スタッフ紹介

鷲尾 龍一(WASHIO,Ryuichi)教授
■略歴
1956 年、神奈川県生まれ。ソウル大学客員研究教授、マサチューセッツ工科大学客員研究員、高麗大学招請教授、中国社会科学院客員研究員、国立国語研究所特別研究員などの研究歴がある。筑波大学大学院教授を経て 2008 年 4 月より学習院大学教授。博士(言語学)。

■専門分野
言語学
[担当授業(29年度)]
日本語学講義ⅠC:日本語学・言語学・日本語教育の基礎
対照言語学
言語学講概論
日本語学演習:「日本語の特質」を考える
日本語学特殊研究(院)
[主要著書]

Auxiliary Selection in the East , Journal of East Asian Linguistics 13 .
Does French Agree or Not?, Lingvisticae Investigationes 18 .
「 결과표현의 유형 」 『 어학연구 』 33 .
「 se faire と 多言語比較研究 」 『 フランス語学研究』 37 .
Unaccusativity and East Asian Languages 『中国語学』 253 .
「上代日本語における助動詞選択の問題」『日本語文法』 2 .

[所属学会]

日本言語学会
日本エドワード・サピア協会
日本語文法学会
日本英語学会
日本フランス語学会
韓國言語情報學會

■研究分野
 言語学を専門としています。関心を抱いた言語は全て研究対象にしてきましたが、様々な言語を「比較」することによって言語の普遍性と個別性に迫る、というのが基本的なスタイルです。これまで、日本語、モンゴル語、朝鮮語、中国語、英語、フランス語、ドイツ語、オランダ語などを対象に比較研究を手掛けてきましたが、言語の起源・系統・変化なども重要な関心事ですので、研究対象は中世のモンゴル語や朝鮮語、上代の日本語、あるいは古代英語などにも及びます。
 若い時分に書いた博士論文では、『元朝秘史』と呼ばれる古い文献に残されたモンゴル語などを分析し、これを日本語、朝鮮語、フランス語などと比較することにより、論理的に意味のある一般化を導き出すという研究を行ないました。多言語比較という研究スタイルは、私の中ではこの時期に確立したように思います。
 諸言語を比較する研究には、言語類型論、普遍文法論、言語系統論などと呼ばれる分野がありますが、これらを横断しながら東西諸言語を比較するのが、大雑把に言えば私の研究分野ということになりそうです。しかし、研究の中心には常に日本語があります。あらゆる言語の中で、母語は特別な位置を占めているからです。母語である日本語の性質を理解するために私が選んだのが、多言語との比較という方法であったと言えるかも知れません。
 
■日本語日本文学科で/私のゼミで学ぶみなさんへ
 研究分野の紹介でも書きましたが、私は諸言語の比較研究に携わってきましたので、日本語の研究も、言語研究という大きな枠組みの中で捉える習慣が身についています。私の授業に特徴と呼べるものがあるとすれば、それはこのような「言語学的視点」から日本語の事実や日本語学の歴史について考えるという点であるように思います。
  今年度担当する「日本語学講義IB」では、日本語研究の歴史を言語学史の文脈で捉え直してみようと考えていますが、例えば講義の後半で触れる江戸時代の「国学」でさえ、現代の言語理論との関わりで論じるつもりです。
  「対照言語学」という科目では、より直接的に言語比較の世界に触れてもらいます。例えば日本語、英語、フランス語という三つの言語を比べてみようと考えた時、英語とフランス語に類似点が多いであろうと予測するのは自然です。ところが、ある種の現象に着目して比較を試みてみると、英語には見られない性質が日本語とフランス語には見られる、というパターンが繰り返し観察されたりします。「へえ」と思う人は、言語学に向いているかも知れません。
  言語の比較研究は、しかし、個別言語を深く研究することから始まります。とりわけ重要なのは、母語に関する豊富な知識と深い理解、そして現象を適切な抽象度で一般化する分析力です。「日本語学演習」という授業では、文法に関わるいくつかのテーマを取り上げますが、これまでの学説を学び、それを批判的に検討することにより、受講者が日本語文法に対する理解を深め、分析力を身につけてくれればと思っています。

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