新編諸宗教蔵総録 請求番号 183/3

書誌情報

新編諸宗教藏總録 三巻 / (高麗)義天 撰 / 元禄6年(1693) / 刊行 井上忠兵衛 / 刊本 / 1冊 / 10行20字 / 四周双辺 / 有界 / 黒口 / 魚尾無 / 断句無 / 縦26.7×横17.5 / 框高20.7 / 旧蔵印「黄龍窟蔵」

解説

高麗の僧 義天(1055~1101)の著した経律論の章疏(仏教書の注釈)の総目録。高麗・宣宗7年(1190)に成立。章疏目録の嚆矢となるものであり、古来章疏の存否を論ずる際には、しばしば用いられた。

義天は早くから仏典の蒐集を行い、31歳(1085)のとき入宋し帰国するにあたって、およそ千巻の書をもたらした。また日本や遼、新羅、高麗の著作の蒐集にも尽力し、現在この書によってのみその名が確認できる書籍も多い。

本書は大尾の奥書(巻下・26丁)によれば、元禄6年(1693)京の書肆 井上忠兵衛により刊刻されたもの。もと巻上と巻中・下の全2冊であったが、改装されて1冊となっている。なお本書は『新編諸宗教蔵総録』の流布本と位置づけられ、『大正新脩大蔵経』はこの流布本を底本として収録している(T2184)。

また「黄龍窟蔵」の朱印から、本書はもと京都市東山にある臨済宗の寺院、建仁寺の書坊 黄龍窟の旧蔵であることが分かる。その来歴は未詳だが、建仁寺より古書店を経て、東洋文化研究所に収められたのであろう。なお東洋文化研究所の主事であった末松保和には、『新編諸宗教蔵総録』について論じた文章があり、そこでこの元禄6年の流布本について言及されている。本書は、末松の執筆のために購入されたものであろうか。

(中嶋)  

参考

  • 末松保和「新編諸宗教蔵総録」(『朝鮮史と史料』末松保和朝鮮史著作集6、吉川弘文堂、1997、所収)
  • 鎌田茂雄「新編諸宗教蔵総録」(『大蔵経全解説大事典』、雄山閣、1998、所収)

(表紙)