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教員スタッフ紹介

伊藤 忠弘 教授 社会心理学

<主要著書・論文>
「社会的認知研究のパースペクティブ」(分担執筆)培風館 2004
「動機づけ研究の最前線」(分担執筆)北大路書房 2004




<研究分野>
 社会心理学のなかで「自己」に関する研究、特に自分の評価(自尊心)を高めようとしたり、失敗などによって自分の評価が下がりそうな状況でそれを維持しようとするためになされる行動(「自己高揚・防衛行動」と呼ばれていますが)に関心があります。自分の経験や逸話としては確かに思い当たりますが、このような行動を実験によって実証的に研究したいと考えています。自分の評価を高めるには、他者から自分をポジティブに見てもらうことが有効な方法の1 つなので、他者に自分をどのように見せるかといった「自己呈示」にも関心があります。また自己高揚・防衛行動は自分でも気づかないうちに無意識に行われることが多いので、そのような無意識的な行動や認知(「自動性」の問題)にも関心があります。
 最近では動機づけ(モチベーション)、特に親や友人といった重要な他者が目標達成に向けた努力に及ぼす影響についても研究しています。他者から期待されることが重荷になることもあれば、逆に励みになることもあります。このような違いはなぜ起きるのかを知りたいと考えています。
 2 つの研究関心は一見全く別のものに見えるかもしれませんが、私のなかでは他者との関係のなかにある「自己」というテーマで結びついています。

<私の授業>
 心理学科の必修科目である心理学実験の演習を担当しています。文科系の学問のなかで「実験」という手法を重要な研究手段として位置づけているのは心理学だけです。ですから心理学科の授業を特徴づける大切な科目の1 つと言えます。私自身、この授業を担当することに責任の重さを感じています。またこの授業では心理学の実験を実際に体験するだけでなく、その結果をレポートとして提出してもらうことによって、卒業論文へとつながる研究論文の書き方も学びます。心理学の論文の書き方には様々なルールがあり、そのレポートはこれまでに皆さんが書き慣れてきた文章とは大きく異なるものです。毎回のレポート提出は学生の皆さんにとっては非常にハードに感じられるようですが、同時にレポートを書き上げたときには大きな満足感も得られます。
 心理学演習では前期にまず社会心理学の実証的な論文を読みます。論文は論理的に構成されていますから、論文を読む作業は展開される主張のロジックを追っていくという行為です。それは犯人を予想しながら推理小説を読んでいくことに似ています。後期には前期に取り上げた論文の中からいくつかを選択し、関心の似ている人でグループを作って追試の研究を実際に行います。夏休みには研究計画を立てるためのゼミ合宿を実施したいと考えています。
 授業では教員も学生の皆さんから教えられることが多いものです。受講される皆さんと共に勉強して授業をつくっていけたらと考えます。
<趣味・特技>
 学生時代からテニスを続けていますが、なかなか上達しません。でもボールを打っている瞬間は他のことを忘れていられるので非常に心地よくて好きです。特技とは逆ですが、いつの日かカナヅチを返上して泳げるようになりたいと考え時々プールに通っています。ただしこちらは長続きせず、どうやってモチベーションを維持したらよいか悩んでいます。

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