緑釉倉明器

資料情報

史料館番号:史料館286/『標本原簿』名称:漢釉瓦囷俑/『標本原簿』番号:66/製作地域:中国/製作時期:漢~晋時代/陶製/最大径20.1cm×29.1cm/数量:1点

解説

円筒形の倉庫を模した漢代の明器〔めいき〕。上部は屋根瓦を模し、中央部には空気抜きの穴がある。3つの獣脚を有し、座面を除く全面に緑釉〔りょくゆう〕が施されている。高さは脚を含め29.1cm。器の内部には実際の穀物などを入れて埋葬される場合があり、湖北省江陵鳳凰山167号墓の倉の明器からは、粳米〔うるちまい〕の稲穂が発見されている。このような円筒形の倉庫は「囷〔きん〕」と称される。

前漢の西漢京師倉遺跡(陝西省華陰市)の発掘成果によれば、円形倉庫の下部は半地下部分で、上部に柱を立てて屋根を付けたと考えられる。漢代の倉は、現在の河南省の黄河南に位置する敖倉や陝西省東部の黄河と漕渠との結節点に位置する京師倉など国家が管理する倉のほか、郡県にも設置され、そのほか豪族などの住居にも建設された。官の倉は、租税として徴収した穀物の備蓄に利用され、また、災害発生時には被災民の救済のために倉を開き、食糧支援をおこなうこともあった。

旧制学習院歴史地理標本室の原簿には「漢釉瓦囷俑」とあり、江藤濤雄氏より大正14年(1925)に28円にて購入した。

(村松)