毛詩日箋

書誌情報

毛詩日箋 六巻 /(淸)秦松齢 撰 / 康煕三十九年(1700)序 / 刊行 尊賢堂 / 刊本 / 2冊 / 10行21字 / 左右双辺 / 有界 / 黒口 / 双魚尾 / 断句無 / 縦27.9cm×横17.3cm / 框高16.5cm / 旧蔵印「積學齋徐乃昌藏書」「楼観滄海日門対浙江潮」「南陵徐乃昌校勘經籍記」/ 澤口東洋文化研究所旧蔵

解説

『毛詩日箋』は秦松齢の撰になる毛詩の解説書である。小序や朱熹集伝によらない独自の解釈が多く収録されている。

秦松齢は、字は留仙、号は対岩・蒼峴山人、室名は微雲堂。無錫の人、順治乙未の進士。詩人として有名な人物である。

本書には「楼観滄海日門対浙江潮」「積学斎徐乃昌蔵書」「南陵徐乃昌校勘経籍記」という朱印が捺されている。前者の印記の「楼観滄海日門対浙江潮」は駱賓王・宋之問作と伝えられる漢詩「霊隠寺」の一部だが、未詳である。後二者はいずれも清末民初の著名な蔵書家である徐乃昌のものだと考えられる。徐乃昌は、字は積余、号は遂庵。安徽南陵人。日本には二度訪れている。徐乃昌は『積学斎蔵書記』(中国国家図書館蔵)・『積学斎善本書目』(華東師範大学蔵)などの蔵書目録をのこしており、『徐乃昌日記』(西南大学図書館蔵)などの日記にも蔵書の購入・販売が記録されている。

本書はもと学習院大学教授 澤口剛雄(1902~1995)の旧蔵書。澤口は中国文学研究者で、唐宋の詩や楽府の分野で大きな功績をあげた。その蔵書は澤口東洋文化研究所として埼玉川口の旧宅に収められていたが、平成24年(2012)遺族により、本書を含めた一部が学習院大学の東洋文化研究所に移された。

本書と同じ尊賢堂刊本は『北京大学蔵古籍善本書目』に収録されている。日本国内では京都大学人文科学研究所、神戸市立中央図書館などが本書と同一版本を所蔵している。

(石原)

 

参考

  • 北京大学図書館編『北京大学蔵古籍善本書目』 北京大学 1999年
(表紙)

(表紙)