詩序辨説、詩伝孔氏伝、詩説(津逮秘書)

書誌情報

詩序辨說 一巻・詩傳孔氏傳 一巻・詩說 一巻(汲古閣津逮祕書) / (宋)朱熹 撰(詩序辨説)・(漢)申培 撰(詩説) / 明末 / 刊行 汲古閣 / 刊本 / 9行19字 / 左右双辺 / 有界 / 白口 / 魚尾無 / 断句無 / 縦24.5cm×横16.2cm / 框高18.8cm / 旧蔵印無 / 澤口東洋文化研究所旧蔵

解説

『詩序弁説』は宋の朱熹が詩経の伝統的註釈「詩序」について論じたものである。当時「詩序」は孔子の弟子である子夏の手になるとされ、詩経の解釈において絶対的な権威を持っていたが、本書の中で朱熹は「詩序」が後漢の衛宏の作である可能性を指摘し、世に大きな衝撃を与えた。

『詩伝孔氏伝』は孔子の弟子である子貢の著した「詩伝」が秘閣で発見されたというふれこみで毛晋の手に渡り出版されたものである。朱熹集伝や小序の解釈の流用が中心だが独自の解釈も含まれている。清の毛奇齢は『詩伝詩説駁義』でこの書を批判し、明の豊坊の偽作だと指摘する。

『詩説』は漢の申培の著した「詩説」が秘閣で発見されたというふれこみで毛晋の手に渡り出版されたものである。『詩伝孔氏伝』に類似する解釈が見られる。清の毛奇齢は『詩伝詩説駁義』でこの書を批判し、『詩伝孔氏伝』と同じく明の豊坊の偽作だと指摘する。

本書は汲古閣『津逮秘書』の一部である。『津逮秘書』は明末の蔵書家毛晋の刊行した叢書である。当時あまり流通していなかった珍しい書を多く収録し普及させた。本研究所には『津逮秘書』第一集全八種のうち『毛詩草木鳥獣虫魚疏広要』四巻および『爾雅』三巻を除く六種が収蔵されている。

本書はもと学習院大学教授 澤口剛雄(1902~1995)の旧蔵書。澤口は中国文学研究者で、唐宋の詩や楽府の分野で大きな功績をあげた。その蔵書は澤口東洋文化研究所として埼玉川口の旧宅に収められていたが、平成24年(2012)遺族により、本書を含めた一部が学習院大学の東洋文化研究所に移された。

(石原)

(表紙)

(表紙)