スタッフ紹介

島尾 新 (しまお あらた)
SHIMAO Arata
教授 日本美術史
1953年 東京生まれ

島尾新

■研究分野:雪舟と水墨画

美術史が専門で、特に室町時代の水墨画を研究しています。一般には馴染みのない分野で、知られているのは雪舟くらいでしょうか。その雪舟を、ここ二十年あまり勉強してきました。応仁の乱という時代の節目をまたいで生き抜いた人。個性に溢れ、ヴァリエーションに富む絵が面白いだけでなく、この人を通して見えてくる時代と世界を追いかけていると飽きません。 美術史は他の様々な分野と関係する領域で、雪舟一人を研究するにも絵画史のみならず、禅宗史・日中交渉史・中国文学などの助けが必要です。彼の生まれた岡山の総社や、長く拠点としていた山口などの地方史も知らねばなりません。きちんとやろうとすると大変なのですが、他分野の研究方法と成果から、いい刺激を受けられます。 余録もあります。雪舟のおかげで、中国の寧波や杭州、国内でも岡山・山口・大分などへと旅ができ、天橋立には二十回くらい行きました。それぞれの土地で画家が感じたであろうことを想像し、そこで見たものから新たな問題を発見するのは楽しいものです。  広くいえば、水墨画全体も相手にしています。筆と墨による表現は書を含めて、中国・朝鮮など東アジアで広く行われてきたもの。そこで追求され、また実現されてきた表現を語るのもテーマの一つです。特に、そこで絡み合う詩書画の世界、絵と文字、ヴィジュアルイメージとテクストの織りなす関係に興味を持っています。  十八年勤めた文化財研究所は理科系の研究者もいるところで、美術品の科学的な分析、美術関係資料のデータベースの構築、美術写真のデジタル化や画像処理などにも関わることができました。そのあたりを含めて伝える授業ができればと思います。

■趣味など

 研究とは関係なく水墨画が好きです。墨と筆による表現を追求している作家は少なくはなりましたが、そのような絵を見て話をしたり、水墨画を趣味とする方々とお付き合いしたり。しかし全体としては高齢化が進んで技の伝承はままならず、また筆・墨・紙などの画材も質の高いものは、需要の減少や原料の問題などから危機的な状況にあります。これをどうにかすることに少しでも力になれればと思っています。 いわゆる趣味では、好きだったのは映画。中学の終わりから高校の初めにかけては、年間五百本くらい見ていました。さすがにその数を見ると、中身はちゃんと覚えてはいられませんが。学生時代はプロになろうとも思ったのですが挫折しました。美術史学科へ進んだのも、せめてヴィジュアルなものをという不純な動機です。いまは映画館に行く時間もなく、ときどきテレビで、というくらいです。あとは格闘技。中学の頃からプロレスを見に行っていました。ボクシングから総合格闘技まで、なんでも見ますが、これもこの頃は会場へ行く暇がなく、テレビのスポーツチャンネルで観戦しています。スポーツは、ずっとテニスをしていますが、キャリアが長いだけで上手くなりません。

■略歴と主な業績

一九五三年東京都に生まれる。東京大学大学院修士課程修了。一九八四年四月から二〇〇二年三月まで東京国立文化財研究所・独立行政法人文化財研究所。二〇〇二年四月より多摩美術大学教授。二〇一二年四月より本学教授。著書に、『能阿弥から狩野派へ』(日本の美術3388、至文堂)、『瓢鮎図−ひょうたんなまずのイコノロジー』(絵は語る5、平凡社)、『雪舟の「山水長巻」−風景絵巻の中で遊ぼう』(アートセレクション、小学館)など。



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