銅鏡(林コレクション)

解説

学習院大学東洋文化研究所では、本学の卒業生である林裕己氏が長年にわたって蒐集した銅鏡コレクションの寄託を受け、それらの整理、調査・研究、展示・公開(バーチャル・ミュージアム化)作業を進めている。

林氏から寄託を受けた銅鏡コレクションは総計172点にのぼり、漢鏡を主とした古代中国の銅鏡(中国鏡)を中心としながら、高麗時代の朝鮮鏡、古墳時代の倭鏡や江戸時代の日本鏡(和鏡)、クメール(アンコール)朝時代の東南アジア鏡なども含んだヴァラエティ豊かなものとなっている。

銅鏡は、邪馬台国の女王卑弥呼が中国・魏の皇帝から賜ったとされるいわゆる「銅鏡百枚」の例にみられるように、日本をはじめとした古代の東アジア世界において、社会的・政治的に重要な役割を果たしていたと考えられる。そういった意味において、銅鏡はまさに「東アジア世界の歴史を映し出す鏡」と言えよう。

当研究所では、林氏から寄託を受けた銅鏡コレクションのさらなる整理、調査・研究(現在、泉屋博古館に依頼して銅鏡の科学的な成分分析も行っている)、展示・公開(バーチャル・ミュージアム化)作業を進めていくことを通じて、東アジア世界の新たな歴史を映し出していきたいと考えている。

(久慈)

(星雲鏡)