究対象にしても、言語(外国語であれ古語であれ)・言葉との格闘はあるでしょうし、史資料(一般的には情報といってもいいでしょう)の量や扱い方に苦悩したりもします。しかし、そうしたちょっとした苦しみも、ちょっとしたやる気で興味関心に変わるような魅力、それを備えてくれているのも歴史かなあ、と思う今日この頃です。

【私のゼミ(学部)で学ぼうとする皆さんへ】

  通常のゼミの時間帯は、英文輪読の期間と、個人研究の発表の期間の二本立てになっています。英文輪読では、最初にその年に扱うテキストについて、参加者の担当部分を決めます。担当者は英文の訳文作成とともに、関連事項の調査を行い発表します。テキストについては、研究文献を扱う年もあれば、英訳された西洋中世の史料集を扱う年もあります。これまで、家族、商業、黒死病、十字軍等のテーマをとりあげてきました。また年度の後半は、個人研究の発表です。関心をもつ文献の内容を報告し、自身の関心、今後深めていきたい観点などを発表します。夏の合宿は、その年によって形式は異なり、共通テキストの輪読を行う年もあれば、個人発表中心の年もあります。ゼミでは、個々の報告について、参加学生達からの意見・質問も求められます。また、展覧会見学会andコンパ、3年生には春休みに4年進学前の個別研究報告会も行っています。その他もちろん、授業外の時間帯において、勉強に関する各種相談にも応じています。
  2年間のゼミにおいて、自分の個人研究を徐々に深めていき、卒論へと仕上げていきます。自分の関心は漠然とはあるものの、それをどう深めればいいのか、どうやって調べて何を読めばいいのかわからない、というのが多くの学生さんの状況だと思います。教師として、学生一人一人の関心を大切にしつつ、迷走や空回りのないよう助言していくよう心がけています。外国史の場合、原史料であれ研究文献であれ、外国語文献との格闘は学生達にとって大変でしょうが、どんどん夢中になって自分の関心を深めていく学生たちから進展状況をきかせてもらい、こちらも様々な助言をし、できあがってきた卒論を読ませてもらうのは、教師の大いなる楽しみでもあります。

【私のゼミ(大学院)で学ぼうとする皆さんへ】

  ゼミの形式は、年によって異なります。西洋中世史の院生に対しては、自分が修士論文で用いるラテン語史料を、ラテン語履修済みのゼミ参加者と一緒に輪読するという形をとります。西洋中世史以外の参加者は、ラテン語講読のかわりに研究ミニ報告を行います。全参加者に、年に複数回の個人研究報告が課せられます。語学力を向上させつつ、歴史学の論文作成にむけて、一歩一歩進んでもらうことになります。学位論文作成、研究生活にあたっての気構えのようなものも、ゼミを通じて感じ取ってもらえることでしょう。
Key words:Italian and Mediterranean History, Genoa, network and solidarity, family, merchant, women


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