共同研究プロジェクトについて

夏目 房之介 教授プロジェクト
『グローバルなマンガ史研究のための基礎理論とアーカイブ構築の研究』
[prof.Fusanosuke Natsume]

1.目的・内容・期待される効果など

日本におけるマンガ研究の喫緊の課題は、あらゆる研究活動の基盤となる「マンガ史」の基礎を整備することである。これまでの日本のマンガ史研究は「明治以降の日本の諷刺画・漫画」と「戦後の日本のストーリーマンガ」に偏っており、それ以上の広がりを見せていない。今後の本格的なマンガ研究のためには、以下の観点からマンガ史を包括的に検証し直す必要がある。1.世界史の中に日本マンガを位置づけ直すこと(マンガ研究のグローバル化)。2.そのために新たなマンガ史観を確立すること(諷刺画やストーリーマンガなど多様性を前提にマンガ文化をとらえ直す)。この目標を実現する最初のステップとして、まずは国内に存在するアーカイブを統合的に調査し、史料のデータベース作りを行なう。今年度は、国内の主要アーカイブのひとつである川崎市市民ミュージアムと連携して所蔵品の整理・調査を行ない、「マンガの世界史」研究の骨格を確立したい。

2.研究スタッフ

<研究代表者>
・夏目房之介 :学習院大学大学院 人文科学研究科教授(身体表象文化学専攻)

<所員>
・中条 省平 :学習院大学 文学部教授(フランス語圏文化学科)

<客員所員>
・佐々木 果 :学習院大学非常勤講師
・三浦 知志 :東北学院大学非常勤講師
・吉村  麗 :川崎市市民ミュージアム嘱託 ※平成26年度より
・野田 謙介 :法政大学非常勤講師 ※平成26年度
・細川 裕史 :学習院大学 文学部助教(ドイツ語圏文化学科)※平成25年度
・金澤  韻 :川崎市市民ミュージアム学芸員 ※平成25年度

<研究補助者>
・三輪健太朗 :学習院大学大学院 人文科学研究科 身体表象文化学専攻
          博士後期課程
・野田 謙介 :学習院大学大学院 人文科学研究科 身体表象文化学専攻
          博士後期課程 ※平成27年度
・岡田 尚文 :学習院大学大学院 人文科学研究科 身体表象文化学専攻
          博士後期課程 ※平成26年度
・砂澤 雄一 :学習院大学大学院 人文科学研究科 身体表象文化学専攻
          博士後期課程 ※平成25年度


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3.活動報告 [活動年度:平成25年度〜27年度]

平成25年度:今年度は主として川崎市市民ミュージアムの資料収蔵庫の実態調査を行い、下川凹天資料、須山計一資料、明治ポンチ本などの歴史的に重要な未整理資料の存在を確認し、基礎調査を行った。その中から下川凹天資料の本格調査と解析を行ない、多くの貴重なデータが得られた。京都国際マンガミュージアムの書庫での資料調査、研究員との意見交換を行ったほか、村上知彦氏の書庫の調査も行い、意見交換を行った。研究会を5回を開いたほか、10月12日のシンポジウムでは120人の参加者の前で、研究成果の発表を行った。(詳細は「学習院大学人文科学研究所報2013年度版」に掲載されています)

平成26年度:研究会8回、研究発表会1回(一般公開)を行い、シンポジウム「ウインザー・マッケイ マンガとアニメの天才」を開催した(11月22日)。また、本研究プロジェクトの協力による「下川凹天と日本近代漫画の系譜」展が、川崎市市民ミュージアム・アートギャラリーにて催された(8月9日〜10月5日まで)。
今年度は、特に、川崎市市民ミュージアム収蔵されている「下川凹天遺品資料」に注目して、集中的な整理・解析活動を行った。その結果、下川凹天のみならず、日本の近代マンガ史全体を見渡す研究上の知見が得られ、その成果を展覧会の形式で発表することができた。
秋以降は、いわゆる「明治ポンチ本」と呼ばれる一群の出版物に注目し、その整理・研究に着手した。「明治ポンチ本」は日本の近代マンガの成立史にとってきわめて貴重な資料であるが、これまでに本格的な研究は存在しない。本研究プロジェクトでは、この資料を重視し、基礎研究を進めている。古くて破損しやすい状態のものが多いため、いったんデジタル化してから本格的な調査を進めたいと考えており、今年度は試験的なスキャン作業を開始した。(詳細は「学習院大学人文科学研究所報2014年度版」に掲載されています)

平成27年度:研究会6回、シンポジウム「マンガのナラトロジー」を開催し、ストーリーマンガを概念的にとらえるための基礎問題の検討を行った(11月14日)。また、平成26年度に本研究プロジェクトの協力によって開催された「下川凹天と日本近代漫画の系譜」展で公表された研究成果を刊行物にまとめるべく、現在編集作業を進行中である。本プロジェクトの成果として、2016年夏までに出版される予定である。(詳細は「学習院大学人文科学研究所報2015年度版」に掲載されています)
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4.今後の活動予定

人文科学研究所での、本プロジェクトは終了いたしました。ご協力くださった皆様にあつく御礼申し上げます。
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