繍像後三国演義 請求番号923/370

書誌情報

繡像後三國演義 十巻 / (明)闕名 撰 / 民國元年(1912) / 刊行 源記書莊 / 石印本 / 8冊 / 23行50字 / 四周双辺 / 無界 / 白口 / 単魚尾 / 断句有 / 縦20.2cm×横13.5cm / 框高17.2cm / 旧蔵印無

解説

本書は、民国元年(1912)に、上海の源記書荘から出版された。「繍像」は挿絵付きを、「演義」は物語を意味する。「三国」といっても、魏、呉、蜀の所謂「三国志」ではない。本書は、三国志中の魏を滅ぼした西晋と、西晋滅亡後に江南を中心に建てられた東晋の事績を中心とした歴史物語である。

西晋巻は巻1「王濬王渾大争功」から巻4「漢主劉聡弑愍帝」、「晉王睿即皇帝位」まで、西晋の将軍である王濬と王渾による呉遠征から、劉聡が西晋を滅ぼし、逃れた司馬睿が即位するまでを描く。

東晋巻は巻1「元帝頒詔赦天下」から巻6「宋公受晉之禪位」、「宋公劉裕即帝位」まで、東晋建国から宋の劉裕が禅譲を受けて、東晋にかわって宋を建朝するまでの物語が綴られている。

西晋巻の序文には、この物語を作るにいたった過程が記され、「光緖十有九年(1893)癸巳冬十一月 呉門滄浪舊隠誌於黄歇浦之廣百宋齋」とある。廣百宋斎とは清末上海の書店である。これによれば、該書はもともと廣百宋齋から出版され、それを源記書莊が改めて刊行したと判断されるが、実はそうではない。最も古い版本は、明代の万暦40年(1612)、周氏大業堂から出版されたものである。作者は不詳。万暦年間以後、幾つかの書店が出版しており、廣百宋斎もその一つであった。

(村上)  

参考

  • 『東西晋演義』(中國古典小説研究資料叢書、上海古籍出版社、1991)

(表紙)