牛乃涎 請求番号154/236

書誌情報

牛乃涎 三巻 / (日本)森口重貢 撰 / 〔寛政15年(1803)〕 / 刊行者不明 / 鈔本/ 3冊 / 字数行数不等 / 四周無 / 無界 / 書口無 / 魚尾無 / 断句無 / 縦24.0cm×横17.5cm / 框高- / 旧蔵印「阿波國毛利氏藏書記」 / 飯塚敏夫氏旧蔵書

解説

現時点では、他機関に所蔵を確認できない鈔本。江戸時代の武士が書いたものか。

序文や跋文がないため、どのような経緯で書かれたかは不明。内容は、聖賢の教え、儒学経典の解釈、歴史に関する見解から日常の細々した注意事項や教訓めいた話まで、多岐にわたる話題が随意に語られている。「牛乃涎」という書名を内容から類推するに、牛の涎のようにだらだらと細く長く続けて様々に書いたということを、謙遜の意味を込めて書名に冠したのであろう。

冒頭から、聖人の教道とは、天下を大平にすることを本意とされるという書き出しから始まり、聖賢の教えや儒学経典の話題を述べていることが多い。しかし中には、火事の折には、父母や祖父母の位牌を持って逃げるべきである(巻上)とか、赤子が大声で泣くのはやかましいとは言わない、大人が口の中で小言を言うことこそがやかましいというのだ(巻中)とか、果ては梅干しのつけかた(巻下)にまで論が及ぶ。

著者と目される森口重貢、蔵書印の「阿波國毛利氏」について、詳細は不明。いかなる経緯かは分からないが、阿波の毛利氏の蔵書であったものが、飯塚氏の手に渡り、本研究所が譲り受けた。

(松野)

(表紙)