三侠剣陞官図 請求番号391/110

書誌情報

三俠劍陞官圖 / 1枚 / 縦43.8cm×横46.2cm

解説

中国で作られた『三侠剣』を題材としたすごろく。「陞官図〔しょうかんず〕」は、すごろくのこと。

『三侠剣』は、張杰鑫〔ちょうけつきん〕(1862~1927)が『明清八義三侠剣』という題で上演したもの。後に『新天津報』に連載され、1930年代に出版された。

義侠の士 勝英らが活躍する物語で、いまの所謂武侠小説に類する。神鏢将 勝英・震三山 蕭傑・九頭獅子 孟凱の「三侠」と、艾蓮池・紅衣女・夏侯商元の「三剣客」が活躍し、彼等を総称して「三侠剣」という。

本図の制作時期は特定できないが、おそらく当時流行していた『三侠剣』を題材として陞官図(すごろく)を作ったのであろう。紙質からも20世紀半ばのものと推定される。

陞官図のオーソドックスなものは官僚の出世を題材とするものであるが、他に『三国志』や『水滸伝』を題材としたものなどが人気であり、『三侠剣』を題材としたものは珍しい。  

陞官図の遊び方

本陞官図の欄外に書かれたことなどや陞官図に関する研究などから、おおまかに以下のような手順によって遊んだようである。

(1)「徳」「才」「功」「賍」の四つの目が出る独楽と自分の駒を用意する。独楽は円柱の軸に、直方体と四角錐を組み合わせたもので四面が出るようになっている。

(2)おやつ代程度をチップとする。

(3)独楽をまわし、出た目の人物のマスへ移動していく。

たとえば、スタートのマスには「徳、張茂隆、才、楊香武、功、黄三太、賍、不上名」とある。独楽の目が「徳」ならば「張茂隆」のマスへ3マス進み、「才」ならば「楊香武」のマスへ1マス進む。「賍」を出すと「賍、不上名」なのでそのまま動くことは出来ない。

(4)あとは欄外の書き入れの指示などに従いながら、「あがり」を目指していくことになる。欄外の書き入れによっては、チップをもらえるマスもあれば、チップを放出しなければならない場合も出てくる。

(松野)