共同研究プロジェクトについて

野村 正人教授プロジェクト
『文学とイラストレーション』
[Prof. Masahito Nomura]
[Prof. Masahito Nomura]

1.目的・内容・期待される効果など

 19世紀フランスで広く普及した挿絵本において、テクストとイメージの共存がどのような新たな効果を文学の場に生み出したかを明らかにする。またその背景として、挿し絵本の流行が、産業社会黎明期の出版のありかた、中産階級を中心とする読者層の急速な拡大とどのような関係にあったかを解明する。

 19世紀の挿絵本が単なるコレクターの収集アイテムとしてではなく、18世紀末から急激に発達する視覚文化の問題、西欧文化におけるテクストとイメージの問題、新たな教育装置としての書物の問題と密接に絡んだ研究領域として本格的に注目されるようになったのは比較的新しいことがらに属している。現在、19世紀フランスにおける文学とイラストレーションについての研究は、フランスやアメリカを中心として活発に続けられているが、まだ解明すべき問題が数多く残されている。本プロジェクトでは、重要な文学作品をいくつか取り上げ、その作品を使って複数つくられた挿絵本を比較検討することによって、テクストとイメージの孕むさまざまな問題を解明したい。

 具体的には、挿絵本(主にユゴー『ノートルダム・ド・パリ』、ラ・フォンテーヌ『寓話』、ベルナルダン・ド・サン=ピエール『ポールとヴィルジニー』、それぞれ10冊以上あり)を可能な限り収集し、その中の挿絵をデジタル化する。こうすることで挿絵の全体、あるいは細部の比較検討が容易になる。この基礎資料を作成した上で、各スタッフが分担して、作品のテクストとそれに対応するイラストの照応関係を分析する。また挿絵に現れたさまざまな要素を政治、社会、風俗の文脈から解読する。それと平行して、出版者、作家、挿絵画家の関係など、出版界の問題も考察し、挿し絵本流行の背景を探る。  各スタッフがそれぞれの調査結果を持ち寄り、年数回の研究会を通じて討論を重ね、研究を深める。また2年目、3年目にはフランスから研究者を招き、講演会、あるいはシンポジウムの開催を予定している。

2.研究スタッフ

<研究代表者>
・野村 正人:学習院大学文学部教授(フランス語圏文化学科)

<所員>
・中条 省平:学習院大学文学部教授(フランス語圏文化学科)
・原田 佳彦:学習院大学文学部教授(フランス語圏文化学科)
・ティエリ・マレ:学習院大学文学部教授(フランス語圏文化学科)
・大野麻奈子:学習院大学文学部准教授(フランス語圏文化学科)

<客員所員>
・吉村 和明:上智大学教授
・和南城愛理:町田市国際版画美術館学芸員
・宮原   信:東京大学名誉教授
・小林佐江子:学習院大学非常勤講師
・齊藤理絵子:学習院大学文学部助教(フランス語圏文化学科)

<研究補助者>
・岡部 杏子:学習院大学人文科学研究科フランス文学専攻博士後期課程
・進藤 久乃:学習院大学人文科学研究科フランス文学専攻博士後期課程

ページのトップに戻る

3.活動報告 [活動年度:平成18年度〜平成20年度]

平成18年度:『ポールとヴィルジニー』の挿絵本などの資料蒐集、整理、分析を行い、それらの結果を論文集としてまとめた。また、諷刺画(ナダールの「レアック氏」)の分析を4回にわたっておこなった。 (詳細は『人文科学研究所報』2006年度版に掲載されています。)
平成19年度:『ノートル・ダム・ド・パリ』についての研究や昨年度からの引き続きでナダールの「レアック氏」の分析を行った。 また10月には、ルーアン教育博物館教授、パリ第7大学教授のアニー・ルノシアン氏を招待し、講演をしていただいた。(詳細は『人文科学研究所報』2007年度版に掲載されています。)
平成20年度:『レ・ミゼラブル』の挿絵本の蒐集、研究を行った。風刺画に関しては、ルイ・ナポレオンの風刺画の分析を行った。 11月には、パリ第10大学教授、セゴレーヌ・ルメン氏の講演を開催した。(詳細は『人文科学研究所報』2008年度版に掲載されています。)

*研究成果報告集 TEXTE(&)IMAGE 2006-2007 ,TEXTE(&)IMAGE 2007-2008 ,TEXTE(&)IMAGE 2008-2009 を刊行しています。

4.今後の活動予定

本プロジェクトは平成21年3月31日をもって終了致しました。
ご協力くださった皆様に厚く御礼申し上げます。


ページのトップに戻る