学習院大学所蔵の東アジア関連資料
(1)友邦文庫(東文研)
友邦文庫は、1983年、財団法人友邦協会、社団法人中央日韓協会より学習院が寄託を受け、学習院大学東洋文化研究所において保管・管理している(2000年には所有権が学習院に譲渡)。同文庫は朝鮮総督府の政務総監や各局長などの朝鮮統治政策決定上の枢要な位置にあった旧朝鮮総督府官僚が持ち寄った政策立案段階のメモ、手書きの報告書等をも含む稀少かつ資料的価値の極めて高い資料である。また、満州・蒙古に関する資料も多く含む。東アジア学ナリッジセンターのナリッジベース「
友邦文庫データベース
」で検索が可能である。
左は1985年以前の資料が整理されている『友邦協会・中央日韓協会文庫資料目録』(学校法人・学習院、1985年)。右は友邦文庫の一部。
(2)朝鮮戸籍大帳(東文研)
本資料群は1980年代よりプロジェクト研究のために当研究所で保管され、現在に至っている。学習院大学図書館の原簿によれば戸籍大帳は明治42年(1909年)11月14日に22冊、同年12月11日に179冊が受け入れられた。受入先は酒井藤兵衛なる人物という。このうち、49冊はすでに紛失したが、残りの152冊は当研究所の第一書庫に保管されている。このうち19冊は19世紀前半の道光年間のもので、各地区における最も古い部類のものである。本資料に関する調査研究の成果は1983年から当研究所の『調査研究報告』により順次報告を行ってきた。当研究所の調査研究報告NO.52として『学習院大学蔵 朝鮮戸籍大帳等目録』(武田幸男編)が発刊され、全貌があきらかとなった。
慶尚道丹城県の戸籍大帳。
(3)広開土王碑拓本(東文研)
本資料は全部で四幅ある。亀裂部分や文字の拓出部分の違いから学習院大学乙本と学習院大学甲本と二種類に分類される。乙本は内藤湖南本・楊守敬本と同じで1902年(もしくは1895年)以前に拓出されたもの、甲本はこれよりやや遅れて拓出されたシャバンヌ本・三井聴冰閣本・旧朝鮮総督府本と同一と考えられている。
(4)風俗写真・絵はがき資料【満州・朝鮮】(東文研)
本資料群は旧制学習院の歴史地理標本室に所蔵されていた(もしくは推測される)ものの一部が当研究所に移管されたものである。歴史地理標本室から史料館に移管されたものに関してはすでに『旧制学習院歴史地理標本室移管資料目録』(史料館目録第14号、1998年)によって極めて詳細なデータが公開されている。朝鮮の部(写真)277枚・満州の部(写真・絵葉書)140枚を保管している。写真の入手経路は旧制学習院高等科の修学旅行やその下見で行った先で、写真店等で買い求めた写真・絵葉書が中心ではないかと考えられている。検索は
学習院大学図書館電子図書館
で可能。
左は朝鮮の部のもので「東大門外関羽廟」。右は満州の部の「器機局」。
(5)漢籍資料(大学図書館ほか)
京都学習院以来、かい集された貴重な和書・漢籍資料群。大部分は『学習院図書館和漢図書目録』(昭和4・5年)に整理されているものの、受け入れ年度等によって検索の方法が複雑。推測でおそらく数千冊以下と考えられる(叢書を含む)。このコレクションには長崎の海関(税関)や和歌山の藩校、さらには京都学習院、華族会館の蔵書印を有するものがある。
(6)磯野文庫(東文研)→蒙古関連資料
法社会学者の磯野誠一氏の寄贈による戦前を主とした蒙古関係資料のコレクション。氏は1944年に張家口(現在の中国・河北省)に開設された西北研究所の所員として調査活動を行った人物。西北研究所には今西錦司所長を初めとして、藤枝晃・石田英一郎・中尾佐助・梅棹忠夫氏と磯野氏の妻・磯野富士子らが所属していた。磯野富士子氏は著名なアメリカの中国研究者・ラティモアと研究したことで有名である。終戦後、西北研究所をはじめ中国大陸で活動した機関の文献を国外に持ち出すことが禁止されていた。明らかに戦前に発行された鉛印本もあり、磯野氏が大陸から帰還する際に持ち帰った資料である可能性が高く、貴重な資料と言える。
左は『成紀七三五年五月調査資料第七号 白契彙集(続一)』の表紙で蒙古自治連合政府の発行。右はその見開きで謹呈とあり、発行者から磯野氏に直接寄贈されたものと思われる。成紀はチンギスハン紀年。
(参考事例:『白契彙集』)[目録資料1参照]
(7)旧東亜経済調査局所蔵回教関連資料(東文研)
東亜経済調査局旧蔵のイスラム教(回教)関連資料群。すべてに東亜経済調査局の所蔵印と分類番号が残っている。2002年に古書店から購入した。東亜経済調査局は大川周明が当初は満鉄の下部組織として発足したが、その後、財団として分立した。イスラム研究で著名な井筒俊彦・前嶋信次(ともにのち慶應義塾大学教授)の両氏もこの調査局で研究をおこなった。戦後、この東亜経済調査局の資料はGHQによって接収され、米国議会図書館・国防総省の図書館に保存されたとされている。
左は『真功發微』出版地は北平(北京)。右は本書の見開きで、右上には「南満州鉄道株式会社東亜経済調査局之印」、右下と左上には「東亜経済局」の印と図書整理番号がふられている。
(参考事例:『真功発微』)
(8)林博太郎文庫(文学部教職課程)→満州の教科書
故・林友春氏(学習院大学教授/中国書院史・教育史)の寄贈による御尊父林博太郎(学習院教授、貴族院議員、満鉄総裁(1932-1935)、東京大学教授)の旧蔵書。戦前・戦後の教育に関する文書を含む。洋書(ドイツ語)および満州・中華民国における中国語教科書、および教育政策の政策決定過程が書かれた内部資料もある。満州・中華民国の教科書は全68タイトル、272冊。日本国内の他の機関ではほとんど所蔵されていないと考えられる。
(9)田中耕太郎文庫(法経図書センター)→満蒙の法律
田中耕太郎氏寄贈の資料群。氏は戦前に東京帝国大学商法学教授、戦後は文部大臣、学習院大学理事(1952-1954年)、最高裁判所長官、国際司法裁判所判事を歴任。専門は、商法学、法哲学者。洋書1803点、和書1914点、小冊子(抜き刷りなど)約600点。多くは法学関係のものであるが、戦前の満州・蒙古における法律関係の資料がある。コレクション全体の目録に、学習院大学図書館編『田中耕太郎文庫目録 : 学習院大学法経図書室所蔵 』(学習院大学図書館, 1982年)がある。
(10)乃木希典文庫→台湾総督府関連資料
乃木希典氏寄贈の資料群。乃木希典氏は陸軍大将・台湾総督(1896-1898)・学習院院長(1908-1912)をつとめる。600タイトル、974冊。史書・戦術書・戦地記事・思想書のほか、台湾総督府関連図書がある。
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